万座温泉 日進館 女将 宮田まいみさん「廻り道をしたけれど」
銀座ロイヤルサロン1週目
目次
ビジュアル系バンド“GaGaalinG”のヴォーカリスト
由結:それでは、本日の素敵なゲストをご紹介いたします。万座温泉日進舘、女将の宮田まいみさんです。よろしくお願いいたします。
宮田:よろしくお願いいたします。
由結:本日のテーマは、『回り道をしたけれど、ヴィジュアル系バンドから7代目女将へ転身』です。美しい楚々とした女性が隣にいらっしゃいますが、なんとあのヴィジュアル系バンドGaGaalinGのヴォーカリスト MYMさん! そのころのお話を教えていただいてよろしいですか。
宮田:ありがとうございます。私は旅館に帰ってくる前はヴィジュアル系バンドのヴォーカリストとして、メイクをし、髪の毛を立て、カラフルなカラーで髪の毛をして、歌っておりました。大体5、6年ぐらいやっていました。
由結:そうですよね。毎回格好いいステージで…!
宮田:ありがとうございます。
由結:そのころの思い出は?
宮田:そうですね。今、振り返ってみますと、夢のような時代だったなと思います。でも、そのときの自分の実力のなさに打ちひしがれるときもありました。
音楽の世界に入ったきっかけ
由結:まあ、そうだったんですか!この世界に入るきっかけはなんだったのですか?
宮田:そうですね。本当に普通の女の子として生まれて人生を歩んできたときに、受験というものにぶち当たって…実は受験を落ちてしまったんですね。そのときにショックを受けまして、自分自身のことを否定し始めてしまったところから、うつが始まりました。本当にうつって怖いなと思うんですけども、死ぬことばかりを考える人生が始まってしまったんです。
そんな中、私を心配してくれた友だちが、外の世界に出してくれまして、それがなんと“ザ・ローリング・ストーンズ”さんが東京ドームでライブをするときに、私もそのコンサート会場に連れて行っていただいたんです。そのコンサートを見たのがきっかけで、音楽の力っていうものを初めてすごいなって思ったのがきっかけだったんです。
由結:衝撃を受けた…みたいな。
宮田:そうなんです。もう本当に、「死にたい、死にたい」の日々から、「あっ、私生きてる!音楽ってこんなに人に感動をあたえ、命をよみがえらせてくれるんだ」っていう衝撃。実はそのときはローリングストーンズさんなんて本当知らなくて、「あのベロのロゴ、そしておじさんたち、何なんだろう?」と思ったら、「この曲も知ってるし、あの曲も知ってる」と。自分自身がもう音楽に乗って…。
由結:自然に体を動かしていたんですね。
宮田:はい。「ああ、私本当に久しぶりに楽しんでるな」と思ったときに、私自身も心がうつで苦しんでる人たちに、音楽を通してその感動を与えられるような人になれないんだろうかって、安直に思ってしまいまして。そこから音楽の道に突き進んだんです。
由結:そこで使命感というか、芽生えたわけですよね。きっと使命感が芽生えてもそこからプロとして活動って難しいかと思うんですが、どうやっていかれたんですか。
ヴォーカルに大抜擢
宮田:本当にもうそのときは、無知の強さというんですかね。とにかく音楽をやっているところ、ライブ会場だと思って、いろいろなライブ会場に通い始めて、ある女性ヴォーカリストに惚れて、その女性ヴォーカリストのライブに通うようになっていたら、彼女のバックで弾いてるギタリストがすごく恰好よかったんですね。
そのギタリストのギターで私も彼女のようにかっこよく歌いたいって思うようになりました。「どうすればいいんだろう。デモテープを作るしかない」と思って。それで本当にへたくそなデモテープを自分なりに作りまして、出待ちをして、そのギターの方に「これを聞いてください」って、もう自分の自己紹介もせずに、「聞いてください」って言って、そこから全てのことは始まりました。
由結:すごいですね。1本のデモテープがきっかけで。
宮田:そのときに本当にタイミングが良かったみたいで、そのギタリスト、LINDBERGのCherryさんと、新しくLINDBERGのようなバンドを作ろうかっていうような話をしてたみたいです。そこに突然現れたのが、おかしなデモテープを持ってきた女の子。最終選考で、3人ぐらいまでヴォーカリストは絞られてきてたところに私が入ってきて、みんなで聞いていたところ、一番歌が下手だったんですって。でもその中でも声が一番渡瀬マキさんに似てた…と。
由結:LINDBERGのボーカルの渡瀬マキさんですか。
宮田:そうです。それで、ちょっとこの子に会ってみたいっていうことを言ってくださったみたいで、後日連絡が私にありまして、「本気でやってみたい?」って言われて、もう、「はい」って(笑)。
由結:二つ返事で。
宮田:そこからでしたね。
由結:すごい強運ですよね。
宮田:本当に運だけはあるなって思います。今、人生振り返ってみると。
由結:タイミングや人のご縁で、プロとしてのチケットを握ったわけですね。
宮田:そうですね。でも本当に初めてスタジオに行って、とにかくレコーディングをしようということになったんですけど、「レコーディングって何?」というかんじ(笑)。自分の声がヘッドフォンから聞こえてきたときに、こんなに自分の声って違って聞こえてくるんだとか。本当にいろいろと一から学びまして、今考えると本当に何も知らない、世間知らずの子だったなっていうのを実感します。
由結:そこから練習されたんですね。
宮田:そうですね。音楽として。そうですね。出来の悪い子だったので、なかなか歌唱力がついていかず…。
音楽をやめて、女将として生きることを決意
由結:そうは言っても素晴らしいご活躍で、ファンの方もたくさんいらして。そういう中で、もうやめようかなっていうときが訪れるんですね。
宮田:はい。元々、旅館の娘として生まれて、周りもこの子が女将さんを跡継ぐんだなっていう人生、決まった人生があったのですが、不良娘でそれを外れた人生を歩んでしまった。でも、両親は口も出さないしお金も出さない。「あなたの好きな人生を歩みなさい」っていうことで始まりました。でも、「一つだけ約束してほしいのが、30歳になっても花開かなかったら帰ってきなさい」っていう約束がありました。タイムリミットがどんどん近付いてきて、悲しいかな、花は開かず、30歳になる年に、ああもうそろそろ限界だなと思いまして、やめましたね。
由結:素晴らしいご活躍で花開いていたと思うんですけれども、女将の道を選ぶか歌手を続けるか…決断のときだったんですね。でも、後ろ髪引かれるような思いはなかったですか。
宮田:ものすごくありました。なので、このまま普通に帰ってしまったら、私はまたいつか音楽をしたいって言ってしまうんだろうなと思ったので、自分にあえて借金をして、働かないとお金で返さなければいけないというような場所を作らないといけないと思って、ちょっと高価な宝石を購入しまして、「それを返すために働こう」というふうに自分を仕向けました。
由結:あえて自分を追い込んだんですね。
宮田:そして、2日後にはもう日進館で働いておりました。
由結:自分やご両親との約束事でもあったということで、女将修行が始まるということですね。
宮田:はい。
次世代の方に向けてのメッセージ
由結:この詳しいお話につきましては、ご著書『廻り道をしたけれど』という自叙伝に、宮田さんの半生が描かれておりますので、ぜひこちらをお読みいただきたいと思います。
リスナーの皆様にプレゼントがございまして、この素晴らしいご著書とともに、ご招待宿泊券もをつけて、2名様にプレゼントさせていただきます。
そして、もう一つお聞きしたいのが、今までのこのご経験を通して、2歳のお子様もいらっしゃるということなんですが、これからの次世代の方に伝えたいメッセージがありましたら、お願いできますでしょうか。
宮田:はい。月並みですけど、「諦めない」そして思い立ったらすぐ行動することによって道は開かれる」ということ。自分自身が体験してそう思います。ぜひできる方はやって頂きたい!新しい世界が広がると思います。
由結:素敵なメッセージありがとうございます。
宮田:ありがとうございます。
由結:宮田さんには来週もご登場いただけるということですので、次回は旅館のことについて伺っていきたいと思います。本日はありがとうございました。
宮田:ありがとうございました。
銀座ロイヤルサロン2週目
標高1800メートル!日本屈指の硫黄濃度を誇る温泉
由結:それでは、本日の素敵なゲストをご紹介いたします。万座温泉日進館、女将の宮田まいみさんです。今日はぜひ旅館のことについて伺いたいと思っております。万座温泉は、標高1800メートル、日本屈指の硫黄濃度を誇る温泉だそうですね。
宮田:ありがとうございます。もう本当に温泉だけは日本一だと自負しておりまして、良泉と呼ばれる温泉の五大要素というものがあるんですけれども、その五大要素っていうのが、自噴、白濁、高温、効能、かけ流し。この五つの要素が揃っているものを良泉と言われているんですけども、万座温泉は本当に全てのその五つの要素が揃った最高の温泉だと思います。
由結:最高の温泉!旅館ではどんなプランがあるのですか。
宮田:一番人気なのは“湯治プラン”です。3泊以上していただきますと、通常の半額近くで1泊お泊りいただける、そういったプランもございます。
由結:それはお得ですね。長い方だとどのぐらい泊まられるんでしょう。
宮田:私が最高知っていますのは、120泊された方がいらっしゃいました。3カ月間以上、日進館から仕事の現場に通っていらっしゃいましたね。
由結:うわぁ、夢のような生活…きっと健康になられたことでしょうね。
宮田:硫黄の匂いに包まれて、日々健康になられる方も多くいらっしゃいます。
由結:白濁したお湯…気持ちよさそうですね。でも、この間までコロナの時期ということもあって、2カ月間、休館なさってたそうですね。
新型コロナウィルスによる、150年の歴史の中で初めての休館
宮田:そうなんです。当館は150年の歴史があるんですけども、4月、5月と丸々休館をさせていただいたのは初めてのこと。現在は、密を避けるということで、宿泊プランといたしまして、“一人旅”という宿泊プランを出させていただいております。通常1泊でお一人様で宿泊されますと、2名様でお泊りいただく方の1.5倍の料金がかかってしまうんですね。それをやはり今こういう時期だからこそ、1名様でご利用いただきながらテレワークをしていただいたり、密を避けながら一人旅でも比較的安くお泊りいただけるプランを出させていただいています。
由結:先ほどの“湯治プラン”もそうですけれども、価格的にとてもリーズナブルですね。
宮田:ありがとうございます。やはり高いとどうしても足を出向くのが遠のいてしまうのかなと思いまして、日進館ではやはりお客様に何度でも帰ってきていただけるような旅館づくりというのを目指しておりますので、価格帯の部分からでも、皆様にお届けしやすい価格帯に考えておりますね。
各地のファンクラブ“日進会”
由結:各地にファンの方がいらっしゃるそうですね。
宮田:ありがとうございます。“日進会”というファンクラブがございます。各地域にいろいろな“日進会”がありまして、そのお客様が毎月団体様でお越しいただくというようなファンがいてくださいますね。
由結:ファンの方がお喜びになる努力をされているのでしょうね。
心身の健康をお届けできる宿
宮田:日進館が一番力を入れているのは“健康をお届けできる宿としてありたい”というのがあります。もちろん、お食事からの健康ということで、“まごわやさしい ご膳”というものを考えております。豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、芋といった、本当に昔のおばあちゃんの知恵袋を借りたお食事のご提供をさせていただきながら、体の健康とともに心の健康も大切ですので、夜8時になりますと、毎晩フロアショーを行っております。そこで様々なゲストの方にご出演いただきまして、音楽やお話を聞いていただいたり、実際にお客様と一緒に音楽を歌ったり、歌を歌ったりすることによって、「心から健康になりましょう」という企画を行なっております。
由結:例えばどういう感じの音楽が聞けますか。
宮田:本当に70年代、80年代の昔の懐メロを届ける日もあれば、第一線でご活躍なさっているジャズマンの方に来ていただいたり、時々ヴァイオリニストの方に来ていただいたりと、本当に豊富に揃えております。
由結:一日中楽しめますね。宮田さんご自身は歌われるのですか。
宮田:たまにですね。バンド時代の曲を歌っております。
由結:それはファンはたまらないですね。旅館がひとつのコミュニティになっているんですね。
宮田:はい。そのように宿づくりを力を入れておりますね。そして、日進館は来ていただいて健康になっていただくということを力を入れておりますので、そういったプログラムを様々ご用意させていただいてる中で、もう一つが健康プログラムというプログラムもございます。これはチェックアウトしていただいたお客様もご参加いただけるプログラムです。「実際に体を動かして健康になりましょう」というプログラムです。
由結:例えばどんな?
宮田:ヨガをはじめ、オリンピックの選手たちのパーソナルトレーナーを手掛けてくださってる先生にお越しいただいて、「実際に体を動かして、運動量を上げましょう」というプログラム。ときにはヴォーカリストの方による健康増進を目指すプログラムなど、様々な先生をお呼びして、実施しています。
由結:そうですか。ちなみに、宮田さんはたくさん資格も持ってらっしゃって、女将修行なさっている傍ら、勉強されたということですか。
宮田:ありがとうございます。何か日進館で役に立てたらなと思いまして、いろいろとマクロビオテックの資格などを取りまして、その知識を生かして食事をご提供させていただいたりしています。健康プログラムでも私が講師としてエクササイズを行わせていただいたりしておりますね。
女将自らがアイデアを出して企画している“万座温泉グッズ”
由結:アイデアは女将になられて5年目になると思うんですけれども、その間、自分でアイデアを出したりされているのですか。
宮田:はい。有難いことにやらせて頂いております。思ったことをすぐに実行してしまう癖がありまして(笑)。やりたいと思ったら突き詰めてやらせていただいてるのがその健康プログラムとお食事の提供。そして、日進館の温泉の成分を使った商品開発もしております。やはり万座から帰ってしまうと、どうしてもまた次に温泉に入るまでに時間がかかってしまうので、万座の温泉に入りたい、でもおうちから行くのにはちょっと時間がないという方に、温泉で作った何か商品をおうちに持って帰っていただいて、おうちでも万座温泉を感じていただければいいんではないかなと思いまして、その商品をマイブランドとして立ち上げまして、すごくお客様にご好評いただいております。フェイスマスク、石鹸、入浴剤などたくさん取り揃えております。
由結:使うと美しくなれそうですね。
宮田:ぜひ、お試しいただけたらと思っております。
由結:それでは、最後にリスナーの皆様に向けて、メッセージをお願いします。
宮田:はい。温泉は日本一だと思っております。それに付随しまして、日進館で行っているプログラム、全て満喫してお帰りいただければ、絶対と言っていいほど健康になって、心も体も軽やかになっているかと思っております。ぜひ日進館へお越しいただけたらと思います。
由結:素敵なメッセージをありがとうございます。2週に渡りまして、本当にありがとうございました。またぜひ遊びにいらしてください。
宮田:ありがとうございます。
宮田まいみさんのプロフィール |
1980年 日進舘の長女として生まれる |