歌手 バンジャマン・ルグランさん「父 ミシェル・ルグランから学んだこと=“結果を出すには努力が全て”」
目次
新アルバム『Moulin Rouge』
由結:本日は…あの巨匠、ミシェル・ルグランさんのご子息、歌手、バンジャマン・ルグランさんから、特別にフランスよりメッセージをいただいております。後ほどおかけいたします。そして、本日のご出演ですが、アーティスト、さかもと未明さん
さかもと:はい。よろしくお願いします。
由結:そして、アレンジャー/コンポーザーのクリヤ・マコトさんです。よろしくお願いします。
クリヤ:どうも。よろしくお願いいたします。
由結:さて、冒頭でお聴きした音楽なんですけれども、素晴らしいデュエットでしたね!
さかもと:ありがとうございます。
由結:バンジャマン・ルグランさんと、さかもと未明さんのお声なんですよね。
さかもと:そうなんですよ。クリヤ・マコト先生がミシェル・ルグランさんと共演されたこともありまして、そのご縁から、息子さんをご紹介いただきました。フランスの巨匠の息子さんとパリで録音するようにアレンジしていただけるなんて、普通だったら考えられないことじゃないですか。それで長い時間かかりましたけど、今回のアルバムが完成したんです。
由結:感動ですね。聴きどころ満載です。アルバムのタイトルが『Moulin Rouge』というタイトルですね?
さかもと:そうですね。曲は基本的に、大好きなミシェル・ルグランさんの曲を8曲ぐらいかな、入れたんです。それ以外にも、ジャズだとか、それからシャンソンの中かからいくつか曲を選びました。“ムーラン・ルージュ”って昔の有名なキャバレーですよね。そういったところの文化が混ざり合って、“文化のおもちゃ箱”みたいな感じ。それで、現代感覚と昔のアナクロな感覚が混ざってるような、そういうものを作ろう、と。
クリヤ:まさにそうですね。
ワールドワイドな世界観
由結:なるほど。クリヤ・マコト先生が、この企画に携わっていらっしゃるということなんですけれども、この世界観を作るのに、どんなことをお考えになられたんですか。
クリヤ:とにかく音楽として広がる感じですかね。豊かに広がる感じ。それは要するに、最も映画音楽とか、音楽自体が豊かな時代を生きてこられたわけですよ。
バンジャマンはフランスの友人なんですが、僕がアレンジして未明ちゃんに歌ってもらったものが非常にユニークだということで、本人にも聴かせると話していたんです。とにかくミシェル・ルグランが活躍されてきたときっていうのは、映画を見ても素晴らしいし、その音楽を彼が書いてるわけで、その影響を息子さんが受けているんです。だから、フレンチではあるんですけども、フランス発ワールドワイドな…。
さかもと:本当に、ワールドワイド!
クリヤ:本当に広がる、今の時代にもっと必要な豊かさ。それは音楽だけじゃなくて、生活、人生の豊かさみたいなものが60年代の後半に花開いてるんですよ。
さかもと:素晴らしかったですよね。
クリヤ:そう。それが、70年代のいろんなブームにつながっていくんですよね。そういう部分の…
さかもと:根源的な音楽の力!
クリヤ:それを意外と現代人は知らないのはもったいないんじゃないかなと僕はすごく思うんです。
さかもと:そう、若い人に知ってほしい。
クリヤ:そういったことを実は伝えたかったっていうことと、未明ちゃんの歌に、そういうそのサウンドカラーがすごく合うと僕は思ってたんです。
さかもと:嬉しい!
ずっと後になっても聴ける音楽
クリヤ:うん。だから、100年保障じゃないですけど、本当にずっと後になっても聴けるような音楽を作りたかった。
さかもと:そういうふうに作っていただいたの。私には過分なプロデューサーなんですけど、もう天才なんです!
クリヤ:いやいや。
さかもと:本当に素晴らしいんです!私の力以上のものを本気でつくってくださった。私がちょっと病気があってってことを相談したのが先生とのお付き合いの始まりなんですけど、下手であっても、私、音楽に対して真剣だったので、先生はそれをすごくわかってくれて、「じゃあ僕も真剣に応える」っていう感じでした。最初のアルバムもよかったけど、10年目の正直って感じで、花開いた感じしますよね。
クリヤ:本当に、そうですね。
さかもと:今回は二人とも納得で、今回の曲なんかを、この間もコンサートでやったんですけど、その60年代に“おもいでの夏”とか、“シェルブールの雨傘”を観たお客さんが泣いちゃうの。
クリヤ:ああーいいですよ。本当に。
由結:人々の魂、スピリットを揺さぶるんでしょうね。このCDを携えて、今度10月23日にも素晴らしいコンサートを行いますよね。
さかもと:はい。
紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAでの公演
由結:紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAでのご公演ということなんですが、今どういう状況なんでしょうか。
さかもと:私はもう練習に入りました。でも、その前の事務的な準備が意外と大変なんですよ。やっぱり大事なお客様をお呼びするんで、そういうチケットのご案内のいろんな用紙を作ったり、お申し込みが来たとき、どうやって席順を作って、それで間違いなんかないようにチケットを送る。間違っては大変ですから。
由結:そんなふうに思いを込めて、いつも取り組んでいらっしゃるんですね。今回の見どころは何でしょうか。
さかもと:先生、どう思います?
クリヤ:CDでも十分広がった音楽の豊かさっていうのは提示してると思うんですけども、未明ちゃんは元々画家であり、版画家であり、元々はマンガも描かれた、本当にマルチな芸術家なので、そういった部分がステージ上で出ますね。
さかもと:私、今回PV結構作ったんですけど、皆さんにすごいいいって言われたんです。多分、私はストーリーを作る人間。この音楽にはこういうふうなビジュアルっていうのが、すぐできちゃうんですよ。ポンって全部作って、だからやっぱりおっしゃるように、サザンシアターの公演も、お芝居を見てるような…。
クリヤ:そう。元々サザンシアターはそういう会場ですからね。
さかもと:そうですね。見て楽しい、聴いて楽しい。そういう感じにしたいですね!
クリヤ:そうですね。
由結:とっても楽しみです!
さかもと:ありがとうございます。
3人の出会い
由結:ところで、バンジャマン・ルグランさんと、クリヤ先生と、そして、さかもと未明さん。このつながりというのはどうやって生まれたんですか。
さかもと:元々、先生がお知り合いで、日仏会館でコンサートをバンジャマンさんと一緒にされたんですよね。
クリヤ:パリの国際交流基金の日本文化センターで僕のコンサートやるときに呼ぼうかなと思って。もう元々はパリで、サンジェルマン・デ・プレで演奏してるときに飛び入りしてきたんですよ。かくかくしかじか、「ミシェル・ルグランの息子なんだけど、なんか一緒に曲やれないか」って言われて、「親父の曲知ってるか」って言うから「知ってるよ」って。
さかもと:それは知ってますよね(笑)
クリヤ:それでやったのが、最初ですかね。
由結:なるほど。それをきっかけに公私共に仲良くなられた、と。
クリヤ:僕の親交の中でいろいろ演奏会を一緒にやるようになって、その流れでちょうど、さかもと未明というアーティストが登場した。未明ちゃんは、元々フレンチ、あとはシャンソンの活動もありますからね。そういった意味でフレンチベースなところがあるんで、だったらバンジャマンを紹介しようかと。まあ、そういうことですよ。
さかもと:いや~でもね、そんな大事な方を、世界の巨匠ですよ。その息子さんをわざわざ私を信じてご紹介くださったわけじゃないですか。バンジャマンって、いい意味ですごいお坊ちゃん。あんな心の素直な人はいないですよね。
クリヤ:そうそう。
さかもと:本当にやさしくて気前が良くて。お父様のミシェル・ルグランもジェネラスな、オープンマインドな人だったって、インタビューで言ってますけど、もっと、もっとオープンマインドですよね。
クリヤ:そう!
さかもと:すごいやさしいの。自然体。なんかね、有名人の子弟だっていう気取りが全然ない人ですよね。
クリヤ:ないですね。ないない!
さかもと:着るものも本当適当でね(笑)。
クリヤ:そうそう(笑)
由結:なんと、そのバンジャマンさんからのメッセージをいただいているということですので、ここでお聞きしたいと思います。
さかもと:聞きたい!
(番組で流れたバンジャマンさんのメッセージはYouTubeの最後に流れますので、お楽しみください)
バンジャマン・ルグランさんからのメッセージ
由結:さあ、ということで、今メッセージをお聞きしたんですけれども、英語でのメッセージでしたので、未明さんから要約していただいてよろしいですか。
さかもと:簡単に要約しますね。
「日本の皆さんに会えて嬉しいよ」
この銀座ロイヤルサロンのことを話したら、
「ロイヤルサロンの皆さん、こんにちは」
そして私が「お父さんってどんな方だったの?」っていうふうに質問しました。そうすると、「とにかく働きづめの人だった。天才だったかもしれないけれども、それ以上の努力をしていた人で、僕が彼に教わったのは、何かを手に入れたい、結果を出すには、努力が全て。全力で働くことだった」と言っています。
由結:あの素晴らしい作品というのは、もちろん才能というのはあるんでしょうけれども、努力があったということなんですね。
さかもと:そう。それはもう普通じゃない努力だったんです。彼はこう言いました。「自分は父親のそばにいて、世界中の才能あるアーティストの現場をそのまま見ることができたから、非常にラッキーだった。そして、コンポーザーとして、父は本当にどんなときでも、いつもどんな曲を作るか考えていました。だけどそれと同時に、非常にオープンマインドな人で、人に対して心を開く、そういう素直な人でした」
そして私が「どの曲がお父さんの曲の中で一番好きですか?みんないい曲だから選ぶのは難しいでしょうけれど」って言ったら、『シャンソン&マクサンス』っていう曲があるんですね。実はバンジャマンは最近お子さんがお生まれになったんですよ。「それについてはどうですか?」って聞いたんです。そしたら、「ああ、もちろんあれは名曲で、『ロシュフォールの恋人たち』っていう有名な映画の挿入曲。
今自分の子供が2歳半なんですが、自分もその曲を聴いたころそのくらいの年齢で、「君のための曲を作ったよ」って父親に聞いたのをおぼろげにだけど覚えているんです。そういうこともあって、自分がマクサンスって名前を彼に付けたですよ、そういう意味でこの曲は、とても好きですね」と言いました。
私のことをとても褒めてくれて「未明はいろんな才能にあふれている。いろんな喜びを、人とシェアする気持ちとパワーにあふれていて、一緒に仕事をして楽しかった」と言ってくれてます。
そして最後に、最近彼はレオ・フェレというフランスのたいへん有名なシャンソンのミュージシャンのカバーをたくさんされていますが、「どうしてレオ・フェレなの?」って聞くと、「父だけじゃなくて、レオ・フェレも天才で、非常にインテリジェントなところが僕はすごく好き。そういうフランスの文化を伝えたい。天才の曲を伝えることで、僕も本物になっていきたい」とおっしゃっていました。
由結:ありがとうございます。素敵なメッセージをいただきましたね。
さかもと:はい。
由結:素晴らしい面々が今度の10月23日、勢ぞろいするということですので。
さかもと:バンジャマンさんはこのコロナの時期ですので、ビデオ出演してくださいます。
由結:はい、とても楽しみです。次週はクリヤ先生をメインにしたお話を伺ってまいります。
クリヤ:よろしくお願いします!
さかもと:今日はありがとうございました!
由結:ありがとうございました。
バンジャマン・ルグランさんのプロフィール |
Benjamin Legrand / Singer べンジャマン・ルグラン/ 歌手 |