飯田泰之さん 経済学者 明治大学政治経済学部 准教授「思考の型を身につけよう」
目次
“お金”とは何?
由結:さあ、それでは本日の素敵なゲストをご紹介いたします。経済学者、明治大学政治経済学部准教授でいらっしゃいます、飯田泰之先生です。よろしくお願いいたします。
飯田:よろしくお願いします。
由結:本日は大変お忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。
飯田:お招きありがとうございます。
由結:早速ですが、お金の問題、特に経済について、リスナーの皆さんは苦手だと思ってらっしゃる方も多いようです。日本ではお金に対する教育がなされていないという実情があるのが原因のひとつだと思いますが、まずは“お金とは一体何なのか”について教えて頂けますでしょうか。
飯田:はい。お金というといろいろな区分がありますけれども、お金と聞いたときに現金を思い浮かべる方が多いでしょう。一方で、「お金のこと」というと、いわゆる資産から所得、稼ぎ方まで、いわゆる経済活動全部をひっくるめてまとめてお金という名前で呼んでいることも多いかと思います。
“お金”の教育が欠如した理由
飯田:このお金に関する教育が日本では非常に薄い。というよりもむしろ回避しようとしてきたんじゃないかというきらいもある。これはまさに日本の近世、江戸時代、江戸期からの教育の特徴で、とくにある程度当時の上流階級である武士の間では、お金自体が汚らわしいことである……と。実際、中の下ぐらいの武士でもほとんど現金そのものに触らないで生きていくことが可能なんですね。支払いは勝手口で、使用人がやるものだった。そういった感覚もあってか、とにかく教育段階において、お金の話っていうのはごっそり抜けてしまってるんですね。
由結:なるほど。そういった理由があったんですね。
飯田:はい。しかしその一方で、当たり前ですが、我々現在行われている公教育、公の教育というのは、別にその特権階級のためだけの教育じゃないわけです。しっかり金銭的な面での教育をしていかなければいけない。
ただ、ここで問題なのが、小中高校の先生。いわゆるお金に対して「受け身」の付き合いしかしてこなかったし、していない人たちなんですね。大学を卒業して、教員採用試験受けて、教師は教師で非常に大変な仕事なんですけれども、金銭面で今月売り上げが少なかったから収入が減ったり、例えば夏休み期間、授業がないから給料が止まったりっていうことはないわけです。
また、税金も元々天引きされて送られてくる。年金についても、これは学校の種別によりますけれども、比較的やはり公務員、または私立学校でも共済等で手厚いということですと、ほとんどお金については他人任せでもなくなるまで、今まではなんとかなってきたという。ですから、教えようにも先生方が一番素人なわけですから…。
由結:伝わりようがないですよね。
最低限必要なお金の教育 その1-もしものときのために
飯田:そうなんです。だからこそ、最低限必要なのは二つのお金の教育です。一つはもしものために。例えば自分が失業したり困窮状態に陥ったり、現在で言えば、このコロナ禍の中で非常に厳しい状態になっているとき、どういう支援策があるのか。これを本来であればしっかりと、とくに中学生以上であれば教え込まないといけない。
由結:はい。確かに。
飯田:これは今すぐにでもできることですし、実はこのコロナ関連のいわゆる家計救済策についても、しっかり消化している、つまり使っている市町村と、あまり使ってない市町村があるんです。これあまり使ってない市町村は、別にコロナショックで被害を受けた人が少ないわけではない。町の広報がうまくいってないので住民の方が制度の存在を知らないんですよ。
由結:なるほど。せっかく作った制度が使われていないということになってしまいますね。
飯田:そうなんです。だからこそ、自分が生活に困ったとき、役所のどこにいけばいいのか。誰に相談すればいいのかっていうのをもう少し知らせていく必要があります。これが一つ目のいわゆるもしものときのための経済知識。
最低限必要なお金の教育 その2-お金を儲けることへの意識
飯田:もう一つ、これは経済知識として必要なのは、お金を儲けるっていうのは何をしてることなのかを教えること。学校教員の方でもお金を儲けるっていうのを誰かから奪ってくることだっていう感覚が非常に強い。例えば私が100円儲けたら、由結さんが絶対100円損してるはずであるっていうふうに。
由結:損得勘定が生まれてくるんですね。
飯田:そう。感覚が強いんですけれども、現実の経済取引はウィンウィン、お互いに得だから取引が行われている。これをしっかりと教えないと、なにか儲けというものそのものについてしっかり理解することができないからこそ、すぐにお金というと、お金儲けといえば、誰かから奪ってくることだって感覚でいる限り、実際ビジネスを成功させることはできないと思いますね。
由結:なるほど。そうですよね。なにかしら後ろめたさであったり、負の感情を持っているという状況になりますよね。
飯田:そうですね。あとは逆に儲けるからには他人のことなんかどうでもいいんだっていう悪いほうへの開き直りも生まれやすくなりますよね。
由結:なるほど。根本的なところから意識を変える必要があるということなんですね。
飯田:そう。これはやはりどちらかというと、本当にもう小学校段階からウィンウィンだからこそ取引が成り立ってるんだっていうのをしっかり教えていく必要あると思いますね。
その一方で、やっぱりこういった“お互いウィンウィンでしょ”っていう感覚は、例えば取引するときにどちらか片方が損してるのであれば、よほどの強制力がなければ、「いや、そんな取引嫌ですよ」って言ってるはずですよね。取引に合意してるってことは、お互いになんらしかの得が、うんと得な人とちょっとだけ得な人っていう差はあるかもしれませんが、少なくとも取引がないときよりも豊かになってるんだという視点。こういったことは、一つは寓話でもいいし、たとえ話でもいいし、そしてもちろん歴史でもいい。いろいろな形で何重にも学んでいくと、心に染み入ってくるっていう…。
由結:なるほど。素読や読み聞かせをする中でお話の中から学ぶ教育がありますが、お金の概念についてもいろいろな形で学ぶ必要がありますね。
進路選択のポイント
由結:ところで、飯田先生はもともと経済学にご関心があったんですか。
飯田:実は私、経済学部に進学したの、全くの偶然です。ざっくりの区分けですが、大学で文系といえばかつては法学部か経済学部か文学部でした。その中で私法曹、つまり弁護士、裁判官等に特別な興味はなかった。かといって、別に文学少年とかでもなかったと。大体今でもそうなんですが、とくにやりたいことが明確じゃないと経済学部に行っちゃうんですよね(笑)
大学院の進学はある程度意識はしていたんですけれども、その一方で、当時結構予備校バブルでして、1990年代ですね。だから予備校の先生、私塾の教員で、一般的なサラリーマンぐらい稼いじゃってた。だからしばらくこれを続けてもいいかなと思っていたんです。かといって、その塾の先生以外にもなにかやりたいと思ったときに、研究自体も興味出てきたので、大学院に行くことにしました。
大学院に進んで論文を書いてて、ある意味すごく運がよくて、その時期、わりと経済学系の教員って売り手市場だったもので、ある意味でいうとその流れのまま進んでいった感じはありますね。
由結:先生が進路選択にあたり、経済の世界を元々目指していたわけではないとお聞きしてとても驚いたんですけれども、飯田先生が考える進路選択のポイントについてお聞きしてよろしいでしょうか。
飯田:はい。そうですね。進路選択のとき、大学生、新入生、または進学が近い年齢のお子様を抱えてらっしゃる方に強く言いたいのですが、18歳ごときで人生の将来の道や希望が明確に決まってる人ってかなり珍しいんですよ。
由結:そう思います。
飯田:なのに社会は、または最近では高校が将来なりたいもの、職業とか理想とする20年後、30年後を見据えて進路選択しろとかっていう無茶なことを言うんですね。ですから、僕自身は例えば高校生向けの、またその高校生のお子さんがいらっしゃる方向けの講演では「あんまり深く考えないほうがいいですよとお伝えします。
由結:なるほど。
飯田:例えばアスリートや音楽家、またはそのほか、弁護士、医者など、それが明確に決まっている人はいいんですが、そちらのほうが珍しいんだよっていうのを十分意識しておく必要あると思いますね。
由結:先生にそう言われるとすごく楽になりますね。親御さんの反応はいかがですか。
飯田:「大変、その通りだ」だというふうに思われる方が多いですね。不思議なもので、今例えば20歳のお子さんがいらっしゃるとすると、親御さんは50前後ぐらいですかね。「あなた、18のとき、そんなこと考えてた?」って突くと、「考えてなかったわ」って。
由結:ドキッとしますね。
飯田:世の中全体が、「明確な目的を持って、それに向かって効率的に最短距離をいかなければならない」という考え方に少し染まりすぎてるんじゃないかなと思うんですよ。
由結:なるほど。
飯田:実際、これは私たちの世界、経済学の世界でも“最適化”という言葉があります。最適化と聞くと、何か一つの目標を定めて一直線に進んでいくのが効率的だって思われるかもしれませんが、最近ではその方法は決して最適な状況をもたらさないっていうことがわかってきている。
例えば、コンピューターシミュレーションで最適な経路とか最適な解法っていうのを探すためには、わざと回り道したり、わざとてんで違うところを探索したりっていう逡巡をくり返したほうが、よりよい解を見つける可能性っていうのが高まったりするんですね。
由結:なるほど。その確率が高いということなんですね。
飯田:ええ。だからこそ、ものすごく単純な問題以外については、意外と最短距離に見えるものって最短距離じゃないことがあるっていう、こういったところも重要なポイントなんじゃないですかね。
由結:なるほど。これもいわゆる“経済学思考”と思ってよろしいんですか。
“思考の型を身につける”ことの重要性
飯田:そうですね。経済学に限らず、実は大学で勉強することって何なのかというと、決して大学、特に学部4年間で専門的な知識はたいして身に付かないんですね。むしろ、身に付けてほしいのは、その分野の考え方のパターンみたいなものなんです。
例えば私のゼミですと、いわゆる計量分析。データを集めて統計的に分析するっていうのが一応専門分野ということになってます。そこで伝えたいことは、「調べものをするときにデータを集める」というのは何をすることなのか。何か問題にぶつかったら、まずはデータ分析。つまり、誰かがやったデータ分析を探すということです。
次に、もう少し細かいデータがないか探す。出た細かいデータを一般的にはこの手順でまずグラフにして…とか、統計量取って…など、そのステップがルーティーン化されていくところまで追体験する。
そうすると、実際、経済学の研究者になる子ってうちのゼミでほとんどいないわけです。日本の大学がだいたいそうなんです。そうすると、将来ビジネスマンになったとき。例えば最近だとAIとか機械学習などが流行っているんですが、そのバックヤードで行われてることに何となくのイメージがつくんですよね。
恐らく「こういう感じ」
ってことはあそこのデータを使って、大体分析手法はあっち系の、いくつか、計量分析はパターンがありますけれども、「あっち系の分析手法を使って何かしたんだろうな」
って…すごく漠然としていますが。
由結:なるほど。推測していくんですね。
飯田:そうなんです。こういったところも重要で、思考の型がゼロだと、何を考えるにしてもゼロから考えなきゃいけない。もちろん、ゼロベースで思考することの重要性っていうのを主張される方もいますけれども、ビジネスマンになって毎日毎日様々な仕事上のタスク、全部ゼロから考えてたら、とても時間なんか足りない。
由結:確かにその通りですね。
飯田:ですから、問題処理の基本的な型を、例えば経済学部の中でも統計系だったらデータをどう集めるのか。また、理論系だったら例えば「自分以外の人もまた、自分同様にその人の個人的な満足度を高めようとして行動しているという前提で物事を考える。法律学であれば、「どういった形でその法的な根拠に裏付けられているか。」なんでもいいと思うんです。文学研究だったら、「それぞれの分野にある、問題にぶち当たったとき、課題が与えられたとき、まずとっかかりをどう考えるのか。」と。
由結:なるほど。いわゆる型、枠組みですよね。
飯田:そうですね。そういった思考のフレームワークを伝えるのが今流の大学での学部教育の重要なポイントなんじゃないかと思いますね。
由結:先生のご著書の数々を拝見すると、非常にわかりやすく全体像が見やすいと感じます。枠組みがわかると学生さんもそのあとの勉強に入りやすいんじゃないかと思ったんですが。
飯田:実際に心理学の実験でも確かめられてるんですけれども、これから例えば「このフラワーアレンジメントの花器を作るので、この藁を1本ずつ同じ長さに揃えて結んでください」っていうふうに言われて作業をしている人と、藁束を渡されて「これを同じ長さに切りそろえてください」。…疲労度が後者のほうがずっと高いんです。
由結:あぁ、なるほど。どこに向かっているからわからないからですか。
飯田:そうそう。前者はこういうのを作るために今この作業をしていて、ってことは、このぐらいの長さになったら多分終わるんだろうなっていうのを見ながら作業してる。
由結:ゴールが見えますもんね。
飯田:そう。それなしに同じ作業をさせると、非常にストレスが高くなるわけですね。
由結:なるほど。
飯田:だからこそ、一度とても大きな雑な地図を見て、目的地の近くになったらもうちょっと細かい地図を見てっていうふうに、ステップを踏んでいく。これは例えば新人教育等でも重要だと思います。私も企業研修関係の講師を時々やりますが、下手なメンターって、やたら次にやることを教えるんですよね。
例えば、新人くんとかはもちろん次にやることを教えてもらわないと何もできないは確かです。一方で、次から次へと、次にやることをただ与えられると、自分が何をしてるかわからないのですごくストレスなんです。大企業の新人研修の中で評判悪いものがときどきあるのはそれで、自分が何をしてるのかわからないと。
由結:どこに向かっているのかわからない。
飯田:そう。実際、大企業だと仕事もかなり細分化されてる。一方で、ベンチャー等で満足度が高いことがあるのは、仕事がすごくきつかったりはしますけれども、何をやってるのかはわかる、と。そういった差みたいなのも人に教えるっていうときには重要になるんじゃないんですかね。
飯田先生が人生で大切にしていること
由結:なるほど。経済学思考…とてもわかりやすいですね。先生が今までずっと生きてこられた中でも人生で大切にしていることがもしありましたら教えていただきたく思います。
飯田:それはいろんな人に言ってることなんですけれども、“流れに逆らわない”っていうことは重要なんじゃないかなと。それは“世間に迎合していきなさい”という意味ではなくて、例えば、お仕事の機会をいただいたときに、よほど嫌じゃなきゃまずやってみるとか、何か試してみたら楽しいかもしれない。やんないで後悔するよりやって後悔したほうがいいなと。一方で、これは学者っぽくないですが、「自分はどうもここのところ運がないな
と思ったら、大人しくしとくと。
由結:なるほど。自分でもそう感じたときには素直にその感覚に従うんですね。
飯田:そうですね。まさに『人生の岐路に立ったとき、常に困難な道を選んできた』と言ったのは岡本太郎さんですが、私は逆で、岐路に立ったら楽そうなほうを選んだらどうだと思ってるんです。
由結:迷ったときには楽なほうを選ぶ!
飯田:そう。短期的に楽という意味ではなくて、自分に合った、または自分が無理をしなくても対応できることをやったほうがいいと。これ様々な企業経営もそうですし、地域戦略でもそうなんですが、わざわざ自分が不得意な分野を頑張ろうとしたり、または自分にとって不利な土俵で戦おうとしてる人がいる。
確かに少年漫画ならばヒーローたるもの困難を乗り越えないと漫画にならない。でもそれは漫画の世界であって、やはり自分にとって一番楽にできることっていうのは、恐らく自分にとって適性があることだと思うんですね。だからこそ、自分にとって勝ちやすい土俵。戦いやすいフィールドっていうのを選んで行いく。そういった効率性っていうのも重要なのかなと思います。
由結:なるほど。本日のフレームのお話を伺い、人生がとても生きやすくなるように思います。先生、2週に渡りましてすばらしいお話ありがとうございます。
飯田:ありがとうございます。
由結:もしよろしければ、最後にリスナーの方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。
飯田:そうですね。やはり様々なフィールド、ビジネスだったり、または日常生活でも、自分自身にとって輝けるフィールド。それをどうやって探すかというのが大切。さらに、自分にとって一番気楽な、みすぎよすぎの仕方っていうのを見つけられたかどうか。結局人生における成功って誰もが羨むお金儲けをすることでもなければ、何か表彰されることでもなくて、自分自身が何となく楽しく過ごせること。そういったところにあるんじゃないかなと思いますね。
由結:素敵なメッセージを有難うございました。
飯田:ありがとうございました。
声診断コーナー
由結:さあ、それでは、ここからは声診断コーナーです。こちらは声診断ソフトを用いて、ゲストの方のお声を分析していくというコーナーなんですが、声診断について、本日はユウキアユミワールドアカデミー学長の稲井英人さんと共にお送りしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
稲井:よろしくお願いします。
由結:まずは“声診断”ついてご説明頂けますか。
稲井:私たちは人と会話をするときに、もちろんしゃべりますね。これを一つのコンサートと考えます。観客席にいるお客様はあなたのコンサートをどのように印象を感じてるんでしょうね。それを12色の色と波形、波で表すんです。それによって、自分は人にどういう印象を与えてるのか…それと同時に12色の能力、才能、個性も分析することができるんです。これが1点目です。
2点目が深層心理。例えば胸に手を当ててしゃべってみましょう。すると、自分がここが震えているのがわかりますね。こういうのを波形上では“内側の波形”と言うのですが、そこにも色と波が出てくるんですね。それを読み取ることにより、「表ではこういうふうな印象を与えてますが、深層心理では、実はこんなふうに思っていませんか
と、無意識の領域まで目で見ることができるんです。
これを確認することによって、自分を知り、より人とのつながり、お仕事、コミュニケーション、その能力を上げていくことができます。そのツールの一つとしてご活用頂いています。
由結:はい。本日はどのような結果が出るのか、とても楽しみですね。
稲井:それでは、飯田先生は普通にお話いただきます。そのしゃべった内容は録音はできません。響きで、「あー」っていう響きとか、「うー」という響き。その響きがどのように伝わるかというのがわかるものなのです。
まず最初に先生の自己紹介を簡単にしゃべっていただいて、それからいろいろなお題に入っていきたいと思うんですが、12秒ほどで1つ波形が取れますので、簡単に自己紹介をいただけますか。
飯田:「こんにちは。明治大学政治経済学部の飯田泰之と申します。元々の学問上の専門はマクロ経済学の計量分析という分野なんですけれども、現在は地域経済であったり、市街地の活性化など、地方創生のアプローチというのを合わせて、様々な形で研究を進めております。
【現場・現実を動かすレッドの波形】
稲井:はい。ありがとうございます。なるほど。先生のお声は力強い。レッドが非常に強い。レッドは、現場、現実を動かす。そして、生命エネルギーやパワーを表します。
だから、先生がしゃべり出すと、例えば、大学で講義をする間、生徒たちはエネルギーを感じ取ります。だからできることならば、リモートではなくリアルの授業がいいと思いますよ。“観る”“聴く”“感じる”の中の、“感じる”の領域をより活用してお伝えすることをおすすめします。
【マイワールドのイエロー】
それから、イエローもよく出ています。これは自分の世界。マイワールドをお持ちの方なんですね。だから飯田世界、自分の世界だっていうのもをしっかりお持ちなんですね。
深層心理で持っていきますと、先生の内面には、マゼンタピンクとバイオレットも出ています。大きな優しさがあります。だからもしもきつく相手に言ったとしても、愛が伝わったりするんです。
【周囲を巻き込むライムグリーン】
反対のほうにイエローとかライムグリーンが出ているんですが、これがある人っていうのはカリスマの才能がありまして、勝手に周囲がついて来るんです。だから先生が普通にしゃべっているだけで、人がついてきやすい。そういうお声ですね。
次にちょっと先生にお話いただきたいのが、ご自分が普段リラックスして友だちとゆったりしゃべってるときの感情をちょっとイメージしていただいて。
飯田:はい。改めてやると難しいですね(笑)。
稲井:俳優さんになっていただきます(笑)。普段お酒飲んだとき、ゆったりしたときはどのようにお過ごしになっているんですか。
飯田:そうですね。お酒飲んでるとき、私あんまり難しい話しないほうなんです。ずっと比較的テンション高く仕事のことを考えたり話したりされてる方も学者だと多いんですけれども、あまりそんな感じはないですね。なんかダラダラッとなんとなく相槌打ったり、大して内容のない話をしたりと、そういう感じのことが多いですかね(笑)。
【“経済・お金”のテーマを扱うのがぴったり】
稲井:なるほど。先ほど、とくにこの真ん中のものがそうなんですけども、すべての色の声が出ているんです。さあ、今からだってときはエネルギーが強いんですけど、必ず出るのはこのレッド、オレンジ、ゴールドというものが出てくるので、やはり先生は“現場型”の方。
例えば経済やお金を扱うというのは非常に合ってますね。そして内側のほうを見てみますと、そうですね、先生の声はどこにでも通用する声なんです。これっていうのは。全部出てますでしょ。普通はもっとこう凹凸があって、出てる波形と出てないところはよく出るものなんですが、先生の声は全方位的にどういう方にも受け入れられやすい声だと思います。
発声練習などは特にやってないですよね。
飯田:してないです。
【根底に“癒し”と“愛”のある声】
稲井:奥深いところには、やはり本当に、癒しの声の部分が一部あるんですよ。
飯田:そうですか。
稲井:はい。やわらかさというかあたたかさというか、これがある人って非常に有利で、例えば現代人だったらビートたけしさんもそうだけども、「お前コノヤロウ」とかキツイ言葉で言ってるのに、なにか相手は笑ってたりしますよね。それは、そこに愛があるからです。
だから人によっては、冗談で言ったつもりなのにグサッときて逆に傷ついたりする声と、それとものすごくきつく言ってるのに逆に相手は癒されてたり…先生は後者のお声もお持ちです。
また、先生は将来、今はコロナでこういう状態なってますけども、ご自分なりにこれから5年先10年先、こんなふうにしていきたいなど、未来をお考えになってることとかありますか。
飯田:そうですね。経済学的な研究も大切なんですけれども、ある程度、いわゆる今の政策論争みたいなのが終わったら、もっと研究の軸足、歴史に移したいなと思っていまして、むしろ研究者だけではなく、それこそ伊東潤先生のように、いつか小説を書きたいなと思ってますね。
稲井:小説!ジャンルや時代はどんなものをお考えなのですか。
飯田:そうですね。基本的には元々好きだったので江戸のいわゆる世話物って言いますけれども、江戸の庶民の暮らしであったり、捕物帳であったりっていう、いわゆる時代劇になるようなタイプの話をやりたいなと思います。
【信念のゴールド/ワクワクのオレンジ】
稲井:いいですね。そのお話をされると、ゴールドが出てきます。ゴールドは自分の信念とか軸なんですね。そこの部分が先ほどのレッドのところよりもゴールドイエロー、あとオレンジが出てきたので、楽しい、ワクワク、俺はこれでいくぞ!みたいな、そういうエネルギーになってるみたいですね。自分の気持ちがそのまま相手に伝わるんです。
【5年先・10年先を見通すネイビーブルー】
そのときには、これバイオレッド、ネイビーブルー、これが“第三の眼”のところですね。先々をビジョンを見て、自分なりに分析、解析して、そして今度はグリーンが出てきてます。内側に。これは自分と自問自答して、自分と会話してるんです。その状態がこのように声がはっきり出てきます。
飯田:確かに、そういえばなんだろうって、5年先10年先って言われたんで考えました。
稲井:はい。グーッと考えたのがここに出てくるんですね。これ非常に人間って面白くて、先生のように人前でご講演されたり、表現者の方っていうのは、これをある程度頭の中に入れておくと、今の自分の声の状態がわかります。「普通にしゃべったときは力強さが伝わっているんだ」とか。それから、相手の話を聞いたり受け入れたりやりとりするときは、実はグリーンを示すんです。すると、相手が門戸開放じゃないですけど、「先生が受け入れてくれてる
って印象を持つんですね。
そして、ブルーの部分。ここは強すぎますと、分析、解析して逆にきつい印象を与える場合があります。例えば、金融機関、銀行員の方などクールのイメージがありますよね。分析ばかりのイメージ。これが表に出たときはちょっときつい印象を与えてしまうのですが、このバランスだと、非常にいいです。
これが表の声って言いまして、人に与えている印象。そしてこの内側。これが内側の声って言いまして、実は楽器、人間の体は楽器なので、先生がギターだとすると、ボロボローンと響いてるのがこの外側の声。先生の内側で響いてるのがこの二重円の部分。ここが内面を表します。そこの響きが実は相手に伝わっていくというところですね。
先生が今後、課題としてどんなふうにしていったら、先生の能力が発揮できるかというところなんですけども、これ、先生は胃のあたりですね。胃のあたりっていうのはこのイエローのところなんです。
先生のように人の前に出ていく方とか、影響を与えようと思ったら、このイエローっていうのが一番内側にもっともっと出てくると、より影響力が増します。特に芸能人や俳優さんは、ここをより活性化させると印象に残るんですよ。
要するに胃に手を当てて、そして、「ハアー」って黄色を見ながら8秒吐いて4秒で吸う。これをぜひやってみてください。すると、このイエローの声が出やすくなるんです。腹が据わってきてより声に深みが出ます。
飯田:はい。ありがとうございます。
由結:さあ、声診断コーナーが終わりましたけれども、飯田先生、いかがでしたか。
飯田:話してる内容だけでも随分波形が違うんだなと思いました。とくに何かしゃべり方を変えてるつもりはないんですけれども、内容だけでこんなに変わるってちょっと面白いですね。
稲井:はい。相手がそのように受け取っているということです。これを先生が頭に入れられて、今はこの声が出てるんだと意識されるとますます効果的なご講義、ご講演になると思います。
由結:これからがますます楽しみですね。飯田先生、ありがとうございました。
飯田:ありがとうございました。
飯田先生への質問コーナー
由結:さあ、それではここからは飯田泰之先生にお聞きしたい質問コーナーにいきたいと思います。視聴者の方からご質問を預かっておりますので、ぜひ先生に伺っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
飯田:はい。よろしくお願いします。
【コロナの前と後でどんな準備をしておけば良いのか】
由結:まず1つ目です。「コロナの前と後でどんな準備をしておけば良いのでしょうか」50代の会社員の方からです。
飯田:はい。なかなか難しい質問なんですけれども、実はコロナショックって非常に特徴的な経済危機で、ほとんど何のダメージもない業界。むしろ伸びてる業界っていうの、たくさんあるんですね。例えば有名どころですとPCソフトから、あとは意外なところだと家具、家電。家の中にいると家具がちょっと古いなとかって思っちゃったりするんですよね。
由結:確かに。目に留まってしまいますよね。
飯田:そうなんです。それで昨年の法人税収はむしろ増えているんです。その一方で、飲食サービスや観光業は売上が8~9割減という企業もざらな状態です。ここまで業界差が大きいというところから、その自身の業界がどういった形で復活していくのか。そしてもう一つの準備としては、会社員とはいえ、例えば様々な形での行政の支援策とか、行政が提供してるサービスで自分が使えるものはないか。こういったのを調べる。こういったことは必要だと思いますね。
由結:ただ不安に思うだけではなくて、できることの準備をしておくということですね。
飯田:また、例えば今こんなにいわゆるお金が借りやすい状態、または利子優遇が行われている状況っていうのは少ない。こういった融資の制度であったり、行政による補助金等っていうのはちょっと調べてみるといいと思いますね。
【今の紙幣はなくなり、デジタル通貨や仮想通貨に変わるのか】
由結:有難うございます。次は「今の紙幣はなくなり、デジタル通貨や仮想通貨に変わるのでしょうか」という30代の男性、経営者の方からのご質問です。
飯田:はい。これを非常に大きな問題として捉える方がいるんですけれども、私は実は特にデジタル通貨については何も特殊なことではないと思っています。かつて江戸時代には貨幣の材質っていうのは金か銀だったわけですね。でもその時代から実はその小判1枚分に含まれてる金って非常に少ないんです。小判1枚で小判3~4枚分の金が買えちゃうっていうケースもあったりとかね。ですから、ある意味でいうと、それって金でできた紙幣だったんです。
由結:なるほど。金そのものだったんですね。
飯田:そうですね。それが紙の紙幣になって、今度はデジタル的な、データとして保存される紙幣になっていく。いわゆる現金の材質が変わっているだけなので、私はそんなに大きな問題ではないと思っている。
また、ビットコインやイーサリアムのようなクリプトカレンシーとか仮想通貨と呼ばれるもの。これについても、いわゆる日本円とかアメリカドルに取って代わることは私はないと思っています。
一方で、この仮想通貨については発展途上国の通貨に変わっていく可能性があると。正直、現時点でも発展途上国って自国の通貨だけだとちょっと信用がなくて誰も使ってくれないんですよ。
だからこそ、ドル化現象って言うんですけど、中南米とか、あとは東南アジアの一部の国とかでは、もう自国で通貨作ってはいるんですけど、それは誰も使わず、基本的に米ドルで取引してるっていうことが起きる。
でもこういうドル化が起きると何が問題かっていうと、アメリカから金融制裁を受けたときに、息の根が止まっちゃうんですよね。だからそういう意味で、エクアドルとかは実験的に試みようとしてますけど、途上国で、かつ、これからアメリカと敵対的な関係になる可能性がある国は仮想通貨を自分の国の通貨にしていくっていうのは、十分考え得ることだと思います。
【混沌とした時代…自分や家族の身を守るためには】
由結:なるほど。国によっては仮想通貨が通常の通貨になっていくことは施策として考えられるということなのですね。ありがとうございます。次です。「混沌とした時代にどのようにしたら自分や家族の身を守れるのか知りたいです」40代の主婦の方からのご質問です。
飯田:これはやはり、サラリーマンであれば副業、また、現在仕事をされてない配偶者ありの女性であれば、どういった形で自分がお金を稼いでいけるのかっていうのを考えていく必要があると。やはり1個だけの収入に頼ってしまうと、それがいつか途絶えるかもしれない。
でも収入の源が、例えば一人で3つも4つもは無理かもしれないですけれども、ご夫婦でそれぞれ2カ所ぐらいお金を得る方法っていうのを考えておくと、いざというとき、そのうち1個ぐらい、4つ全部同時に潰れちゃったらそれは人生そういうこともあるとしか言いようがないですが、いくつかそのリスクを分散させた働き方についても対応しておくと良いと思いますね。
由結:一業種だけではなく複数の財布を持つ。いくつかの策を持っておくということですね。
飯田:そうですね。あとはもう一つはやはり固定費を下げるというところで、固定費というのは大体の場合、家賃or住宅ローンなんですが、その固定費をどうやって下げるのかというのを、今一度工夫しても良いかもしれないですね。
由結:なるほど。ご家族で一度検討する機会を早めに設けたほうがいいかもしれないですね。
飯田:そうですね。月々、景気がいいときにたくさん使うのはいいと思うんですよ。いつもケチケチしてたら楽しくないですから。ですが、月々絶対に出ていってしまうお金っていうのをどう圧縮するのか。住宅ローン、家賃の見直し。あともう一つは実は保険を日本人の場合、過剰保険っていうんですけれども、保険掛け過ぎてる人って多いんですね。ちょっと見直す機会を設けてもいいかもしれないです。
由結:そうなんですね。知らず知らずのうちに積み上がっていく固定費。
飯田:そう。心配だしせっかくだしみたいな形で積んでいったものがどうやって見直せるかっていうのも重要だと思いますね。
【団塊の世代など高齢者の経済へのかかわり方】
由結:ありがとうございます。次の質問です。「団塊の世代など、高齢者の経済へのかかわり方。お金をどのように使えばよいのかという相談を受けることがあります。ヒントがあれば教えていただきたいです」という、40代男性、福祉関係職員の方からです。
飯田:こちらは福祉を受けられている方を見ての感想かと思うんですけれども、なかなか難しい。70台前半くらいまでは、お金をたくさん使いたいという意欲もあるというんですね。むしろ追いつかない。お金が足りなくてできないこともあるっていうのがその時期なんですが、もうちょっと年取ってくると、正直、ある程度年金額が大きい方。貯蓄額が大きい方だと、使い道に困るっていう現象が起きると聞きます。
旅行もちょっと体力的にそんなに行きたくもない。食べ物もそんなに豪華なものほしいわけでもない。着るものもいつものでいいかってなっていく。ですから、一つもちろん高齢者の方、生活不安を払しょくするような社会的な政策必要だという一方で、ある程度経済力に余裕があるご高齢の方が楽しめる消費対象とか、お金を使う方法っていうのもこれからのビジネスにとって大きなポイント、チャンスになるんじゃないですかね。
由結:なるほど。企画する側もそこを一つターゲット層にするということもありですね。
飯田:そうですね。やはり、旅行業界がそうですけれども、60代後半~70代前半で旅行業界当てに当てましたから。そういったビジネスモデル。今度は75歳~85歳にどういうビジネスモデルがあるのかを考えなければいけないでしょう。
由結:人々の年齢が上がると共に、寿命自体も伸びている時代ですからね。いろいろ考えるところがありますね。
飯田:そうですね。
【なぜ経済成長する必要があるのか】
由結:ありがとうございます。次は「なぜ経済成長する必要があるのでしょうか」という10代の学生さんからの質問です。
飯田:はい。これはポイント2つです。一つは人間って普通に仕事をしてると、だんだん仕事の効率が、作業効率が上がっていくんです。経済成長全くしないでみんな作業効率が上がっていくと、例えば毎年みんな2%作業効率が上がっていくってことは、毎年2%人がいらなくなってくってことですよね。ということは、それだけ失業者が生まれるっていうことになる。人間、勝手に効率が上がっていってしまう作業が上手になってしまうので、経済成長してないと仕事がなくなっちゃうんですね。これが1つ。
そしてもう1つ。貧しい人を救うためにお金が必要ですと。それがやるとき、経済成長してないと、今持ってるお金を奪って貧しい人に与えることになる。
由結:それでは無理が生じてしまいますね。
飯田:これはもう政治的に無理だと思います。一方で経済成長していると、その増えた分のうち、お金持ちの方も増えた分の半分は自分のものにしてください。半分は社会のためにいただけませんかっていう分配を政治的に通すことが楽になるんですね。この点から、経済成長しないとやばいっていうことになる。
由結:学生さんの素朴な疑問だったと思うんですが、非常にわかりやすい解説有難うございます。学ばせていただきました。先生のこういったお話につきましては、飯田泰之で検索していただきますと、たくさんのご著書の情報がヒットします。それからnoteでも、配信をなさってるんですよね。
飯田:そうですね。メルマガをやっていますので、興味があったら。
由結:音声もあるんですか。
飯田:そうですね。大体週2か3更新で音声半分の文章半分ぐらいのコンテンツです。
由結:貴重なお話の数々がお聞きできるのですね!リスナーの皆さんもぜひチェックなさってみてください。先生、本日は本当にありがとうございました。
飯田:ありがとうございました。
飯田泰之さんのプロフィール |
1975年 経済学者 明治大学政治経済学部准教授 東京大学経済学部卒業。同大学経済学研究科博士課程単位取得。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、内閣府規制改革推進会議委員、総務省自治体戦略2040構想研究会委員などを歴任。 |