立澤賢一さん 元HSBC証券会社 代表取締役社長 実業家「経世済民の最先端を駆け抜ける」
関連リンク:2023年 立澤賢一さんのインタビューはこちら
元HSBC証券会社 代表取締役社長 実業家 立沢賢一さん(1)
元HSBC証券会社 代表取締役社長 実業家 立沢賢一さん(2)
銀座ロイヤルサロン1週目
由結:それでは本日素敵なゲストにお越しいただいております。元HSBC証券会社 代表取締役社長で、現在は、京都橘大学 客員教授、実業家、さらに金融・情報リテラシー向上を目的とした無料サイトNEICを運営している立沢賢一さんです。よろしくお願い致します。
立沢:よろしくお願いします
由結:そして本日はユウキアユミワールドアカデミー稲井英人会長も同席してお話を伺ってまいります。
稲井:よろしくお願い致します。 いや〜待ってましたよ。
由結:一般の方々も知りたい情報が満載だと思うので、楽しみですね。
稲井:そうだと思います、初めてお会いした時のオーラも忘れられません。立沢さんと言えば金融のスペシャリストですよね、一番お聞きしたいのはお金の意識というものがありますよね、どのようにして強めてきたんでしょうかね。
目次
お金の意識を高める三種の神器
立沢:まず今日お呼び頂いてありがとうございます。過去の出演者の方々を全てチェックしたのですが、私のような金融を専門にされている方の出演は以前1人も居らっしゃらなくて、もしや場違いではないか?と思ってますので、お呼び頂いて大変恐縮しております。過去に出演された皆さんは飲食・芸術・美容・健康・エンターテインメント・音楽・観光・伝統文化・医療・教育・デザイン・ファッション・俳優・大使館のいずれかに属性のある方々ですが、その皆さんが共通して生きていくために必要なのがお金なのです。世界では民主主義国だけでなく、北朝鮮を除けば社会主義国でも市場経済を取り入れてますから、やはりお金のことはよく理解しておかないとダメなので、今週来週は現実的なお話ですが我慢してお聴き下さい。宜しくお願い致します。
お金の意識をどのようにして高めるのですか?という質問を受けますと、私は自分が勝手に名付けている「お金の意識を高める三種の神器」をご紹介します。
三種の神器1 お金の年表
1つ目がお金の年表です。人生には数々のライフイベントが有ります。一般的には、結婚して、住居を購入し、子供を育て、親の介護をし、自分も介護され、死んで行くのですが、これらがそれぞれ何年後くらいに起こるのかを予測し年表にしてそれぞれのイベントに想定金額を当てはめる作業をするんです。手書きでも出来ますが、可能でしたらマイクロソフトのエクセルとか表計算ができるソフトを使うと楽です。
例えば結婚でいうと500万かかりますし、住居は地方ですと2〜3000万、東京だと5000万以上、子育ても公立だと1400万、私立だと3000万、これから世界に通用する人材に育成するため海外の大学に行かせますと6000万、アイビーリーグやスタンフォード大学のような名門私立ですと8000万位かかります。プラス親の介護費用は自宅介護で550万、介護施設に入ると1000万〜1億、更に自分の介護費用も親の介護費用と同じだけ掛かり、葬式費用で200万。このように羅列していきますと食費などの生活費を入れなくても生涯で億単位のお金が必要になってくるのです。
まだ現役のうちは頑張って働けば良いのですが問題は老後です。老後に着目しますと、去年日本中を騒がせました金融庁の報告書によりますと、老後2000万円が不足するという計算になるというのです。あれはどういう条件かと申しますと、①夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職である。②人生100年時代を踏まえ、30年後(夫95歳、妻90歳)まで夫婦ともに健在。③その間の家計収支がずっと毎月5.5万円の赤字で消費支出は月額235,477円想定なのです。毎月5.5万円×12をして×30年だと約2000万になるんです。それには介護や葬式費用などのライフイベントは含まれていません。ですからそれを含めると老後も3000-7000万円のお金が必要になるのです。
そういう意味では結論としては,年表を作って頂く中で各家庭がどの様なお金の未来予想図を描くかを事前に計画しておく事が必要なのです。
三種の神器2 家計簿
2つ目は家計簿。一体自分が生活する上でいくらの生活費が掛かるのかを認識するための手法。最近ではスマホの家計簿の無料アプリがあります。お金を使った時にその場で記録できますから、それを利用するととても便利です。私もこれを数ヶ月やりましたが、これをやると無駄な物を買わなくなります。それが本来の目的ではないですが、質素倹約されたい方には特にオススメです。
三種の神器3 資産と負債表
3つ目は資産と負債表です。お金を産むものは資産、お金が出るものを負債。財務会計上は家も車も資産ですが、私の言う資産と負債表は、家は賃貸収入を産み出しているのであれば資産ですが、自分が住んでいて、固定資産税を支払っているのであればそれは負債と仕分けします。車も自家用であれば負債、レンタルに出せて、収入を産み出すのであれば資産です。このようにお金を産んでくれるか、自分がお金を支払って維持するかによって手持ち動産・不動産を分別するのです。そうすると本当に自分にとっての資産と負債は何かが分かります。
このようにお金の意識を高める三種の神器をご自分で作成してみますと、長期、中期、短期に分けて自分が何をしなければいけないのかが分かる筈です。恐らくまずは金額の大きさにショックを受けると思います。そして如何にお金が必要かという逃げれない現実に直面するのです。危機感を持てることが大事です。これをやりますと誰でもお金に対する意識は以前とは格段の変化を遂げると思います。
教育は広義の投資
稲井:なるほどね、数字と向き合うという事ですね。
立沢:向き合うと同時に将来を見据えて自分がどれだけ必要なのかを事前に計画しておくという事ですね。
稲井:学校では教わりませんからね。
由結:確かに、そうですね。
立沢:多くの方々はやったことはないと思いますけど、試算してみますと「こんなにかかるんだ」と。さっきご紹介しました資産表・負債表によって資産と思って買ったものが結局負債だったという事が分かってしまうのです。
稲井:学校教員の時に「お金の話はするな」というのがあったけど、今の考えは本当に大事ですよね。現在も大学・サロン・WEBなどの各位方面で発信を続けているけど親御さんに向けて子供のどんな教育を受けさせたらいいですかね?
立沢:私は教育を広義での投資だと定義してます。子供がどのような教育を受けるべきかは親が決めないと分かりません。親が線路を敷くのです。ですから親が相当時間とエネルギーを費やして子供が受けるべき教育の種類を選択しないといけないのです。日本には色々な学校があります。公立や私立やインターナショナルスクール。それぞれの中にもまた色々なタイプの学校があります。ですから、周りが皆目指しているからという理由で闇雲に慶応の幼稚舎に入りましょうではなく、親がよく調べて自分の子供に適した教育とは何なのか?をまず考え、そこから逆算してどのような学校で子供に教育を受けさせるべきかを決めなければなりません。先程のお金の年表と同じように子供の教育年表が必要なのです。
最近では多くの親御さんが精神的に病みそうになる程の厳しいお受験に挑戦しているようですね。親子の二人三脚で勝ち抜き、結果日本の一流大学に入学し、4年間勉強をした後、就職活動で子供が人生で初めての一人立ちをするのですが、マイナビ・日経就職企業人気ランキングによりますと、2021年度文系学生の上位5社の希望就職先は1位JTBグループ(19年1位、18年4位)、2位ANA(19年2位、18年1位)、3位東京海上日動火災保険、4位JAL(19年5位、18年2位)、5位オリエンタルランド(19年12位、18年5位)です。トップ5のうちの4社が観光関連企業です。2003年に日本は観光立国宣言をしたので、その影響があるのだと思いますね。でも、この調査結果に私は正直、ちょっと複雑な気持ちになってしまいました。ご参考までに、米国大学生の人気ランキングは1位Googleに次いで2位ウォルトディズニーカンパニー、3位アップル、4位ナイキ、5位JPモルガンです。米国大学生は就職先を日本の大学生のように「職種」で選ぶというより社風や事業内容で決めているようです。
稲井:なるほどね。
立沢:因みに、ハーバード大学の研究ではあくまでも米国人が対象ですが、子供にお金をかけた金額が高ければ高い程、子供が将来高い地位や年収を得られる可能性が非常に高いという結果が出てます。また、2000年にノーベル経済学賞を受賞しましたジェームズ・ヘックマン教授は、5歳未満の児童に対して高度な総合教育を施せば、投資額に対して年利13%のリターンが得られると発表しています。正に投資ですね。まあ結局のところ、子供の将来を思えば、子供の教育費は親はケチってはいけないということです。そして、親の見栄や自己満足の為ではなく、自分の子供に適した教育とは何なのか?の目的を成就するために、お金をより正しい方向に使うべきということです。
由結:貴重なお話有難うございます。立沢さんは来週も出ていただけるという事ですので、楽しみにしております。
立沢:よろしくお願い致します。
由結:ありがとうございました。
銀座ロイヤルサロン2週目
由結:それでは本日の素敵なゲストをご紹介します。元HSBC証券会社 代表取締役社長、そして現在は京都橘大学 客員教授、実業家、さらに金融・情報リテラシー向上を目的とした無料サイトNEICを運営している立沢賢一さんです。よろしくお願い致します。
立沢:よろしくお願いします。
由結:2週目もご登場いただいておりますが、先週もとても勉強になりました。今週も更に深めていきたいと思います。今週のテーマは「世界の一流人に学ぶ資産運用法」という事ですが、世界の一流を色々と見てこられた立沢さんにお聞きしたいと思います。
そして本日もユウキアユミワールドアカデミーの稲井英人会長とともにお話を伺います。
日本人が参考にすべき資産運用法
稲井:先週の話、ワクワクして時間を忘れる程でしたものね。まず立沢さん、世界の一流の方達とお会いしてきたと思いますが、その方々が実行している資産運用で私達日本人が参考にしておくべき事を教えてください。
立沢:これをお話しすると4時間必要なのですが、それを5分くらいに纏めるのは至難の技です。今日はお時間が限定されてますから2つのルールだけご紹介致します。
1つ目についてご説明します。
日本人の保有資産の内訳は日銀調査統計局の数字に寄りますと、現金・預貯金が約53%、保険・年金等が約28%と家計の金融資産の約8割を安全資産が占めています。そしてリスク資産と見られる株式は10%、投資信託は3.9%とリスク資産はあまり持っていないのが現状です。
参考までに、アメリカ人の保有資産内訳は、株式が34%で投資信託などのリスク資産は全体の50%以上、保険・年金等が約31%となっています。つまり、リスクはありつつも資産が増える可能性の高いと思われる資産に5割、安定した資産に3割とバランスを取っているのが分かります。
だからと言って日本株に投資を推奨しているのではありません。例えば30年前ですから1990年に、日経平均に投資したとしますと保有資産は現在マイナス30%になってしまっていますが、米国株に投資してましたら投資金額は約10倍に増えてました。例をあげますと、30年前に1000万円投資した場合、日本株でしたら現在700万円に減価している計算になりますが米国株でしたら1億円以上になっていたのです。つまり、何でもかんでも投資すれば良いのではなく、同じ株式という金融投資商品でも実績に雲泥の差があるのです。
これは何を意味してるかと申しますと、ルールその1ー価格形状が右肩上がりの投資資産でないと長期運用しても資産を増やせないということです。とても大事なルールです。あとで出て来ますが、世界一の投資家であるウォーレン
・バフェット氏は自分がアメリカ人として生まれて来なければ、今の自分は居ないと断言してます。アメリカ人として生まれ、身近にあった米国株に投資したこそが成功の理由だと言うのです。日本人として生まれていたらただの株で損したおじいさんになっていた筈だったでしょう。
そしてルール2つ目、これは複利と言う概念です。20世紀最大の物理学者アインシュタインが、自身が発明した特殊相対性理論でもブラウン運動の理論でもなく複利の概念を「人類最大の発明」「宇宙で最も偉大な力」と賞賛したのです。
複利とは「元本だけでなく、利子が利子を生む」という考え方のことです。利息でも配当でも良いですが、毎年受け取る利息や配当を再投資することです。複利の対義語に「単利」があり、これは最初の元本だけが利息を生み続けるものを指します。例えば100円を年率10%で運用した場合、一年後110円になります。そこで利子の10を引き出さず、10も運用しますと元本が110になります。110で10%運用しますと2年後には121になります。単利ですと元本は100のままです。年利5%で複利運用した場合、30年後に複利効果で単利の約1.7倍(4.3倍vs 2.5倍)も増えるのです。その概念を最大限に利用したのが世界一の投資家ウォーレン・バフェットです。彼は50年間で年率平均19.2%で複利運用し、資産を6513倍も増やしたのです。それで彼は世界一の投資家になったんです。多くの一流人はこれを利用してます。
先週お金の年表のお話をしましたが「億単位のお金を貯めるのはどうしたら良いのでしょう?」と動揺された方もいるかも知れませんね。でも若い方は大丈夫です。例えば、25歳の人が1000万円を年率6%で40年間複利運用しましたら65歳時に1000万円が1億円を超える程増えるのです。40年という時間の価値が活躍してくれてアインシュタイン称する「宇宙で最も偉大な力」複利パワーで老後必要なお金を準備することができるのです。
注意する点について、投資と投機を誤認して短期売買を投資と呼んでいる人が居ますが、成功する投資は投資資産の価格動向に一喜一憂するのではなく、投資したことを忘れてしまうくらいが良いのです。そして忘れてしまった投資資産の存在を20年とか30年後に思い出して売却すれば、短期で相場を見ながら売り買いを繰り返している投資家よりも遥かに高いリターンを得ることができている事実に自ら驚くことになるでしょう。ですから、注意する点は相場変動に一喜一憂する短期売買に傾注しないことです。
一流人の言動や考え方とは
稲井:すばらしいですね、一流の方々はそういう考え方で動いている事がよくわかりましたが、特に今までの一流の方で印象に残っている考え方はいますか?
立沢:やはり一流の人はノイズ(雑音)に惑わされません。、我々庶民は「コロナショックだ!」と右往左往します。然し乍ら、一流の人はコロナショックで全然ショックを受けていないんです。逆に資産を増やしている人が多くいるくらいです。彼らは普段から大局的に物事を俯瞰してますから、地に足がついているという表現が良いかと思います。そして人と違うことをする。もちろん、それには恐怖や不安を感じますし、勇気が必要です。しかし、周りの人と同じことをしていて、周りの人よりも圧倒的な成果を出せるなんてことはありえません。「非常識な」行動や考えた方にこそ、成功への道があるのです。
稲井:そうですね
立沢:例えばイーロン・マスクは会社設立当初からネットで自動車の色やタイプをインプットしてもらって電気自動車を売ろうとしました。当初は誰もが試乗なしでネットで車が売れるわけないと嘲笑っていたのですが、そのテスラは時価総額でトヨタ自動車を抜き、創業僅か17年で時価総額世界最大の自動車メーカーにのし上がったのです。マイクロソフトのビルゲイツ、アマゾンのジェフ・べゾフやアップルのスティーブ・ジョブズなどなど人がしないことをできる分析力と勇気と行動力を持ち合わせてこそ一流人となったと言えるのです。世界で偉業をなした方は最初はダメだというものも信念を持って突き進めた結果、大きな成功を勝ち得ています。
“人と違うことをしてはいけない文化”について
稲井:なるほどね、日本は出る釘をガンガン打つじゃないですか。それに対してはどう思いますか?
立沢:教育もそうだと思いますが、日本では人と違う事をしてはいけない文化があります。それは非常に残念です。私が若い頃は、決められたレールに乗って、一流企業に入社することが良しとされていた時代でした。今の時代は一流企業に入るよりもヤマっけがあって自分で起業するくらいの強いパッションをお持ちの人の方が恐らく明るい未来が待っていると思います。
稲井:増えてきていますからね。
立沢:20代や30代の若手のガッツある若者たちと会う機会が多いのですが、若かりし自分が今の彼らと競争していましたら確実に負けたなと思います。今の時代に若くなくて良かったなと。(笑) 日本には優秀な人財がたくさん居ます。日本人も捨てたもんじゃないのです。但し、そういった優秀な人たちが海外に逃げていかない様に、日本の政治家は彼らが日本で頑張りたくなる仕組みを作って貰えたら、日本の未来は明るくなると思います。
稲井:そうですね、政治家も若返ってほしいですね。
由結:立沢さんに2週に渡ってご出演いただきましたが、最後にリスナーの方にメッセージをお願いします。
情報リテラシー向上を目的とした無料サイト“NEIC”
立沢:私は金融・情報リテラシ ー向上を目的とした無料サイト NEIC を運営していますので、ご興味のある方は是非サイトにアクセスして頂けたらと存じます。無料ですが、しっかりと真面目にやってますので、皆さんにとってきっとお役に立つ情報を入手できると思います。 「立沢賢一」で検索して頂き、「公式サイト」にアクセスして下さい。
稲井:すぐ入ろう、勉強します。
由結:必要な良い情報は自ら取りにいかないといけませんね。
立沢:今は情報過多の時代なので情報をうまく取捨選択し分析できる能力がないと、情報に惑わされてしまうんじゃないかなと思います。 これからの時代、金融・情報リテラシーを身に付けることが必要不可欠となる筈ですから。
稲井:いや〜出会えて良かった
由結:本当にありがとうございました。
立澤賢一さんのプロフィール |
1985年4月住友銀行(現 三井住友銀行)入行 |