ベンジャミン・スケッパーさん 演奏家・作曲家・プロデューサー・弁護士「ARTとCULTUREで世界平和を」
銀座ロイヤルサロン1週目
目次
弁護士からアーティストへ
由結:それでは本日の素敵なゲストをご紹介いたします。オーストラリア出身、演奏家、作曲家、プロデューサーでいらっしゃいます、ベンジャミン・スケッパーさんです。
ベンジャミン:よろしくお願いします。
由結:ベンジャミン・スケッパーさんは弁護士としてご活動されたあと、アーティストとしてのご活動としては、世界のハイブランドとコラボレーションを行うなど、多くのグローバルな活躍をしていらっしゃいます。アートと科学、そして音楽をつなげていった経緯をお聞きしてよろしいですか。
ベンジャミン:そうですね。この時代に何を信じるべきかっていうこと。宗教とかそういうことじゃなくて、客観性の持つものとしてはサイエンス、科学があると思っています。自分が音とか音楽のクリエイターとして、どういうコラボレーションができるかなと思って、リサーチ、研究したものをベースに、クリエイティブに表現しています。そんな中、いろいろと話が盛り上がって、世界中で活動をしているんです。
由結:一つのジャンルに収まってないということですよね。
ベンジャミン:まあ、そうですね。なかなかジャンルを選べって言われても、幅広い世界で活動してきてるので。弁護士っていう資格を取得し、働いてもいたことはもちろん、ロシアのエルミタージュ美術館とか、去年、人工的な霧を発明した、もう88歳になる中谷芙二子氏とのオーストラリアの国立美術館とのコラボレーションとか、そういう本当に一流のレベルで活動できるようになった自分は、非常に感謝の気持ちを込めて努力しています。
登録有形文化財 九段ハウスでの5感を刺激するイベント
由結:素晴らしいですね。本当にそうそうたる方々とのコラボレーションが行っていらっしゃいますが、実はこのラジオにご紹介いただいたのが能楽師の大倉正之助先生ですよね。
ベンジャミン:そうですね。もう神様のような存在感。一度ライブで一緒に即興で演奏したんですけど、また来週私がプロデュースする九段ハウスというところで共演するので。
由結:九段ハウスは国の登録有形文化財だそうですね。
ベンジャミン:そうですね。ヨーロッパ、スパニッシュの宮殿のような造りでありながら、和洋折衷、畳の部屋もあり、4階建ての本当に素敵な建築物です。なおかつ、そこで自由に表現できるようになる、やはり東京っていうメガシティ、大好きなんですけど、場所があまりない。アーティストとしてはそういうプラットフォームとしての場所があんまりなくて、優れたクリエイターズが大勢いるにもかかわらずなかなか表現できるところがなくって、できなくなってしまって。やっぱり市場が大きくならない中、今回の九段ハウスは信頼関係で使わせて頂けることに。
世界中活動しいろんなジャンルのコラボレーションをする。アートも、ファッションも、サイエンスも、数学も、何でもコラボすることによって、実験することによって、新たなクリエイションが誕生する。いわゆる今の世界のイノベーションにつながるかと思うんです。日本はもっとアートやカルチャーを大事にしていただき、それも一つのお仕事として認識していただければなと思うところです。プラス、企業レベルで、政府レベルでももっと貢献しなきゃいけない。特にこのコロナの時代だからこそやりたいと思って、今回の九段ハウスのイベントを開催することになりました。
由結:そうなんですね。今回のイベントは五感を刺激する…というのがコンセプトのひとつに挙げられていますが、詳細は秘密なんでしょうか。
ベンジャミン:まあ、そうですね。知的財産的に秘密じゃないんですけれども(笑)。
日本ではあんまりログインされなかったと思うんですけど、今年はやはりどこかでみんなストレス抱えたり、4月ごろに休校になったりとか、オリンピックやるかやらないか、どうしようか、どうなるんだろうっていう不安を抱えてることは世界中一緒だと思います。
やはりその中で、「アートと音楽、そのクリエイティビティは、あなたにとって価値あるのか」っていったら、みんな「もちろんありますよ」と。じゃあ今回のイベントもやっぱり1年近く、ほとんどのパフォーマーとかアーティストが活動できなくなってしまった中、タイミング的にはちょっとクレイジーかもしれないけれども、やっていく。絶対実現するっていう、もう今回のタイミングなんです。せっかく私たちがいただいたこの体、魂もちょっと細胞を全部踊らせるように思って、いろいろ最強の日本人のクリエイターズを合わせて、私の音も聞いていただき、そこでみんな創作をしてくれてるように、インストレーションも、ライブパフォーマンスも、お食事っていうよりはもうフードアーティストレーションも、本当に名だたる素晴らしいクリエイターズが集まってくれて、すごく光栄です。
由結:そうですよね。出演者の方も本当に豪華ですよね。大倉正之助先生とも一緒に活動していらっしゃるミックイタヤさんはじめとして…。
ベンジャミン:セレブシェフのフランチェスコ・ベリッシモさん。彼が研究しているダヴィンチの食卓をモチーフに今回食事を用意していただきます。彼の作品をレストランで食べるなんて、数万するものなんですが。
今回はディスカバリー。発見。よく日本で私も20年近く、行ったり来たり、イベント関わってるんですけれども、全て案内した感じで、なに一つのディスカバリーとか発見がないような感じが多い。だから、今回はもう少しもう素敵な九段ハウスの門を通過したその瞬間に発見があります。
一つのインストレーションとして、コロナ対策としての日本初の機械をみんなその中に入って完ぺきに消毒されるような対策があります。そのときから宇宙の違う次元にいて、もう全ての自分のストレスとか、コロナの全てのご心配も、家族の心配も、お金の心配も全部忘れて、この3時間だけ、もうマジックの世界に入って頂きたい!
由結:異次元の世界ですね。
ベンジャミン:そうですね。それがアートの役割であるんじゃないかなと思います。やはりアートっていうのは私にとっては未来を今見せるということ。最先端っていうところで、我々まだわかっていないかもしれないけど、10年後、100年後かもしれないけれども、あのときそういうことだったんですねっていうことを、気づくためにやるものかなと思っています。
由結:素晴らしいですね。この企画はどのぐらいの期間、考えられてたんですか。
ベンジャミン:(笑)。一応、コロナでイベントしていけない自分のソニーZeppの9月だったはずのツアーも延期って形で、もうイベントできないんじゃないかな、年末まではっていうので、5週間前からやり始めて、九段ハウス側も本当に頑張って、じゃあ何が、形にしましょうという…!出会ったその次の日ぐらいからもうオファーがあって、最初は企業からの支援もなしで、ちょっと頑張ってやりましょうっていう中で、参加してくれるアーティストも、今回協力してくれてるPOMMERYさんのシャンパンとか、COEDOのビールとか、いろんな会社からのスポンサーもあるんですけど、そういった意味でみんなすごく頑張ってくれてると思います。
ウイルスと生きる人間、この何万年の中でこのコロナウイルスで全てを潰してやるっていうわけにはいかないかなと思う中で、今言ったように日本の3月の対策として、集団感染を防ぐ対策を取ったので、今年の冬の勝負はそれかなと思うところもありますよね。
由結:そうですよね。
ベンジャミン:本当にみんなかかって抗体がついてるかどうか(笑)。これからの勝負だと思います。
由結:そうですね。素晴らしいお話たくさん伺ってきたので、このアートという、本当に人生のテーマだと思うんですけれども、ここにかける思いとか、まだまだお聞きしたいことがありますので、ぜひ次週のご出演も楽しみにしております。
ベンジャミン:はい。ありがとうございます。
銀座ロイヤルサロン2週目
アートとカルチャーの価値
由結:さて、本日のゲストをご紹介いたします。ベンジャミン・スケッパーさんです。2週目ご登場いただいております。よろしくお願いいたします。
ベンジャミン:よろしくお願いいたします。
由結:本日はこれからのベンジャミン・スケッパーさんのご活動について、伺っていきたいなと思っております。活動の拠点をこれから日本に置くという計画があるようなんですけど、その理由というのをお聞かせいただけますか。
ベンジャミン:そうですね。アートとカルチャーはみんなの日常生活ではどれだけ価値があるかっていうことについて、伝えていくつもりなんです。コラボレーションなど様々な表現をしていく一方、日本人のクリエイターズは世界配信していきたいっていう気持ちを持っています。国内外の市場のところでやっていきたい気持ちもありまして、それは自分の日本人である祖母のインスピレーション…初めて被ばくして日本から出てオーストラリアに渡ったというところから来ています。
被ばくして日本からオーストラリアへ渡った祖母
ベンジャミン:おばあちゃんのレガシーといって、それを私が今活動しているアートのジャンルっていう市場でできればいいと思うものと、やっぱり日本っていう素敵なクリエイターズがいる、わびさび、その美意識とか、ものすごい美的関係で優れた国にも関わらず、今あんまりそういう関心がないというか、お金の話をするとなかなかお金にならない仕事というか、お仕事にまで考えられてないような、リスペクトがないような、とくにこのコロナっていう時代に、エセンシャルサービスとノンイセンシャルサービスっていう話になって、アートがノンイセンシャルっていう位置づけ。ちょっと言い方を変えてほしい。これは日本のみならず世界中の同じような感覚なんですね。
だからこれからの世界平和とか環境保護、人権問題、あらゆる問題において、クリエイティビティ、アート、カルチャーをベースに解決すべきだっていうことも、国連のワールドエコノミックフォーラムの方にでももう発言してるぐらいなので、この時代、日本がそれをリードしていく。小さな私でもそれの新しいアートムーブメントをリードできるとよいと思って務めております。
1歳半から始めた音楽
由結:そうなんですね。なんでもベンジャミンさんは音楽始められたのがすごく早かったそうですね?
ベンジャミン:1歳半からですね(笑)。
由結:記憶ってあるんですか。
ベンジャミン:ありますね。最初の先生はスズキ・メソードと言って、鈴木鎮一さんっていう、とても優れた日本人の先生が作った方法で、そこから始まっていたんです。叩いてるのを覚えてるっていう、なんかこけしスタイルと…。
由結:ヘアスタイル。
ベンジャミン:そう(笑)。日本人の先生だったんで、それも、だからこけしのヘアスタイルに真っ赤な唇とその化粧品の香り。今でももう香りがするんですよ(笑)。
由結:なるほど(笑)。香りの記憶がね。ヘアスタイルも当時の流行でしょうね(笑)。
ベンジャミン:そう、そう。やっぱりクラシックミュージックをベースにピアノ、チェンバロ、バレエ、オペラ、チェロ、オーケストラもいろいろやってきたんですけど、やっぱり暗記力とか、そういう集中力とか、継続力にもつながるようなツールもついてくるような、非常に厳しい教育をされたんです。今になって振り返って、自分のママとパパ、おばあちゃんにも感謝をしているんですね。
由結:もともとある才能はもちろんですが、環境はすごく大事ですよね。
ベンジャミン:大事ですね。本当にそうですよ。あと努力ですよね、やっぱり。お金があるかないかだけじゃなくて、やっぱりやること。自ら起こすそのスピリットというか、エネルギー。まあ、ストレスもあるんですね。プレッシャーもいろいろあるんですけれども、それを頑張って自分の器の中でうまく処理して、さらに乗り越えて、自分の器を大きくしていくような感じ。
プレッシャーについて
由結:なるほど。ベンジャミンさんはプレッシャーとか感じられたりするんですか。
ベンジャミン:とくに今ですよ。(笑)。
由結:(笑)。そうですか?そんなふうにお見受けしないんですが?
ベンジャミン:いやー、緊張感がないとやっぱりアドレナリン変わらないからね。そういう感じなんですけれど、初めて単独で国際のツアーに行かれたのがもう10歳だったので、やはりオーケストラと自分のソロピアノ、モーツァルトのコンチェルトを弾きながらっていう、非常にプレッシャーを感じたんですよ。
でもやっぱりそのプレッシャーがあるからこそ、パフォーマンスをする。スポーツ選手もそうだと思うんですよね。私も弁護士だったときの裁判に立って弁論をするって同じようなアドレナリン、アンザイティ、いろいろそういうのを切り替えるような、チャンスとしてたくさん子どものときにあったから、今になっては非常に宝物になってるんだろうって思うところありますよね。
由結:そうですね。そのときの経験が今のこのアート活動にもつながっていらっしゃるということですよね。
ベンジャミン:そうですね。そう思います。
由結:また、弁護士でいらっしゃったというところから、やはりこう、使う脳の場所が違うのかななんて思ったりもするんですけれども、その点はいかがですか。
ベンジャミン:そうですかね。まあでも、クラシックミュージック、バロット時代の作曲家でも、法学部に入学したか、本当に卒業までもしたという人が多くて、今、私も大変お世話になった山本耀司さんもそうなんですけど、本人も慶応大学法学部の卒業もしただけで、結局ファッションの方に走っていったんです。右脳と左脳のバランスの取れてるところかなと思うんですけれども、自分がせっかくいただいたこのブレインなので、よく自分で分析するのに、やはりちょっとやりにくいんですけど、両方走ってるっていうところでうまくいかせるといいなと思うところありますね。
多ジャンルでの活躍
由結:そうですよね。ベンジャミンさんはファッションをはじめとする様々な業界でもご活躍ですね?
ベンジャミン:そうですね。ファッション、アート、サイエンス、マースマティクス、いろいろあるんですけど、ちょうど2日前に美智子妃殿下のスピーチをもうこの距離で聞くことができたんです。外交=コラボレーションという、非常に素晴らしい言葉を耳にすることができて、胸に響きました。
だから私の場合はアートといろんな各ジャンルとコラボレーションしていくことなんですけど、それを耳にして、自分がやってること、やろうとしてることについて、力を頂いたと思っています。
奇跡の一本松でつくられた楽器による演奏イベント
由結:素晴らしいですね。ときに、奇跡の一本松。これにまつわるエピソードもおありだそうですね?
ベンジャミン:はい。3.11の東北の震災。もうそろそろ10年になるという話で、忘れてはいないだろうと思うところがあるんです。やっぱりちょっと記憶の中でちょっと薄くなってきたかなと思うところで、たくさんの方々、もう自分の身も犠牲になったっていうぐらい、非常につらい経験をしている人もまだいると思います。
私の本当に大好きな中澤創太先生という、初めてストラディヴァリウスを日本へ紹介し、修理、販売も行なっていらっしゃる、大変素晴らしい方がいらっしゃいます。彼が、最後に立っている一本松が枯れて倒れたとき、枝をもらいにいって、チェロとヴァイオリンとヴィオラを作ったんですよ。
そのチェロを持って、私も来年その3.11に演奏します。実は、その津波も夢に出たんですよ。地震が起きる前に。ちょっとスピリチュアル的な話したくないんですけれども、本当に出てしまって、ちょうどイタリアのローリングストーンズの撮影で、ローマの飛行場に向かっている最中に、その瞬間に起きたんですよ。
この神社の神主さんに連絡して、「何が起きたんですか」って「ベンジャミン。帰らないで。大変です」って言って、本人が茨城にいて、自分のおうち、半分倒れたっていう中で、「もう本当に起きたんだ、これ。恐ろしい」と思ったんです。その夢を見て、すぐに曲がおりて、『For・A・Freedom』という曲が、私の多分全部作曲した中の名曲、ビートルズの名曲といったら『Let It Be』と言えば、私の名曲は『For・A・Freedom』という曲なんです。その曲をその一本松のチェロでいろいろこれから企画して、子どもたちと共に、合唱団も集めて、アレンジしてやる予定ではいますね。
由結:それは楽しみです。これからの未来に向かっていく子どもたちにつなげていくための企画になりそうですよね。
ベンジャミン:そう。そして、毎日どんどんメディアにいろんなニュースが取り上げられていき、皆忘れてしまう。今年のオーストラリアの山火事もすごい悲惨だったものの、それでコロナになってしまって忘れちゃったよねっていう。やっぱりニュースなハプニングも、メディアのコントロールがあって、今回のやっぱり東北震災っていう原発問題っていうものも含めて、世界中に通用する意義があるかなと思うところを、やっぱりこれ日本人の癒しだけじゃなくて、思い出してだけじゃなくて、世界中の全員に思い出していただきたいって気持ちもあって、大倉正之助さんと、中澤先生と私の三人で、何か企画しようという話になっています。またこれから詳細をご連絡するのでお待ちください。
由結:わかりました。ぜひリスナーの皆様も、本当に素晴らしいインスピレーションもいただける機会だと思いますので、ぜひ楽しみになさっていただきたいと思います。
それでは、最後にリスナーの皆様に向けて、メッセージをいただいてよろしいでしょうか。
リスナーへのメッセージ
ベンジャミン:私10年ぶりに今年日本に戻って、いかに自分らしく生きるかっていうことが大切だと思っています。
本当につらい毎日が続く中ですが、自信を持って世界に面して笑顔で、大和魂を忘れずに頑張ってほしいなって思っています!
由結:素敵なメッセージ、ありがとうございます。
それでは、本日のゲストはベンジャミン・スケッパーさんでした。どうもありがとうございました。
ベンジャミン:ありがとうございました。
ベンジャミン・スケッパーさんのプロフィール |
オーストラリア出身の日本人クオーター。演奏家、作曲家、プロデューサー。 2019年3月に、人工の霧を使った「霧の彫刻」で知られる中谷芙二子とコラボレーションし、オーストラリア国立美術館(NGA)にてマルチメディアの演奏を発表。さらに10月には、モスクワのチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院の依頼により、初めてのマルチメディアパフォーマンスをプロデュース、「Praeludium & Fuga」というワールドプレミアを発表。全席完売という結果を出す。 世界の有名なキュレーターより「世界の44名の優れたアーティスト」に選ばれ、2015年にISS宇宙ステーションのArtコレクションとしてゴールドディスクが保管されている。 |