山下裕乃さん 株式会社オータパブリケイションズ 執行役員「ホテルの常識を打破しブライダルから地方創生へ!テーマは、世界最先端のIR。」
2017年7月6日(木)放送 株式会社オータパブリケイションズ 執行役員 山下裕乃さん(1) |
2017年7月13日(木)放送 株式会社オータパブリケイションズ 執行役員 山下裕乃(2) |
由結:株式会社オ-タパブリケイションズ、執行役員の山下裕乃さんです。宜しくお願い致します。
由結:山下さんが執行役員を務める会社は『週刊 ホテルレストラン』という、ホテル・レストラン・ブライダルの業界唯一の専門誌を手掛けていらっしゃいます。業界シェアナンバーワンの専門誌なんですが、これを発刊している株式会社オ-タパブリケイションズで執行役員をなさっているということですね。ちなみに、この『週刊 ホテルレストラン』はどんな方が購読なさっているのでしょうか?
山下:はい。読者の約半分が、ホテル関係者でございます。ホテルレストランと書いてありますが、レストラン部分は比較的少なくて、ホテルが5割という業界専門誌なんです。
由結:そうですか。山下さん自身はどのようにこのお仕事に携わっていらっしゃるのですか。
山下:私は元々ブライダル関係の専門新聞社にいまして、最初はブライダル関係ということで、入ったんですけれども、現在はブライダルを軸にバンケットビジネス、それからさらに拡げて、地方活性化という事で、“アクティブジャパン“ですとか”IR”、そして今、“東京五輪を目指して、全国からの生産物をいかに集めて情報発信できるか“ということにチャレンジしております。
由結:そうですか、もう多種多様な所にチャレンジしているという事なんですけども、その中でも一番力を入れているものは?
山下:はい、今力を入れているのは、やはり2020年東京五輪を目指しての動きです。そのためには、まずは選手村の食材ですね、それをどう確保していくのか。それから日本らしい選手村を作っていくためには、日本の食材をどのように選手の皆さんに食べて頂くのか。それから、VIP、要人達もいらっしゃいますので、VIPの方達のためのお料理をどう提供していくか。こちらが日本の見せ所となりますので…。
由結:なるほど、VIPの方ですと、食材選びには気を配りますよね?
山下:珍しい食材ですとか、おらが町の食材をですね、それを今、情報収集しております。
由結:地方にも本当に色々な食材があって、是非これを食べて頂きたいという想いがあると思うんですけれども、そんな情報も少しずつ集まっているとか?
山下:はい、徐々にですけれども集まっております。
由結:オリンピックは日本の活性化につながり、ひいては地域の活性化につながるわけですが、ホテルと地域活性の関係性はいかがでしょうか?
山下:そうですね、やはりホテルは地場に根差したホテルですので、地域の皆様に愛され続けなくてはいけない。例えば震災が起きた時にホテルを泊まる場所として、地域のために貢献することも本当に大切なことですし、これまでいくつかありましたけれども、本当に貢献したと思っております。そういった意味においては、地域に貢献できるホテル、地域にプラスになるホテルで居続けるためには、常に地域のためになる何かにチャレンジしていかなければいけないですね。
由結:つまりホテルも既存のもので満足するのではなく、次に繋げる為にどうしていくかを考えなければならないということですね。業界全体の活性化を、常に模索していくか…。
そして、こちらは御社が発刊なさっている『週刊 ホテルレストラン』。毎週発刊されているわけですよね。中を見てみるとすごいボリュームで、層々たる経営者の皆様がインタビューに答えてらっしゃるんですが、山下さんはこのインタビューも担当していらっしゃるのですね?
山下:そうですね。
由結:これだけ緻密に内容を毎週発刊なさるのは大変なご努力かと思うのですが?
山下:今私は週に1回ですね。月4回発刊しているんですけれども、そのうちの月1回特集を組んでおります。ブライダルであったり、マーケットであったり、そういう部門の特集なんですけれども、そのための取材を進めております。
由結:なるほど。山下さんは、取材なさる時にあまり録音をなさらないという事をお聞きしたことがあるんですけれども、一般的には、聞き洩らしてはいけないからメモをしたり、ICレコーダーで録ったりという場合が多い思います。そういう事もなく、ご自分の耳で聞いて記憶なさっている?
山下:そうですね、どうしてもメモを取ったりすると、警戒されてしまうこともありまして、何を書いているんだろうとか、その警戒心を無くすために、メモを取らないという方針をとっているんです。ただ、今はレコーダーとかがどんどん進んでおりまして、メモを取っていなかったり、レコーダーが無い方が不安になる方も大勢いらっしゃいます。「何で無いの?」みたいな。
由結:そうですか。記憶力が本当に良いんだなと思って、羨ましい限りなんですけれども、何かコツはありますか?
山下:あまりコツは無いんですけれども、おそらく、こういうお話しをしている場面を、映像としてどっかで覚えているのかなと思います。
由結:なるほど、映像で。
山下:なんとなくですね。少しメモをするので、そのメモの言葉言葉で映像をもう一回思い出していく…と。そんな感じでやってます。わからない所はもう1回お聞きして、お聞きすることでコミュニケーションができますので、そういった意味で、あえて数字とかもう1回聞くためにメモとらなくていい、という風にしております。
由結:その積み重ねでこういった素晴らしい雑誌が出来ていくのですね。実はこの『週刊 ホテルレストラン』、『HOTERES』の別冊が出るという事なんですよね?これはどんな内容になりそうですか?
山下:はい。別冊については年間5、6冊ですね、出しているんですけれども、直近でいくとIRをテーマにした、“日本版IR“ですね。日本らしいカジノであったり、総合リゾートをどう作るのかという事で、この8月末に発刊予定で、今取材活動等を行っております。
由結:今これも法案が通るかどうかという時期ですので、提案することがたくさんあると思います。今IRについて、一番お伝えしたいことは何ですか?
山下:そうですね、他の国にはないIRをどう作るか。日本らしいIRをどう作るかという事が重要になってきますので、日本らしいIRとはなにかというのをこれから皆さんと模索しながら、色んなことを提案できればと思っております。
由結:なるほど、そうなんですね。ちなみにこういう案が出そうだというところは教えて頂けないですかね?
山下:そうですね、今色々皆様から案を投稿いただきながら、大阪なら大阪のおばちゃんらしい発想とかですね、色んなものを取り寄せています。「こんなものあったらええやん。」というのを集めています。
由結:わぁ、お聞きしたいですね。それがまたこの別冊で仕上がってくるという事ですね?
山下:そうですね。
由結:また、イベント等も企画されているんでしょうか?
山下:そうですね、出版記念パーティーという形で、9月の25日になりますけれども、都内のホテルで開催致します。政治家とか、諸々の方、瞬間かもしれないですが、お集まり頂けるようでございますので、ぜひぜひこちらも足を運んで頂けたらと思います。
由結:もう層々たる面々が集まると思いますので、是非、業界関係者の方だけでなく、日本の行く末と言いますか、興味のある方が出てもよろしいんでしょうか?
山下:もちろんでございます。
由結:ということですので、是非チェックなさって頂きたいと思います。さあ、そして他にもイベントがありますよね。近々ですよね?
山下:そうですね、近々でございます。こちらはですね、バンケットビジネス…いわゆる、「ウェディング、法人会、同窓会とか、ホテルの四角い空間をいかに多様化していくか。」という事で、バンケットビジネスへの色々な提案事、それをまとめて、セミナーを開催します。
由結:なるほど。バンケット、つまり宴会の部門なんですけど、これがやはりちょっと元気がないというか、そういう状況があるわけですよね?
山下:そうですね。かつては、ホテルが立ち上がった昭和38年、9年というのは、実はバンケット部門というのが、ホテル総売り上げの50~60%を占めていたんですね。ところが今は、いろんなホテルの寝室も増えましたし、競争が激しくなった。そんなことがありまして、残念ながら、かつての様な全体構造における売り上げのパーセンテージが下がっています。その代わり今皆さん宿泊部門が調子が良いので、宿泊に圧されてしまっていると、いうことですね。バンケットに関わっているスタッフはちょっと肩身が狭いんですね。ただ、本来は強いはずだという事で、もう一回再挑戦しましょう、という事をテーマに。
由結:なるほど。せっかく箱があるんですから、そこを使わない手はないと思うんですけれども、バンケットでは最近はどんなことが行われているか、教えて頂けますか?
山下:はい、こちらはですね、大きくまず、バンケットビジネスの総括ですね。それからバンケットとしての個人宴会の稼ぎ頭であるウェディング、それから、今ホテルが少し取り込もうとしている葬儀ビジネス。そして、今後、当然やらなくてはいけない、MICE、特に報酬パーティーですね。外国人の報酬パーティーもちろん日本人でも結構ですけれども、そういうインセンティブパーティー。この取り組み、ということで、大きくは4つの柱で展開していきます。
由結:なるほど。葬儀ビジネスと言うのは、今まではホテルでは聞かなかったことだと思いますが、それをあえて提案するわけですね?
山下:葬儀ビジネスについては、実は20年前にお亡くなりになってしまったんですけれども、ホテルオークラの元副社長の橋本保雄さん。橋本保雄さんがですね、20年くらい前からずっと仰ってました。もうホテルは、葬儀、フューネラルをやるべきだと。ところが当時は、皆が何を言ってるんですか、と。ブライダルをしている横で、葬儀もやるんですかという意見が多数でした。ところが今になって、橋本保雄さんの仰る、フューネラルビジネスというものへの可能性にようやく気付きまして、今まさに動き出したと、そんな状況です。
由結:なるほど、これから新しい展開が期待できるという事ですよね。そしてもう一つはインセンティブパーティーということなんですが、これはまた一つ新しいバンケットの使い方だと思います。具体的にはどのように使われますか?
山下:こちらはですね、インセンティブパーティーを企画している主催者は成績優秀者を集めてきますので、成績優秀者にとって、また更に来年も「がんばってね」という想いを込めてのパーティーですから。「いかに楽しませるか。」という事がキーワードです。
由結:海外では良くあるスタイルだと思うのですが、それを日本にさらに取り入れて、発展させていくという事ですね。こちらのイベントは、なかなか聞けないお話、また、層々たる面々の方々がご講演されるということですが、どうすればこの情報を取ることができますか?
山下:『週刊 ホテルレストラン』のオンラインというのがありまして、『週刊 ホテルレストラン』でご検索頂けば、情報が出ていると思いますので。
由結:はい、わかりました。山下さん、本日は有難うございました。
山下:有難うございました。
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由結:株式会社オ-タパブリケイションズ、執行役員の山下裕乃さんです。2回目ご登場いただきました。宜しくお願い致します。
由結:山下さんは、この『HOTERES』という『週刊 ホテルレストラン』を発刊する会社で本当に活躍をなさっているという事なんですが、山下さんは毎朝駅まで歩く道すがら、口癖の様に仰ってることがあるそうですね?
山下:はい、私はいつも駅までわずか5分くらいですけれども、その間、大手を振りながら、「顧客目線に立ち、顧客が絶対的に欲しいものを提案し、提供し続けていく事。それが、一期一会大切なことである」と唱えています。
由結:すごいですよね。「顧客目線、顧客目線」と言いながら、毎朝歩いてらっしゃる姿を想像すると、本当にこの業界と紙面にかける想いというのがすごく強いんだなと感じ入ります。この『HOTERES(週刊 ホテルレストラン)』というのは、どんな雑誌なのでしょうか?
山下:はい、こちらはですね、創刊してから昨年で、創刊50周年を迎えた、ホテルレストラン向けの業界専門誌です。
由結:業界内ではシェアナンバーワンの雑誌ですね。そして、中も本当に凝縮された内容で、世界のトップの方から、そして日本国内でご活躍の経営者の方のインタビュー記事、そしてこの業界内の情報がぎっしりと入った雑誌です。毎日、沢山の方にインタビューをなさっているんでしょうか?
山下:はい、そうですね。1日大体4人から5人はお会いしています。
由結:毎日たくさんの方にお会いしながら、顧客目線でお仕事なさっているのですね。
話が飛躍しますが、山下さんはお生まれというのは、どちらの方なんですか?
山下:生まれはですね、浄蓮の滝のある天木湯ヶ島でございます。
由結:石川さゆりのあの“天木越え“で有名な場所ですね。そこで育たれた後、大学進学。卒業後就職をしたわけですよね?最初は旅行の関係だったそうですね?
山下:旅行エージェントに入りました。その後は瞬間ですけれども、少し海外に行って、現地の本人観光客ですね、それを受け入れる、リムジンカーを運転しながらの観光ガイドをしておりまして、そしてまた日本へ帰国し、その後この出版の業界に入りました。
由結:常に業界内でご活躍をなさってきた山下さんなんですけれども、実際に取材をなさっていた時に、記憶に残っているエピソードはありますか?
山下:そうですね、取材中というよりも、以前は新聞社にいたものですから、新聞社は出版社のこういう雑誌と違いまして、書いたらそのまま印刷するという感じなんですね、つまり先方確認無しでいきます。なので、間違えたら間違えたままに、捉え方が違ったら捉え方が違ったままに出るんですけど、1回だけすごい大きなミスをしまして。
由結:どんなミスですか?
山下:はい、明治神宮の明治記念館の所でですね、苑長というのがあって、神宮外苑の苑の苑長なんですけども、私は間違えて、保育園の園長かと思ったの。
由結:確かに、音だけですと『えんちょう』だからわからないですよね?
山下:そうなんです。それで、『園長』ということは保育園ができたんだという風に勝手に想像し、それを書いてしまいまして、もう大変なことになりました。えらいこっちゃと。
由結:それは大変でしたね。でも、聞き間違えや思い込みってありますものね? 山下さんのようなベテランの方からこんなお話が伺えると思いませんでした!でも、活字にすることへの思い入れ…当事者の皆さんには1つ1つが大切な言葉ですから、それを踏まえて、顧客目線で臨んでいらっしゃるということなのですね。
今この業界に、何か山下さんの、或いは御社の目線から提言するようなことがありましたら教えて頂きたいのですが?
山下:そうですね、やはりホテル業界は、ホテルの時代を日本に築いてきたんですけれども、これまでは日本国民を相手にすればよかったんですが。しかし、今はどんどん外国人も来てますし、もっともっと日本人相手の商売という発想から、世界の方達相手に商売していくという風に視野を拡げた発想にどんどん切り替わって欲しいと思います。
由結:実感がこもったお言葉です。日々色んな方々にお会いして、肌で感じていることが多いと思いますが、例えば先ほど日本のオリンピックも近いという事で、食材のことであったり、それからIRにも力を入れていらっしゃるという事なんですが、実はこの『HOTERES』から別冊が出るという事で、これも掻い摘んで教えて頂いてよろしいでしょうか?
山下:このIR、統合リゾートにつきましては、来年、再来年ぐらいにようやくいろんな形で、じゃあどこに出るのかというのが決まってくるかと思うんですけれども、今まだ全国各地で挙手をしているというような段階です。そういった中でまだまだ候補地、場所も決まりません。逆にそういう時期ですので、私共からこういう提案をしていこうと。それでどんどん大いに各地域で手を挙げて頂いて、ここに掲載して、発信をして、それを色んな国の色んな方達に届くような、そういった媒体にしていきたいと思っております。
由結:なるほど。実際に手を挙げていらっしゃる方もきっと沢山いらっしゃるんでしょうね?
由結:きっとボリュームのある雑誌になるかと思うんですが、これも楽しみですね。
そしてこれから御社はどのような方向性に行きたいとお考えですか?
山下:そうですね、元々この『週刊 ホテルレストラン』に転職という形で入ろうと思ったのは、日本の素晴らしい、凝縮されたビジネスを、海外へどんどん発信していくべきではないかと。そういった中で、『週刊 ホテルレストラン』に関しましては、海外ネットワークが元々、50年の間に築かれておりましたので、そういうルートもあるだろうということで、この転職を決めました。そういった中で、今、ブライダルにおいてもそれから葬儀の部分においても、2時間半とか3時間、限られた時間で、起承転結のあるこれだけのものをつくり上げるのは、日本人くらいかと思います。そういったものをだんだん忙しくなっているアジアの方達に向けて発信したいな、と。
由結:なるほど。現代人は忙しいですからね。だから3日もかけていられない。そこを2時間半から3時間くらいに、日本人ならではの考えで短縮できるということですよね。これはすごく可能性のあることだと思うんですが、これがどんどん実現化していくといいですね。
山下:そうですね。あとは逆にもう日本人だけではサービス業界は特に人手不足です。そういう意味では、海外から日本に流入する人たちをどんどん増やしたい、という風に思っております。
由結:なるほど、日本もどんどん人口が減っていきますから、やはり働き手は必要だと思うのですが、御社は人材紹介という形で関わってるのですね。今後も顧客目線の企画が沢山出てくると思うのですが、最後にリスナーの方に向けて何かメッセージがありましたら教えて頂けますか?
山下:とにかくこれから、やはり島国日本がどう変わっていくのか、ということですね。島国だけでもちろん成り立つこともまだまだいっぱいあるんですけれども、せっかく色んな意味でフォローの風が吹いてますので、島国日本がようやく開国するのがこれからかなと、言う風に思っています。まだまだチャンスがあるんです。
由結:そうですね、まさに転機の時だと思います。我々一人一人が自覚したいものですね。有難うございます。大変貴重なお話を頂きました。また是非スタジオにも遊びにいらしてくださいね。有難うございました。
山下:有難うございました。