伊藤カズユキさん キスソニックス株式会社 代表取締役「音で世界を変える」
目次
脳科学を駆使したサウンド4次元サウンドスピーカー
由結:さあ、それでは今お聞きいただいた音響を開発なさいました、
キスソニックス株式会社 代表 伊藤カズユキさんです。
よろしくお願いいたします。
伊藤:よろしくお願いいたします。伊藤です。
由結:今(スタジオで音源を)お聴きしたのですが、すごいですね。
伊藤:ありがとうございます。
由結:音響がこの部屋全体に響くというか、
リスナーの方も聞いていて驚かれたと思うのですが。
伊藤:そうかもしれませんね。音を言葉で説明することは非常に難しいのです。
直にリスナーの皆さんに聞いていただけるっていうことは非常に説明いらずで、きっと初めて聴く、初めて体感する音で、驚かれている方もいらっしゃるのではないかなと思っております。
由結:そうですね。ということで、今お聴きいただいたのがキスソニックスHDS4という、4次元サウンドスピーカーですね。
伊藤:そうですね。そのスピーカーの中にこのサウンドを作り出す、立体を作り出すプログラムが入っておりまして、それがスピーカーでリアルタイムに変換されて聴けるっていうのがスピーカーシステムです。
この音源自体もサウンドをプログラムに通すことでデジタル化されます。
例えばCDであったり、Blu-rayであったり、あるいは配信のコンテンツであったり、そういうものにそのまま使えるという、非常に夢のような…便利すぎる技術ですね。
由結:そうですよね。その大元のところでもう音が変わっているということですか。
伊藤:そうです。デジタル化することで、皆さんが普段お使いの機器で使えるサウンドファイル、あるいは映像ファイルになってお届けできるという技術です。
由結:なるほど。先ほど控室で、iPhoneでYouTubeをこのサウンドで聴かせていただきましたが、かなりの臨場感でした。とても驚きました。
伊藤:ありがとうございます。そうですね。この技術の面白いところっていうのは、いろんな音響技術で、立体的に聞こえるという技術、いろんなメーカーさんが開発しているものが既にありますが、大体がいろんな制約があります。
私は制約がない状態で皆さんに存分に楽しんでいただきたいと思って、制約一つ一つをクリアするべく、長い時間かけて作り出したっていうところですね。
ですので、パソコンで一人で楽しんでいただくことも、家族で5~6人でテレビの前で楽しんでいただくことも、一番は数万人規模の屋外のコンサートやイベントでもそのまま使えることです。
由結:画期的ですよね!業界では皆さん驚かれたのではないでしょうか。
伊藤:未だに信じてくれない方が非常にまだいらっしゃいますね (笑)
由結:(笑)これは体感するしかないですね。
伊藤:そうですね。昨今イベントっていう、とくに大型のイベントがやりにくい状況ではありますけども、いろんな手を使って、皆さんにこの音を体感していただきたいなと思い今、アイデアを練っているところです。
未来型花火Star Islandイベント
由結:今までにたくさんの素晴らしい事例がありますよね。
伊藤:そうですね。ここ数年、avexさんが主宰されている花火と3D音響のあるイベントで未来型花火Star Islandというイベントがあります。
これがすごくて、海外、シンガポールやサウジアラビアでも実際に展開させていただいてます。
数万人の方が一同に介した花火イベント。
花火は花火、音楽は音楽。それぞれが別ものとしての存在が今までの花火大会みたいな感じですが、ただの花火大会ではなくて、花火と3Dサウンド、あるいは照明や映像などを駆使して全く異次元の空間を作り出す。それを数万人の方が同時に体感するというイベントです。
カウントダウンイベントをシンガポールでやらせていただいた時は、更に、500機のドローンが加わりまして、もう本当にこの世のものとは思えない空間が提供できました。
由結:素晴らしいですね。どんな感じでしたか。
伊藤:シンガポールの街全体がもう花火とドローンで不思議な空間になってました。
由結:すごいですね。
伊藤:東京では、豊洲のベイエリアで2019年にやらせていただきましたが、
シンガポールは政府がいろんな規制を撤廃してくれているので、本当に際限なく提供することができました。
由結:皆さんの反響はいかがでしたか。
伊藤:すごいですね。会場の中にいらっしゃった方も、会場の外にいらっしゃった方も映像を撮られていてYouTube内で、すごいことになってました。
たくさんの方の、見きれないほどの映像が上がってまして、
我々が見れない角度からも、会場の外からも撮られていて、皆さん楽しまれていました。
会場は2万2000人しか入れないのですが、シンガポールのそのエリアでは50万人の方がご覧になっているという話でしたね。
FLOWERSお花見イベント
由結:素晴らしいお話ですね。
そういえば、お花見のイベントもあったそうですね。
伊藤:そうですね。
映像制作会社のNAKEDさんが主宰でされているFLOWERSというイベントは、
室内で、いろんな仕掛けを作っておりまして、仕掛けに対して映像の仕掛けがあり、
立体的な音がそれをフォローしています。
人間、目に入ったもの以外に音で雰囲気を作られると、見えているものが全く違うものに感じるのです。
そういう意味でも、今後の未来に向けての映像コンテンツであったり、イベントであったりの楽しみ方の一つの方向性を弊社で提案させていただいております。
サウンドスピーカーの要とは
由結:素晴らしいですね。
キスソニックスHDS4、四次元サウンドスピーカーについてですが、その辺りのお話を詳しく教えていただけますか。
伊藤:はい。こちらのスピーカーに入ってるプログラム、キスソニックスHDFXというプログラムが肝でして、そのプログラムがこのスピーカーの中に入ってるということです。
由結:なるほど。
伊藤:リアルタイムに変換するので、皆さんレコードを、まあレコードって今あまり聞かれる方はいないですが、あえて私がなぜレコードと言ったかというと、過去の素晴らしい音源や、アーカイブが本当に活きるというものだと日々体感しています。
由結:その音源の質によって随分変わってくるということですか。
伊藤:そうですね。レコードっていうのは、まず開発して進化していく段階で、できるだけ情報量をたくさん拾って、あの溝に刻んでいくという努力をしたメディアなんです。
かたやCDは、そのアナログで培った音源を、なるべく少ないデータ容量で最大の音質効果を上げようとした技術なんです。
ですから、“拾う”と“切り取る”というような技術の違いがあって、
とくに70年代~80年あたりにかけて、大体アナログの音響が技術的なピークを迎えたのです。
ですので、70年後半~80年あたりまでのレコードは、音質的にも音楽的にも素晴らしいレコードが非常に多いですね。
今、全くCDでは本当に追いつかない。配信なんかも現在、圧縮音源になってますので、残念な切り取られ方をしている中で、レコードはすごい輝いてるなと思います。
由結:なるほど。実はもったいない音の聴き方を私たちはしているのですね。
伊藤:本当にもったいないことだなと思いますね。
サウンドスピーカーの誕生秘話
実は難しそうでポイント自体は簡単なのです。
自分が鳥肌が立つか。
自分の魂が震えるかどうか。そこが、まず一番ですね。
由結:なるほど!
伊藤:僕は音楽を聴くときに、仕事柄、音楽の組み立てや、、
演奏や歌のよしあしなど、技術的なところを聞くべきなのです。
ですが、僕はもっと違った観点で聞いていて、例えば歌を歌ってる方、演奏してる方、あるいは曲を作ってる方、いろんな方の、この人どういう人なんだろうとか思いながら聞いてるので、結構聴き逃してしまうのですよ。
音楽が終わって、あ、終わっちゃったので、もう一回聴いてみようっていうんで、くり返して聞いたりとか、やはりその歌ってる方が何を普段目指しているのかとか、曲を書いている方が普段どんな世界を描きたいと思ってるのかとか、そっちのほうが気になっちゃう。
由結:いやー。素敵ですね。
伊藤:いえいえ。ほか、分析したりする方はもうほかにたくさんいらっしゃるので、それはそういった方々、得意な方におまかせしちゃったほうがいいかなみたいな。僕は魂がなぜ震えているのかを一生懸命考えているのですよね。
由結:そうなのですね。この思い入れや、情熱や、技術とがマッチングしているのですね。
伊藤:そう。なかなか珍しいかもしれないです。
由結:そうですね。
伊藤:音響技術と音楽そのものを作っている、ソフトコンテンツを作る現場って、つながりにくいんじゃないかってよく言われるんです。
由結:そうなのですか。
伊藤:ええ。やっぱり、例えばサウンドテクノロジーってなると、計測器でいろんなものを計りながら調整していってシステムを作っていくんですけど、感動のバロメーターって測れる機械はないんですよ。
いいところ、脳波測定するぐらいで、ですから、感動のバロメーターは、やはりないです。感動のバロメーターがあれば、多分エンジニアの方はもっと簡単に作れるんじゃないかなという気もします。
やはり、ハードウェアのテクノロジーとソフトコンテンツのプロダクトを同じ人間がやるっていうところは、ちょっと面白すぎてやめられないですね(笑)。
由結:なるほど(笑)。天職なんですね。
伊藤:そうですね(笑)。
由結:きっとこの思いと技術の相乗効果で、視聴者の方にも感動が伝わってくるんですね。
伊藤:ええ、ええ。
由結:素晴らしいですね。
伊藤:ありがとうございます。
コロナ渦で伝えられること
由結:今までもたくさんこのキスソニックスHDS4の音源が役に立ったと思うんですけれども、このコロナ禍でまたそれが役に立つ場面がありそうですね。
伊藤:そうですね。今イベントもコンサートもやはり頭打ちになっていて、無観客、例えば試合、スポーツなんかでも無観客試合で、音楽なんかも無観客コンサートみたいなことが言われてる中で、なかなか技術的な部分も、つたない部分もあるんです。
音響的に言えば、この3Dサウンドの果たす役割っていうのは、本当に臨場感伝わってきますので、自宅にいながらにして、デスクトップでも、家族でも、テレビの前、例えばパソコンの前でも、感動をやはり伝えることができる技術ではないかと勝手に思ってます。それをやはり確立していくために、どんどんテンポアップしながら、そういった方面で皆さんのお役立ちできるような形に開発を進めていきたいなと思ってます。
由結:すごく社会的にも本当に意義があるお仕事ですよね。
伊藤:そうありたいですね。本当に。
由結:ぜひ、リスナーの皆様に向けて、なにか一言いただいてもよろしいでしょうか。
伊藤:そうですね。最近、コロナ渦で身動きが取れなくなっている方も多いと思うのですが、今解決しなければいけないことや、今やりたいとが、今一番大事で、
それが明日に繋がり、明日が明後日に繋がり、そうしていくと半年後、一年後には
今やりたいと思っていることが実現しているかもしれません。
今日がうまくいかないからと、残念に思ったりせず、明日につながる今日なんだと
思って、今できることを一生懸命考えて生きてください。
由結:素敵なメッセージをいただきました。ありがとうございます。
伊藤:いえいえ。こちらこそ、ありがとうございます。
由結:なんだか元気を頂きました。
キスソニックス株式会社代表取締役社長の伊藤カズユキさん、2週にわたってご登場いただきました。本当にありがとうございました。
伊藤:こちらこそありがとうございました。
由結:ありがとうございます。
伊藤カズユキさんのプロフィール |
キスソニックス株式会社代表 作曲家 音響システム開発エンジニア 略歴 |