テノール歌手 秋川雅史さん「歌い、彫り、さらに高みへ」
銀座ロイヤルサロン1週目
目次
名曲『千の風になって』について
由結:それでは本日の素敵なゲストをご紹介いたします。テノール歌手の秋川雅史さんです。よろしくお願いいたします。
秋川:どうぞよろしくお願いいたします。
由結:本日お会いできるのを本当に楽しみにしておりました。このご縁に感謝しております。
秋川:いえいえ。こちらこそ、よろしくお願いします。
由結:秋川さんは愛媛県西条市生まれということなんですが、実は私も四国出身なんです。
秋川:そうですよね。徳島ですか?
由結:はい。同じ四国の人間として、そして、日本人としてこんな素晴らしい先輩がいらっしゃるだということを誇りに思っております。
秋川:いえいえ。四国って結構みんな仲良いんですよね。普通、隣り合った県とかって仲悪くなることが多いんだけど、四国って仲良いじゃないですか。だから例えば甲子園とかで、自分の県が負けたら四国のほかの県を応援するでしょ。すごく仲良いんですよ。
由結:確かにそうですね。素晴らしい風土だと思います。そんな場所でお育ちになった秋川さんなんですが、デビューから現在までのご活躍には目を見張るものがあります。2006年の紅白出場から2007年にオリコンシングルチャート1位を獲得し、そして130万枚売り上げたという『千の風になって』は秋川さんの代名詞ともいえる楽曲となりました。これはもう必ずどこに行っても皆さんに言われるんじゃないかと思うんですが。
秋川:そうですね。街中で「秋川雅史」
って名前が出てこない人がいるんだけど、大体その人は「あの人、『千の風』の人」ってみんな言うんですよ。だから秋川雅史って名前がわからなくても、『千の風になって』はみんな知ってるんだと思っています。
由結:そのことについて、ご自身ではどのようにお感じになっていますか。
秋川:とにかくクラシックの大欠点は、オリコンなどにそもそも縁がないと思われていたこと。それが2007年にオリコンのヒットチャート年間1位だったなんて、なんだかちょっと訳のわからない世界に入ってきちゃったなって感じがしました。だけど、クラシックっていう音楽がマイナーなジャンルだと思っていたのに、クラシックの発声や歌声が世の中ちゃんと受け入れてくれるんだと思えたことはすごく嬉しかったですね。
由結:なるほど。そのときを機に、その前と後で見える景色っていうのは変わったんでしょうか。
秋川:変わってきましたね。自分は昔は“クラシックコンプレックス”というものを持ってていたんです。結構クラシックやってる人に多いんですよ。クラシックって何百年って歴史を背負っていて素晴らしい芸術なんだけども、世の中の人には「クラシックってなんだかとっつきにくいよねってイメージを持たれているのではと思っている…そんなコンプレックスを持っていたんです。
だけど、そういうのがなくなってきたかなと。だから、「クラシックはいいんだぞ
っていうのを胸張って世の中に言っていいんだっていうふうに思うようになってきたかなと思います。
由結:そういう意味でも本当にこの曲との出会いは大きな意味があったのですね。
秋川:その通りです。
自分を成長させてくれた曲
由結:では、この『千の風になって』なんですが、当時歌っていたときと今とですと、心の構え方や捉え方でなにか違うところはありますか。
秋川:実は全く変わってないんですよ。もうこの曲を歌い始めて17年ぐらい経つかな。2005年に初めてこの歌をCDに録音したんですよ。そのときと、ここの歌い方をこう変えてみようとか思ったことは一度もないんだけど、知らないうちに歌い方が変わっていってるんですよ。だから、2005年録音したときのCDを今聞くと、「ああ、なんか恥ずかしいなっていう気持ちになります。すごく表現が未熟に聞こえてくるので。
それだけ15年近く自分自身もその中で成長してきたのかなと思いますけどね。
由結:なるほど、成長…!それはご自身が意図せずとも自然に変わってきたのでしょうか。
秋川:そうですね。今でもこの曲って、自分の中でまだうまく歌えないんです。難しいんですよ。
由結:えっ!そうなんですか。
秋川:うん。もっとうまく歌いたいって思い続けて極めていくと、知らない間に自分自身が成長していたっていう感じです。
由結:なるほど。曲に成長させていただいてる…みたいな感じでしょうか。
秋川:そうですね。だから『千の風になって』はどういう曲かって言われると、“自分自身を成長させてくれた曲”だなと思っています。
究極の歌声を出すために―日々の発声練習と肉体トレーニング
由結:いや~貴重なお話です。ご自分を成長させる曲!その成長につなげるために、どんな自己研鑽を積んでいらっしゃるのでしょうか。
秋川:僕は今54歳なんですけども、やっぱり歌声って、50代過ぎてもまだまだ進化するし成長していってるんです。だから究極の歌声を出したいと常に思ってるんだけど、それにはその毎日1時間半とか2時間ぐらいの発声練習と、あとは走り込みをやったり泳いだり。肉体トレーニングは欠かさないでやっています。
由結:そうなんですね!まず走るということなんですが、どのぐらい走られるんですか。
秋川:2.5キロと100メートルのダッシュを2本ぐらいです。
由結:練習量が半端ではないですね!かなりきついトレーニングだと思うんですが。
秋川:そうですね。2.5キロより100メートルダッシュのほうがきついかな。
由結:いや~すごいですね。なにかご自分をかなり追い込んでいるというか…。
秋川:そうですね。多分この年にしたらわりと体力とか運動能力は高いほうだというプライドがあるんですよ。これはちょっと維持したいなって思ってます。
由結:素敵ですね。泳ぐときにもメニューは決まっているんですか。
秋川:泳ぐのは、これはもう歌のためなんで、いわゆる息継ぎをしないで泳ぐ。ほとんど平泳ぎで泳ぐんだけど、平泳ぎで半分ぐらいまで泳いで息継ぎして、またあと半分泳いだり、今度は帰るときは25メートルを全く息継ぎしないで泳いだり、なるべく息継ぎをしないようにっていう泳ぎ方で泳ぎますね。
由結:へえーっ。そうすることで深い声が出せるとか?
秋川:そうですね。やっぱり、横隔膜のトレーニングっていうのかな。いわゆる息を吸った息がすぐに出ていかないように、筋肉で支えるので、そこの筋肉を鍛えるんですよ。
由結:なるほど、筋肉で支えるんですね。トレーニングをはじめとする自己管理は欠かせないのですね。秋川さんはお酒がお好きでいらっしゃいますがほとんど飲まないとか。
秋川:そうですね。飲まないようにしてますね。2007年にやめたんで、もう15年ぐらいやめてます。だけど、年間に2日間だけ飲むんですよ。
由結:2日間だけ?
秋川:そう。地元のお祭りがあって、毎年参加してるんです。そこだけは2日間飲みますね。
由結:本当に楽しみなんですね。お祭り好きなんですか?
秋川:お祭り男ですね。多分日本で一番祭りが好きな歌手だと思います。
由結:一番祭りが好きな歌手!やはり血沸き肉躍る…みたいな感覚なんでしょうか。
秋川:そうですね。西条祭りという祭りがあって、10月15~16日にやる秋祭りなんです。その祭りが近づいてくると血が騒ぐみたいな感覚があって、祭りがくるともう我を忘れて羽目を外すっていうか、この感覚が、多分、自分の歌の表現にも生きているのかなと思います。だから僕の歌う歌は、とにかく全力で表現して、全力で声を出してっていうのが僕のコンサートなんかでも持ち味としてるんです。それってどこからきてるのかなっていうと、やっぱりあの西条祭りかなと思いますね。
由結:祭りのパワーをそのままチャージして歌に乗せていらっしゃるのですね。地元を大切にする。お祭り大好き!これが秋川さんのパワーの源なのですね。
指先の表現まで―歌へのこだわり
由結:そして、今度、9月7日にサントリーホールで『秋川雅史コンサート~日本の未来を担う若手声楽家との共演~』がありますよね。こういったコンサートで必ず歌う曲はあるんでしょうか。
秋川:必ず歌う曲は『千の風になって』です。これをコンサートで外したことは一度もないです。そこにプラスでよく歌う歌っていうのがあって、例えばスペインの名曲で『グラナダ』っていう曲があるんですけど、これはものすごい情熱的なパッションの強い曲で、それなんかは歌うと必ずお客さんがワッと盛り上がってくれるんで、よく歌ってますね。
由結:同じ曲を何度も歌うっていうときに、なにかご自分ではチャレンジというか、歌を成長させようみたいな気持ちというのはあるんですか。
秋川:毎回そのときのベストを探りながら歌を歌うんですけども、やっぱり歌い終わると、毎回反省点が出てくるんです。「ここがイマイチ決まらなかったな」とか、「次はそこをどう歌おうか」って。だから常に終わったら必ず駄目出しをしてますね。
由結:それはご自分自身に対してということですか。
秋川:自分自身ですね。あとはピアニスト、伴奏者との連携っていうのかな。やっぱりちょっとしたこのタイミングの違いで歌が歌いにくかったりとかいろいろ出てくるんで、毎回コンサートのあとに「今日ここがちょっと長すぎたからもうちょっと短くしよう」
とか、そういう細かく話し合いをしながら曲を作っていきますね。
由結:コンサートが終わってからまた作り上げるんですね。演奏者の方にもっとこうしてほしいと伝えるときにはどうやって伝えるんですか。
秋川:もう具体的に、ここの小節の何拍目の音をもっと長くとか短くとか、大きくとか小さくとか、多分お客さんが聞いてもほぼその違いってわからないんじゃないかなと思うぐらい、わりと細かいところまで注文を出しますね。もうそれで何十年一緒にやってきてる伴奏者だから、大体のことはもう言わなくてもわかってくれるんですけど、やっぱり新しい曲に挑戦するときは、必ずそういう注文が多くなります。
由結:なるほど。秋川さんは、歌うときの基準はどのようにして選んでいらっしゃるんですか。
秋川:自分が歌を歌うときですか。「かっこよさ」
っていうのはすごくこだわってるんです。それは歌声一つにしてもね。例えば、自分が小学校の5年生のとき、世良公則さんが『あんたのバラード』って曲を出した。これを初めて自分のお小遣いでレコードを買って、あの歌声にしびれたわけですよ。あのハスキーな歌声でね。とにかくその世良さんの歌う声だったり歌い方、歌うしぐさだったり、全てがかっこよかったんです。歌いっていうのはこうじゃないといけないなっていうのは、多分そのときに、自分の体の中に染み込んだ気がするんですね。
由結:へえーっ。声はもちろんだと思うんですが、そのしぐさにも注目なさるんですね。
秋川:そうですね。やっぱり指先の表現一つまでお客さんは見てる気がするんですよね。だからすごく指先の表現っていうのは、実はかなり気を配ってます。
由結:なるほど。実際、秋川さんが歌われるときの指先の表現はとても印象的ですものね。
秋川:そうですね。わりと歌い手によっては手のひらに力をこめる人もいるんだけど、自分は指先のほうですね。
若く才能ある素晴らしい歌手をゲストに招いて、サントリーホールでのコンサート
由結:先ほど、9月7日のサントリーホールのお話もしたんですけれども、今ご準備も進んでいるかと思うんですが、どんな感じのコンサートになりそうですか。
秋川:まずはクラシック歌手にとって、日本において究極の歌う場所はサントリーホールなんですよ。だからサントリーホールでコンサートをやるっていうのは、歌い手にとって一つの憧れでもあるんです。コロナで2年間、東京でのコンサートができなかったので、じゃあどこでやろうっていうときに、やはりサントリーだってことになって、まず企画をしたんです。
もう一つは、今コロナになって、歌手っていう職業の人たちは、ものすごい壊滅的な被害を受けたんですが、それでとくに大変だったのは、若い人たちなんですよ。これから活躍するっていう才能のある人たちが全く歌う場所がなくなってしまったので。だから自分がもし30歳のときにこんなことになっていたら、多分相当きつかっただろうなと思うんですよ。だから少しでも若い人に歌う場所を作ってあげたいなと思って、秋川雅史コンサートの中で、3人の若い才能のある素晴らしい歌手をゲストに招いて、一緒に共演をする予定です。
由結:楽しみですね。お若い方にぜひチャンスを、ということなのですね。
秋川:そうですね。
由結:9月7日の『秋川雅史コンサート~日本の未来を担う若手声楽家との共演~』、こちらサントリーホールで行われますので、チェックをなさっていただきたいと思います。
さらに、47都道府県を改めてツアーで回っていかれるそうですね。タイトルが『千の風になってコンサート~聴いてよく分かるクラシック3~』ですよね。こちらは全国ツアーですね。
秋川:はい。これから回ります。
由結:ぜひ秋川雅史さんのオフィシャルホームページをぜひチェックなさっていただきたいと思います。本日は本当に貴重なお話ありがとうございました。次週もどうぞよろしくお願いいたします。
秋川:どうもありがとうございました。よろしくお願いします。
由結:ありがとうございます。
銀座ロイヤルサロン2週目
多彩な才能!第105回記念二科展彫刻部門で初入選
由結:本日の素敵なゲストをご紹介いたします。テノール歌手の秋川雅史さんです。よろしくお願いいたします。
秋川:どうぞよろしくお願いします。
由結:2週目ご登場いただいております。先週は本当にパワーあふれる貴重なお話の数々をいただきました。
本日は秋川さんの意外な一面といいますか、彫刻家としてのご活動について伺っていきたいと思っております。2021年に第105回記念二科展に彫刻部門で初入選されたとのこと。
秋川:そうなんですよね。去年、コロナで歌のコンサートが本当になくなったんで、どうしようと思って、家で趣味の彫刻にとにかく没頭してたんです。もう朝から夕方までずっと毎日毎日彫って彫って。そしたら去年、力作が一つ仕上がって結構よくできたんで、なにか公募展出してみたいなと思って二科展に出品してみたら入選できたんです。
由結:二科展といえば、多くの芸術家を輩出している歴史ある美術展覧会!そこで、初めて出展されての入賞という快挙!ご自分ではなぜ入選されたと思われますか。
秋川:多分、入選された中でいろんな作品があるんだけど、相当時間をかけて丁寧に作っているという意味では、ひときわ時間をかけた作品なんです。皆さんは毎年出品されるので、大体1年で制作されます。だから1年に何体も作る中の1点を多分出してくるんですけど、私は1点作るのに3年かかりましたから。
由結:それは長い年月ですね。どのように制作されるのですか。
秋川:最初はいったん粘土で形を作って、その粘土の形を見ながら木で彫っていくんですけども、なかなか最初は出来上がりの形が見えない。形になってきたなと思ってから、まだ仕上がるまでに1年かかったりするんですよ。
由結:入選された作品は「楠木正成像」
でしたが、なぜこれを選ばれたのですか。
秋川:はい。これは彫刻を始めたときに皇居の前にある楠木正成の銅像を見てかっこいいなと思って、これを彫りたいと。これを自分は彫刻人生の最終目標にしようと思って、彫刻を始めたんですよ。その最終目標がわりと早めにきちゃったかなという。だからもう彫りたくて仕方なかったんですよ。
由結:そうだったんですね!きっととても楽しい時間だったのでしょうね。
秋川:そうですね。楽しかったですね。
歌と彫刻の共通点―西条祭り
由結:いろいろなアートの作品がある中で、なぜ彫刻を選ばれたのですか。
秋川:元々僕は彫刻に興味があったんだけど、それは自分の地元の愛媛県西条市に西条祭りっていうだんじり祭りがあって、そのだんじりっていうのがいわゆる木で彫刻が施された山車なんですよね。その彫刻を子どものころからずっと見て育ってて、だから彫刻を見ると無条件に血が騒ぐっていう、そういう感覚があったわけですよ。
由結:なるほど。先週もお伺いしたんですけれども、やはり祭りが原点にあるということなんですね。
秋川:彫刻も歌も祭りが原点だったりします。
由結:歌と彫刻、この共通点は祭りだということでしょうか。
秋川:そうですね。祭りですね。熱い血が騒ぐ。これが原点ですね。
由結:なるほど。彫っている最中はどんなことを考えていらっしゃるんですか。
秋川:それこそ仏像を彫ったりもしますから、もうすごい神聖な無の境地になって彫ってるんじゃないかと皆さんに言われるんだけど、わりと、リビングでテレビつけてワイドショー見ながら彫ってたりしますね(笑)。
由結:そうなんですか(笑)。これはちょっと意外でした。
秋川:いわゆる見入らなくっても聞いてれば、それこそラジオとか聴きながら彫るのいいかもしれないですね。
由結:そうなんですね。意外とライトに彫ってる感じなんですね。今、ほかの作品も手掛けてらっしゃるんですか。
秋川:手掛けてるし、今最近仕上がった大きな龍の作品があって、これも今年二科展にまた挑戦しようかなとか、いろいろちょっと考えているところです。
由結:それは楽しみですね!でも、二科展への出展をいろいろ考えている最中とのことですが、なぜですか。
秋川:今年9月17~19日に銀座の画廊さんで個展をやるんです。
由結:それはおめでとうございます。
秋川:ありがとうございます。ようやく決まってやるんですけども、ちょうど日にちが被ってるんで、どっちかにしか出せないんですよ。だから出来上がった龍を個展に出すか、二科展に出すか、今ちょっと迷ってます。
由結:なるほど。いやーこれは悩みどころですよね。ここで、秋川さんにお聞きしたいことがあります。夏目漱石の『夢十夜』という小説の中で運慶が彫刻をしているっていうところで、見物人の言葉なんですけれども、その中の仁王をただ彫っているだけではなくて、中のその木から取り出すのだ…といった有名な言葉がありますが。
秋川:彫刻家の人はよくその言葉をいう人がいるんですけど、いや、多分、それはちょっと美談にしてはいかんと自分では思っちゃうんですけど(笑)。
由結:そうなんですか!
秋川:ええ。やっぱり彫りながら、やっぱり彫って出来上がったものに対して、でもやっぱりここがもうちょっと彫ったほうがいいなとか。
由結:そういうものなんですね(笑)。
秋川:はい。それこそ1年経っても、また久しぶりにその作品取り出してみると、ここちょっと太すぎたなとか、いろいろやっぱり出てくるんです。だから彫刻家ってみんな、これで終わりっていう終わりを決めるのが実は難しいんですよ。
由結:いつまでも続くんですね。
秋川:そう。いつまでも続けようと思ったらいつまでもちょいちょい直し入れたりするんです。
力強いものを表現したい
由結:これもまた意外でした。秋川さんご自身を彫刻に例えてみたときに、彫刻としてのご自身という作品は、今何割ぐらいできてらっしゃると思いますか。
秋川:そうですね。まだ荒彫りの段階かな。
由結:荒彫り、ですか?
秋川:彫刻って4段階あるんです。荒彫り、小作り、整理、仕上げって4段階で作り上げていくんですよ。実は一番楽しいのは荒彫りの段階なんですよ。形を作っていくみたいな、だからそこが一番楽しいんだけど、まだまだ自分は、歌も彫刻もそうだし、成長してるので、まだ荒彫りの段階かなと思いますね。
由結:どんどん進化していく秋川さんが見られるということなんですね。最後に、今後地球滞在期間に秋川さんが表現したい世界というのはどんなものでしょうか。
秋川:地球滞在期間?地球にいる中で表現したい世界のようなもの?
由結:はい。
秋川:とにかく力強いものを表現したいんですよ。だから歌でも、しっとりしたやさしく歌いかけるような曲よりも、より力強い歌声で歌うほうが好きだし、彫刻も最初は観音像とかそういう穏やかな仏像を彫っていたんだけど、本当に彫りたいのは仁王像とか荒っぽい、力強いものなんです。だからその力強さの魂みたいなものが歌でも彫刻でも表現できたらいいなと思います。
由結:そうですね。ファンの皆さんも喜ぶお言葉でしょうね。このエネルギーを掲げて、今度は2022年9月17~19日、場所は銀座、靖山画廊での彫刻の個展が開かれますね。
秋川:彫刻家 秋川雅史のホームページを作ってるんですよ。歌手のホームページと彫刻家のホームページが違うので。
由結:はい、それぞれとても素敵なホームページです。
秋川:「彫刻家 秋川雅史」って入れるとそのホームページが上のほうに出てきます。
由結:はい、「彫刻家 秋川雅史」で検索なさってみてください。そして、もちろん、歌手としても大活躍の秋川さんですので、9月7日に『秋川雅史コンサート~日本の未来を担う若手声楽家との共演~』が、サントリーホールで行われます。皆さん、こちらもぜひチェックなさってください。
秋川:はい。ぜひ皆さんに来て頂きたいですね。
由結:47都道府県を改めてツアーで巡ってらっしゃるということなんですが。
秋川:コロナで予定してたところが全部延期になったりしたので、これからどんどんまわります。
由結:『千の風になってコンサート~聴いてよく分かるクラシック3~』ですね。
秋川:そうです。本当にクラシックの音楽を全然知らないっていう人も、なるほど、そうだったんだっていう、わかりやすいトークで、お話しながら進めていきます。
由結:これは楽しみですね。そういえば、秋川さんのYouTubeの中でも先生役になって音楽をわかりやすく解説している動画がありますが。
秋川:はい、解説していますね。
由結:秋川さんは教えたり、お伝えすること、コンサートでのトークも本当に面白くて!
秋川:いつもコンサート来てくださる方は、どちらかというとトークを楽しみにしてくださる方も多いんです(笑)。
ファンの皆様へのメッセージ
由結:コンサートやツアー、ファンの方が本当に楽しみになさっていらっしゃると思います。そして、このYouTubeというところで言いますと、秋川さんは、秋川雅史公式YouTubeチャンネル『秋川雅史クラシック』を開設していらっしゃいますよね。
秋川:そうなんです。やっぱり自分はクラシックの音楽を勉強してきて、なかなかテレビ番組とかそういう番組でクラシックの歌を歌うことがないんで、YouTubeで検索しても、なかなか秋川雅史がクラシックの音楽を歌ってるところが出てこないので、これは自分で作るしかないと思って、自分で撮影して自分で動画の編集まで自分でアップしてます。
由結:まあ、ご自分でなさっているんですか!?かなり完成度が高いですよね。
秋川:でしょう。結構これ楽しくって(笑)。
由結:流石、ものづくりがお得意でいらっしゃるので、お上手なんですね。
秋川:やっぱり、息継ぎする場所とかがあって、自分で編集するとここでカットを変えたいっていうタイミングが自分で選べるから、自分が満足する動画できるんです。
由結:そうですか。こんなにお忙しいのに、いつ編集を?
秋川:いつも新幹線とか飛行機の中でやってます。
由結:いや~すごいですね。物事を成長、向上させるために努力をいとわないという秋川さんなんですね。そして、『千の風になって』という15周年記念盤、これは絶賛発売中ですが、様々なバージョンの『千の風になって』が入っていて聴きごたえがあります。コンサートでは、この名曲とともに、楽しいトークが繰り広げられます!秋川さんの貴重なお話がたくさん聞けるのは幸せなことです。ぜひ皆さんチェックなさっていてください。
秋川:ありがとうございます。
由結:最後に、ファンの皆様にメッセージを一言、お願いできればと思います。
秋川:はい。これからたくさんのコンサートができるようになればいいなと思っています。秋川のコンサートに限らず、いろいろなクラシックの、特に若いアーティストのコンサートに足を運んでくれると嬉しいですね。
由結:素敵なメッセージありがとうございます。本当にアートは地球を救うと思います。秋川さん、2週にわたりましてありがとうございました。
秋川:ありがとうございます。
由結:そして、第3週目も声診断コーナーにもご出演いただきますので、よろしくお願いいたします。
秋川:楽しみにしてます。
由結:ありがとうございました。
秋川:どうもありがとうございました。
銀座ロイヤルサロン3週目
声解析・声診断コーナー
由結:本日は声解析・声診断コーナーです。クォンタムヴォイスアカデミー学長の稲井英人さんが担当するコーナー。これまでに2
5000人以上の臨床データのある声解析・声診断ソフトにより、ゲストの方の声の波形を読み取り、その方の個性や能力を紐解いていきます。本日のゲストはテノール歌手の秋川雅史さんです。よろしくお願いいたします。
秋川:どうぞよろしくお願いします。
由結:それでは稲井学長に進めていただきましょう。よろしくお願いいたします。
稲井:はい。私もこの日を楽しみにしておりました。もう本当に人間の体はまさしく楽器ですから、その楽器をフルに響かせることを生業にされている方はどういう響きされるのかなと思いまして、非常に楽しみにしておりました。
秋川:なるほど。なんかドキドキします。
稲井:ドキがムネムネすると思います(笑)。これは人の体から出てる声を12秒で12色の色と波形で表してくれるんですね。それが人に与えてる印象・影響がどういったものかとか、あとはその人の能力とか才能までもわかるんですね。早速、秋川さんの秘密を紐解いていきたいと思います。ご準備よろしくお願いします。
秋川:はい。これを耳につけるわけですね。
稲井:そうですね。普段のしゃべりでどうぞ。今回、このラジオに出てくださって本当にありがとうございます。
秋川:ありがとうございます。
稲井:こういう場も多いと思うんですが、今回、由結あゆ美の番組に出ていただいて、いかがでしたか。
秋川:そうですね。すごく楽しいお話で、歌の話もあり、彫刻の話もあり、いろんな自分の世界観を引き出していただいた気がします。
イエロー、ゴールドの声―内側にはお祭りの色のオレンジも
稲井:ありがとうございます。このように出てきます。これは人に与えている印象として、イエロー、ゴールドが強い方です。これはよくコミュニケーションのとき、例えば営業のときどういう声がいいかっていうと、自分をしっかり表す場合は、このドレミのミとファの音なんですね。これがある方というのは、人に印象を与えやすいんです。そして、深層心理も見えてきまして、内側にこれはオレンジ、丹田のあたり。そしてゴールド、自分の軸です。秋川さんのお声というのは、聞いている人の軸が定まるんです。そして、オレンジも強いので、これは聞いてるだけで元気になっちゃうんです。もうお祭りの色もオレンジですから、見事だなと思いますね。
秋川:へえーっ。
稲井:例えば舞台に立つとき、ご自分で緊張することはあるんですか。
秋川:あんまり自分は緊張しない性格なんですよ。だから大舞台になればなるほど、燃えてくるっていう、そういうタイプですね。
稲井:なるほど。舞台では、広さ、大きさ、音響の響きとかあると思いますが、どういうところで将来やりたいと思っていますか。
秋川:やはり音響の良い場所で歌うのが一番嬉しいですよね。ホールの響きが自分の歌声の響きを助けてくれるので。
無から有を作り出すアクアブルー
稲井:はい。ありがとうございます。今、歌の話をしたときに、この右側なんですが、やはり同じくイエローとゴールドが強いんですけど、アクアブルーがより強くなってきました。このアクアブルーというのは無から有を作り出す。例えば彫刻もそうですし、歌もそうですが、何もなかったところを音とか言葉で表現していきますよね。その歌を意識したときにこのアクアブルーが非常に強くなりました。これは見えないものを感じ取る能力でもあるんですが、そういったものを元々持ってるみたいですね。ご自分の中でそういう自覚、感覚はありますか。
秋川:いや、ないですね。
稲井:実はこれが内側に隠れてるんですね。表にはあんまり出ないんですけど、いざ歌うことを言った瞬間にこのアクアブルーが非常に強くなってきましたね。現実の中でずっと生きてこられた反面、アーティストの方はひらめきとかそのときの感覚でいろいろ自分をコントロールすることもあると思いますけど、そういうことが多いんですか。
秋川:そうですね。やはりひらめきは大きいですね。いつも頭の中でなんらかのイメージを持ちながら歌ってますね。
稲井:なるほど。またゴールドがより強くなりました。このように、人間って本当に面白くて、あることイメージしたら、よりこのアート的なものがより強くなる。ご自分の軸がある、基本的にやはりゴールドの方ですね。イチローさんの声もこういう感じ。世界記録出したとき、前テレビで録ったんですが、そのときの彼のしゃべりもゴールドがドンと。こういう方というのは、道を極めていきたいとか、なんのために自分は生まれてきたんだろうとか、そういったものが見つかったときにものすごく能力を発揮するんです。そういった方にこのゴールドが多いですね。歌も、彫刻もそうですし、先ほどお聞きしてたら、泳ぐときも息を止めてっていう、常に自分を追求してるじゃないですか。ある意味ゴールドの生き方なんです。まさしくかっこいい生き方です。ご自分でまさしくありたい自分を今体現してるような感じですね。
秋川:そうですか。
稲井:ご自分でどう思われますか。
秋川:いや、なんかこう、自分の中で実感はないんだけど、自分を分析されると恥ずかしいですね(笑)。
第三の目―ネイビーブルー
稲井:先ほどもいろいろご自分がお考えになってるとおっしゃいましたが、ちょっとイメージしてください。自分が考えているときは、頭なのか、胸なのか、腹のあたりなのか、どのあたりの内面がブワーッと動いてる感じがしますか。
秋川:あー、なんだろう。自分のイメージって体の中で感じてると思いますね。外じゃないですね。体の中に自分のなんかイメージしてる自分がいる感じがしますね。
稲井:なるほど。体の中で、頭のあたり、あるいは喉、胸、腹、丹田、どのあたりだと思います?
秋川:いや、下のほうじゃないですね。なんか目の奥のほうって感じです。目の奥のほうに自分の歌ってる姿、表現してるその音楽だったり、そんなものを感じてますね。
稲井:はい。目の奥っていうことは、第三の目あたりです。それがここですね。この第三の目です。ここの部分がグッと出てきました。面白いのは、ゴールドはちょっと薄くなって、今度、第三の目のネイビーブルーのところが出てきてます。人間って面白くて、意識するとそこが活性化するんです。だからお歌いになっているときも、自分が意図すると、悲しみなら悲しみの周波数、喜びなら喜びの周波数、怒りなら怒りの周波数が、まさしく可視化されるんですね。そのときに面白いのが、とくにコーラルレッドって朱色のところなんですが、強くなりましたね。ということは、眉間の奥のあたり、間脳や松果体のあたりですが、そこをグッとイメージされると、体の体感覚がものすごく鋭くなるんです。人間の体はこのなかで常に動いてますから、心の動き、言葉とかとくに女性に多いんですけど、このグリーンの部分が表から内側まである人は、ああでもない、こうでもないって思考が動きすぎる傾向があります。ですが、秋川さんの場合は特に、眉間の奥を意識すると、静まるんです。思考が静まって体と一体化してます。だからお祭り男なんですね。これは見事です。ご自身のボディの響きを会場全部に響かされてるというのが今日わかりましたね。
秋川:なるほど。ほー。
稲井:これエネルギーそのものです。
秋川:なるほど。
由結:素晴らしいですね。この信念や軸の部分、それからお祭り男の部分など、深いところまで出ましたが、これをご覧になって改めてどうお感じになりますか。
秋川:こうやって分析されると、本当に恥ずかしいですよ(笑)。なんだかこう、褒められてるようで、「自分ってそうだったんだ
って感じです。
稲井:改めて、またゴールドが戻ってきました。それで、体の感覚はさっきより減ってきました。当たり前ですけどもね。さっき体がこうだって言ったときは体が響いている。今また分析してここの部分に戻ってきて、今静まっていますね。こういう感じです。人間の体が楽器で、演奏していると思ってください。そのご自分のしゃべりは演奏がこのように人にその調べが伝わっていくんです。
秋川:なるほど。
稲井:いやー。ゴールドの方でした。
秋川:(笑)。
由結:(笑)。本当に貴重な音声を解析させて頂きました!
秋川:そうですね。
稲井:まさにこれは宝物です。
由結:そうですね。きっとまたコンサートのときは、もっとほかのお声の色が出る可能性もありますね。
稲井:そうですね。また今度CD録らせていただいてまたお送りしますね。
秋川:そうですね。
稲井:この曲はこういう色でしたとかね。
秋川:なるほど。これアプリにしたいですね。
稲井:そうですね。世にいずれ出したいと思っています。
由結:そうですね。近い将来に出す予定です。それでは、秋川さん、3週にわたりまして、ご登場いただき有難うございました。本当に素晴らしいご縁と素敵なお話の数々に感謝いたします。ありがとうございました。
秋川:こちらこそ。どうもありがとうございました。
稲井:ありがとうございました。
秋川雅史さんのプロフィール |
1967年愛媛県西条市生まれ。4歳よりヴァイオリンとピアノを始める。 のちに父の指導のもと声楽の道へと転向。 国立音楽大学・同大学院にて中村健氏の指導を受けたあと、4年間イタリアの パルマにてデリオ・ポレンギ氏に師事。 帰国後ソリストとして数々のコンサートに出演。 1998年、カンツォーネコンクール第1位、日本クラシック音楽コンクール最高位をそれぞれ受賞、 2005年、アルバム「威風堂々」をリリース。そのアルバムに収録された楽曲 「千の風になって」が話題をよび、翌年シングルカット。 2006年、第57回NHK紅白歌合戦に初出場。 2007年、シングル「千の風になって」でクラシックの歌手として史上初のオリコンシングルチャート1位を獲得。130万枚もの売り上げとなり、年間オリコンチャート1位獲得。同年、第47回日本レコード大賞特別賞受賞。 2008年、ゴールドディスク大賞受賞。ゴールデンアロー賞受賞。 同年7月、Bunkamuraオーチャードホールにて、美智子皇后台覧コンサート 「生きる2008〜小児がんなど病気と闘う子供達と共に〜 」に出演。 その年、全国ツアーで動員した観客と同じ28000人分のポリオワクチンを“世界の子どもにワクチンを日本委員会”に寄付し、同委員会より感謝状を授与される。 2007年2008年、NHK紅白歌合戦連続出場。 2011年、シングル「あすという日が」を発売。 同年NHK紅白歌合戦に4回目の出場を果たす。 2014年2月 秋川雅史 初のベストアルバムを発売。 2014年8月 新国立劇場オペラパレスにてオペラ「カルメン」ドンホセ役で出演。 2019年4月「千の風になって」が「オリコン平成ランキング」の平成「演歌・歌謡」ジャンルで第一位となる。 2021年第105回記念「二科展」彫刻部門において自身の彫刻「木彫楠公像」が初入選。 今年 9月7日には、自身のコンサートツアーでサントリーホールでのコンサートを予定。現在、最も実力、人気を供えたテノール歌手として活躍している。 |