薮田瑞穂さん ソプラノ歌手・オペラ歌手「歌・・・それは心からのおもてなし」
銀座ロイヤルサロン1週目(2018年5月31日)
由結:さあ、それでは本日も素敵なゲストをご紹介いたします。ソプラノ歌手の薮田瑞穂さんです。よろしくお願いいたします。
薮田:よろしくお願いいたします。
由結:はい。私の目の前に素敵なドレスの女性が座ってくださっています。薮田さんソプラノ歌手としてご活躍なのですが、現在の活動の状況を伺ってよろしいでしょうか。
薮田:はい。まずオペラの舞台。こちらは私が本当に好きなことで、オペラの舞台を年に2、3回踏ませていただいております。それ以外にはコンサート。あとまたパーティーで歌わせていただいたり、お食事の場所など、いろんな活動をしております。
由結:そうですか。様々な場所で演じてらっしゃると思うんですね。実はこの番組は銀座の番組なのですが、薮田さんは銀座の思い出はありますか。
薮田:そうですね。私が大学を卒業してすぐの時に、友人に声をかけられまして。銀座の並木通りに音楽サロンがあったんですね。そこのサロンはとても広い場所でステージもありまして。そこでオーナーのママがとても音楽がお好きで、たくさん毎日お客様を呼ばれていまして。私は歌を、友人はクラシックギターを、また他にはピアノの方、バイオリンの方が毎日演奏をしておりました
由結:すごく贅沢な空間ですね。そこで本当にいろいろなお歌を披露なさったと思うんですが、いろんな方とのコラボレーションはきっと面白いのでしょうね。
薮田:そうですね。やはり一番多いパターンとしましては、歌って伴奏がピアノ。これは楽譜上もとてもシンプルで一番出回っているものなのですけれども。他にそこにちょっとアドリブ的にバイオリンの方に入っていただいたり。最近珍しいのは電子音楽で歌いました。他にもシンガーソングライターの方とご一緒させていただいたり…。
由結:いろんなバージョンで自分自身の表現の方法が変わってくるものですか?
薮田:そうですね。声も多少、やっぱりマイクを通す、通さないで、出し方は全然変わってくるんですけれども。オペラに求められている表現というのは、マイクもないですし、大きいところで1000人以上の会場になりますのでとても近くで見ると大げさな表現が必要とされますが、先日ご一緒しましたシンガーソングライターの方は、自分ととけ込むように、風のように歌ってくれとおっしゃったので、かえってそれはそれで難しかったですね。
由結:そんなオファーもあるんですね?
薮田:そういうオファーは初めていただきましたが(笑)。
由結:そうですか。薮田さんは自由自在に体を操ってお声を出されますが、なにか日頃から心がけていることってあるのでしょうか?
薮田:そうですね。皆さんたぶんいろんな方法があると思うんですけれども、私はあの一番に呼吸かなと思っていまして。私のイタリア人の師匠が呼吸を制する者は歌を制すると言っておりました。それでやっぱり頃から呼吸が深く吸えることと、あとなるべく長く息が続くこと。こちらは本当に人それぞれ持った生まれた体格がありますので、私はかなり浅い呼吸でずっと、歌を始める前は過ごしていまして。そこは呼吸を深くするというのにとても時間がかかったのですけれども、今となっては歌だけでなく健康も精神も安定しますし、とてもよいことだなと思っております。
由結:おっしゃる通り、人それぞれ体格が違う中で、努力をしたらやはり呼吸が長くできるようになったり、深くできるようになることがあるんですね。それから、薮田さんはプロポーションが素晴らしいですが、これを保っていらっしゃる秘訣はあるんですか?
薮田:そうですね。実はとても夜食が大好きなので。
由結:そうなんですか!?
薮田:深夜過ぎてから食べてはいるんですけれども、その分プールに週に3、4回は通っていまして。
由結:それが健康維持や美容にも効果があるんですね。それから、薮田さんは弟さんがいらっしゃって、実は有名な作曲家でいらっしゃいますよね。
薮田:そうですね。2015年に賞をいただいたことで、とてもいろんな方から注目をいただいておりますね。
由結:そうですよね。世界最高峰の音楽コンクールであるジュネーブ国際音楽コンクール作曲部門で第1位を受賞されました。
薮田:そうですね。日本人としては作曲家では初めてですね。
由結:ここで1曲お届けしたいのが、その薮田翔一さんの作曲された曲なんですけれども、タイトルをお願いしてよろしいでしょうか?
薮田:はい。こちらの曲は“spring 8”という日本の巨大な放射光施設ですね。そこの20周年の式典のテーマソングのような、そういう曲になりますね。タイトルは“spring 8”です。
由結:なるほど。壮大なタイトル、テーマの曲をお聞きください。
由結:壮大なスケール!躍動感のある音楽でした!
薮田:そうですね。こちらはこのやっぱり巨大施設の光のイメージをしたそうですね。弟は作曲をする際にオーケストラも作曲するんですけれども、やっぱり多い時で40種類以上の楽器ですか。そちらを同時に縦で書いていくわけなのですね。やはり楽器1つ1つの特性をつかむことが大切なようでして。それがこういう電子音楽になってもそういうイメージで音楽を作っているようですね。
由結:なんでも設計図を描くように作られるそうですね。音楽を構築するという感じで
しょうか?
薮田:そうですね。うちの父が設計をしていましたので、その流れで同じようなことなのかなと。
由結:なるほど。薮田翔一さんは世界最高峰の音楽コンクールであるジュネーブ国際音楽コンクール作曲部門で日本人初の第1位を獲得されたまして、その他にもたくさんの賞を取られてらっしゃいますね。昔から音楽に親しまれているご一家だったということですね。
薮田:そうですね。母がピアノを教えていまして。もう30年ぐらい前はとてもピアノブームだったもので。もう朝から晩まで生徒さんがいらして。ずっとピアノの音楽は私も聞いて育ちましたね。
由結:そうですか。日常的に、音楽があふれていた…その中から瑞穂さんは声楽に行かれるわけなんですけれども、しかも声楽のオペラを選ばれるわけなんですが、何かきっかけがおありだったのでしょうか?
薮田:はい。たまたま。実家に戻った時に。高校の時から音楽大学の附属には行っていましたので東京にはいたんですけれども、それであの実家に戻った時にCDが1枚で机の上にあったんですね。それでそのCDをちょっと興味半分でかけてみましたら、“中丸三千繪”さんが、有名な“ジャンニスキッキの私のお父さん”という曲を歌ってらっしゃいまして。それを聞いた瞬間にとても感銘を受けまして。その次の瞬間から私もオペラを歌いたいと思いましたね。
由結:素敵ですね。ではその後どのようになっていくかということを、また来週も出ていただけるということですので、続きをお聞かせいただきたいと思います。薮田さん、有難うございました。
薮田:有難うございました。
銀座ロイヤルサロン2週目(2018年6月7日)
由結:さあ、それではここでまずは1曲を聴きください。どうぞ。[音楽]
由結:お聞きいただきました曲はソプラノ歌手、薮田瑞穂さんが歌っていらっしゃる曲です。本日も薮田瑞穂さんにご登場いただきます。よろしくお願いいたします。
薮田:よろしくお願いいたします。
由結:薮田さんの声、本当に綺麗でいらっしゃるのですが、何という曲だったのですか?
薮田:はい。こちらも先週を紹介させていただきました”spring8”という巨大放射光施設の20周年式典の際の音楽になりますが、題名としました“spring 8”ですね。こちらの曲はまたこの放射光施設のいろんな場面があるんですね。いろんな研究のお部屋というか。そこに合わせて作られています。
由結:なるほど。作曲家でいらっしゃる弟さんの薮田翔一さんの曲に、お姉さまでいらっしゃる瑞穂さんのお声を載せたわけですね。ご活動としてはいろいろな舞台踏まれていると思うんですけれども、翔一さんの作られた舞台の中で歌われるっていうことも多いんですか?
薮田:そうですね。2年前になりますけれども、地元の兵庫県竜野市の方で文化庁の助成金をいただきまして、弟が小屋ごとプロデュースをした舞台がありまして。そこにテントをありまして、そこの中にお客様に入っていただきます。それで新しいアイディアとしまして、普通はお客様が前にステージ、後ろがお客様とか、そういうふうに分かれているんですけれども。今回は土俵のイメージで。ステージは真ん中で、お客様はその周りにいらっしゃって、でも環状8号線、山手線のようにステージがあるんですね。ですので、お客様をステージで挟んでいるという。
由結:斬新な企画ですね。それも薮田翔一さんが企画なさっている演出されるわけですね。
薮田:そうですね。そこで弟の薮田翔一が自ら撮った映像をもとにプロデュースしまして。
由結:薮田翔一さんは毎回斬新なアイディアで有名でいらっしゃるんですけれども、この間私も拝見させていただいたのですが、百人一首を元にして、それにメロディを乗せるという活動もされていますよね。日本のみならず海外の方々にも好評とお聞きしていますが、いかがですか?
薮田:そうですね。やはりそこを目指していきたいということで百人一首を選んだようですけれども。百人一首のような本当に時代のものすごい才能の天才の方達が作った作品というのは、音にしましてもスッキリとハマんです。
由結:なるほど。時代を経ても変わらない美しさというものがそこにあるということなのですね。
薮田:そうですね。言葉にリズムがあるのでしょうね。
由結:なるほど。タタタタタ タタタタタ…というリズムですね。歌い手として瑞穂さんご自身はいかがでしたか?
薮田:そうですね。百人一首の言葉というのは現代の言葉ではないので。その感情移入というのを関しては訳を見るなど、いろいろしなければしっくりはこないのですけれども。やはり歌っていまして、まるで百人一首を・・・百人一首の本来の読み方と歌のメロディがとてもマッチしているような、そういう気がしました。
由結:他にもたくさんの舞台を薮田さん踏まれていますけれど、オペラをご専門になさっていますよね。そして、ソプラノということですので、キーがとても高くて、こんなに出るのかって思うぐらい声が出ますけれども、役柄によって同じソプラノでも若干変えたりすることってあるんですか?
薮田:それが役というのは、ソプラノはみなさん若い役なのですね。もうほぼそれで。順番のことで言いますと、ソプラノが一番高くてその次はメゾソプラノ。男性に関しましてはテノール。バリトン、バスバリトン。こういう形になるんですけれども、ソプラノはお嬢さん。テノールは王子さまみたいに、もう決まっていまして。ですので、60歳の方でもお嬢さん、20代の方でもお父さん、とか。
由結:なるほど。では若い役を演じるために表現方法も身につけるのでしょうね?
薮田:そうですね。逆に若返る方が経験があるので、楽なのかと思いますね。お若い方がお年の役をするのって難しいのではないかと思いますね。
由結:色々と人生経験も出てくるのでしょうね?
薮田:不思議なもので立っているだけでその人の本質が、出てしまうんですよね。
由結:観客の方いろんな角度からもそれを感じ取っているのでしょうね。そういった内面のものが出てくる舞台をみなさんで作り上げる時に、心掛けていることってあるのでしょうか?
薮田:そうですね。舞台っていうのは、歌手は舞台に立たせていただくので、とても目立つのですね。当たり前ですけど。でもその裏にても支えてくださる方がいらっしゃいまして。そのみなさんの共演者の方含め、スタッフの方。オーケストラの方。いろんな方が支えてくださることで、やっぱり歌手も最大限の力が出るのかなとは思いますね。その部分はとても意識はしています。やっぱりいい方たちと共に舞台を作らせていただきますと、自分自身の実力以上のものが出ますし。
由結:相乗効果なのですね。これから先のご活動としてこういうことをやっていきたいというものはおありですか?
薮田:そうですね。私自身声に関して、17歳でオペラを志した時に、もう19歳ぐらいで一度挫折したんですね。
由結:まあ。その時何があったのですか?
薮田:イタリアに行きましてあなたの声はちょっとオペラには向いてないからと言われまして。合唱とかされたらどうですか、と言われまして。イタリア人に。それでかなり私としても一度そこで挫折感を味わいまして。でも辞めずに続けてきたっていう。いろんな出会いがあって辞めずに続けてこられたのですけれども。ですので、声ということに関して、とても自分自身鍛錬したというか。なんというのですかね。開発をしたかったのですね。
由結:より自分自身の潜在能力を引き出したかったのですね。
薮田:ですので、声っていうのはきちんと使っていますと、私の師匠今イタリア人で70歳なのですけれども、全く衰えがなく。そういう今ではせっかくちょっと時間かけて作った声ですので、長く持たせて。オペラに限らずいろんな・・・最近ではシンガーソングライターの方のちょっとバックコーラスではないですけど。私の声だから出来ることっていうのを色々自分の声で使って歌っていきたいと思っております。
由結:楽しみですね。薮田さんの情報はどのように取ればよろしいでしょうか。
由結:はい。それでは“藪田瑞穂”あるいは、“薮田翔一“で検索をなさってみてください。それでは2週に渡りまして、薮田さん、本当に有難うございました。
薮田:有難うございました。