株式会社松崎商店 代表取締役社長 松﨑宗平さん「煎餅のある生活を提供する」
銀座ロイヤルサロン1週目
目次
一枚一枚心を込めて
由結:さあ、本日の素敵なゲストをご紹介いたします。株式会社松崎商店、代表取締役社長の松﨑宗平様さんです。本日は社長をお迎えいたしまして、創業200年以上の老舗を継ぐというテーマでお送りしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
松﨑:よろしくお願いします。
由結:今目の前においしそうなお煎餅が並んでいますが、実はこちらは銀座 松﨑煎餅さんのフロント商品ですね。
大好きな方はわざわざ銀座にこのお煎餅だけを買いに来る方がたくさんいらっしゃるとお聞きしていますが、このお煎餅に込められた意味を教えていただいてよろしいでしょうか。
松﨑:はい。家訓とかってよく老舗の会社さんってあると思うんですけど、うちの松﨑煎餅はとくになくて、ただずっと祖母も父も一枚一枚心を込めて手を抜くなっていうのをすごく口癖のように言ってたんです。それを勝手に2019年から格言化させてもらっています。
見ると絵柄が目立つと思うんですけど、絵を描くにはやはりきれいな表面がないと映えないんですよね。いっぱい穴があいてたりしたら駄目ですよね。煎餅って元々何枚焼いたらいくらみたいな、そういった成果報酬の仕事の仕方が一般的だったらしいんですけど、うちはずっと給料制にしていたみたいなのです。その理由っていうのが表面をきれいにするとかそういうことにつながっているし、その一枚一枚っていうところにつながっているなと思ったんですね。
なので、僕はそれをさらに拡大解釈して、お客様一人一人とか、僕からしたら社員一人一人とかっていうことも全部含まれるし、すごくいいメッセージだなと思っているので、このフロント商品って言わせていただいたのも、そこの体現がされてる商品だからかなというところが根幹にあります。
由結:とても深いのですね。社長が実際に一枚一枚手を抜くなということで、こういった素晴らしい商品がある店内で、社長ご自身も現場にお立ちになることも多いそうですね。
松﨑:そうですね。バックヤードがあるので、普段外でミーティングとかない限りは出勤してるときはお店の裏におります。今日も日中はずっと店にいたんですけど、裏っていってもすぐ後ろなので、「あれ、この声知ってるな」と思うとすぐ出ていったりとか、今日からちょっとイベントの立ち上がりがあったので、そのイベント目当てなのかな、来てくださったお客様とちょっとコミュニケーションしたりしてますね。
由結:そうなんですね。松﨑社長と初めてお会いしたときに、実は驚いたんです。老舗の社長様でいらっしゃるので既存のイメージがあったんですけれども、すごく雰囲気のあるアーティストさんが目の前にいらっしゃったのですが、ご自分でファッションなど、なにか心掛けてらっしゃるようなところはあるんですか。
松﨑:私自身、2011年ぐらいまではスーツを着て会社行ってたんですが、震災のあとにスーパークールビズっていう言葉が出てきて、ちょっと着崩しはじめたときに、そっちのほうがより人に覚えられるよなって思ったんですよね。
スーツ着て売上上がるんだったらいくらでも着るけど、そこが直結してないのにスーツを着る意味はないなって思ったので、なるべく自由でいようと思ったんです。正装が必要なときって絶対あるので、そういうときはもちろんちゃんとかしこまった格好すべきだと思いますけど、スタッフにも、自由に好きな格好でいいんじゃないっていうことは言ってますね。
やっぱりこう、働くときに自分の好きな格好で働くのと、なんかこれを着ろって言われてるから着るのって、モチベーションも全然違うじゃないですか。なので、工場とかはきちんと制服というか清潔にするための服っていうのがありますし、百貨店とかではうちのユニフォームもありますけど、その必要がないスタッフについてはなるべく自由に気持ちよく仕事をしてもらいたいなと思うので、あまり強要はしてないですね。
由結:そうなんですね。松﨑社長とお話してるとすごく本当に心地良いというか、自分らしさをすごく大事にしてらっしゃるなという感じがいたします。老舗を継ぐ前にはウェブデザインを行うIT企業で勤務されたりしていますよね。そのころのご経験のお話を聞かせていただけますか。
松﨑:はい。もちろんです。元々、絵描くのが好きだったんですよ。小学校のときの将来の夢が漫画家で、中学生ぐらいのときに絵は描けるけど話が描けないことに気づき始めて、イラストレーターになろうと思ったんですね。そこからいろいろ進んでいくにつれてパソコンで絵が描ける時代になってきて、18~9ぐらいからグラフィックデザインをパソコンでやるようになってっていうところから、なんとなくそっちの方向にどんどんはまっていったのが最初ですね。
バンド活動がもたらした影響
由結:そうなんですか。そして、今現在もバンドのご活動もしてらっしゃいますよね。
松﨑:そうですね。バンドは本当に生活の一部というか、中学生からずっと楽器を弾いていて、社会人になってからもずっとやっていて、運よくいろんなところでライブやらせていただいたりとか、対価をいただけるようになったこともあり、ずっとやってたんです。やっぱり今も趣味といえば趣味だし、お仕事ではないですけど、実際にサブスクリプションで配信して聞いていただいてとかってやってると、楽しいですよね。
由結:バンドを二つお持ちになってて、今一つは休止なさってるんですよね。
松﨑:そうですね。元々SOURというバンドで、それが一番腰を据えてやっていて、全国からアジア圏やらもライブ回っては聴いてくださる方に音を届けてたんですけど、それがちょっと明確な理由はないんですが、なんとなく一回休むかって言って休んだのが多分5年前ぐらいで、今でも連絡取ったり、「来年はやる?」という話はするんですけど動いてないんです。
もう一つがoysmって、アルファベットで書いておやすみの子音だけを文字にしてるんですけど、メンバー全員、仕事してる人間たちがおやすみを使って曲を作って、おやすみにあったゆるい音楽をやろうというテーマで始めた、ちょっとコンセプシャルなバンドですね。
由結:なるほど。このバンド活動が今の老舗のご活動になにか影響を及ぼしていることはありますか。
松﨑:この点については話す機会もないので話したことないんですけど、そもそも、私、銀座4丁目にビルがあって、それを建て直ししたのが2017年からだったんです。どういう建て直し方をするか、どういうスキームでするかって、これ結構考えてる方たくさんいらっしゃると思うんですけど、そのときに一番いい形を提案してくださったのはバンドでつながった企業でした。
由結:そうなんですね。やはり心地良さとか空気感みたいなものや、人との付き合い方も大事にされてるっておっしゃってたように思いますが、そういうのが自然につながってきたというところはあるんでしょうか。
松﨑:わからないですけどね。ただ、本当にいろんなディベロッパーさんとお話している中で一番ワクワクするというか面白いお話をいただいたのが、そのバンドつながりで出会った大手のデベロッパーさんだったのですごくなんかご縁を感じたし、バンドやっててよかったなって思いましたね。
譲れない二つのこと
由結:やはりワクワクするとか自然体で楽しむとか、そんなところが一つコンセプトなのかなと思いますけど、社長自身がこれだけは譲れないみたいなところってなにかおありですか。例えば食に関してとか、それからもちろん仕事のスタイルもそうなんですけれども、そして人との付き合い方とか、何か大事にされてらっしゃることはどんなことですか。
松﨑:二つあげます。一つは、今おっしゃっていたみたいに食事なんですけど、私、3~4年前にちょっと大病して2カ月弱入院してたんですね。食べるものにすごく制限があるんですよ。単純に言うと塩を食べちゃいけませんっていうものなんですけど、そうするとやっぱり食べられるものは制限されるんですけど、もう44で、あと何年生きれるかわからないじゃないですか。30年か40年か、もしかしたら10年かもしれないので。そのときに後悔しない食べ物を食べておきたい、無駄にしたくないっていうのはすごくあって、友だちとちょっと飲みにいくって話をしたとき、もう徹底的にどこ行くか考えますね。
由結:すごいですね。一食一食を大切にということなんですね。
松﨑:そうです。もう一つは、最近これもやっぱり病気とも関係してくるんですけど、変な言い方すると嘘をつかない。その場で考えたことをしゃべらないようにする。
由結:その場で考えたことをしゃべらない?
松﨑:調子いいことって言えるじゃないですか。それをやらないようにしようっていうのは何年も考えてるんです。例えば、こういった場所でおしゃべりさせていただくときも、そこで言ったことと違うことやってたら恥ずかしいじゃないですか。なので、それを一貫として通すためになにをしたらいいかっていったら、「自分で思っていることしか言わなきゃいい」
っていうのをすごく意識するようにはなりましたね。
由結:なるほど。ある意味、言葉の使い方。それもよく考えて使っているということでしょうか。
松﨑:そうですね。本質的には考える前にしゃべっちゃうタイプなんですよ。なので、気付いたら全然違うこと言ってて、あとから「それ、言葉、違くない?」って言われて、「え?そうでした?」みたいな話よくあるんですけど、ただ、常に自分の思ってることしか言わないって決めてしまうと、どんどん言葉出てきてしまってもあんまりずれないというか、嘘は言わないなとは思ってますね。
由結:なるほど。本質というか自分の根本みたいなところをすごく大事になさってるんですね。
松﨑:そうですね。さっきおっしゃっていただいたお店づくりとかそういったときも、自分がやりたいことはやる。でも周りの人からしたらこうしたほうがいいかもしれないなって思っても、自分がやりたいのはそれと逆のほうだったら、きちんと自分がやりたいことをやるみたいな、嘘をつかないっていうところは結構徹底してるかもしれないです。
由結:素晴らしいですね。そういうものが本当にたくさん素敵な商品に反映されてるのかなという気がいたします。
松﨑:そうだったら嬉しいなとは思います。
銀座で働くビジネスパーソンの方々へのメッセージ
由結:素晴らしいお話を聞かせていただきました。そして社長は今度11月19日にお菓子のイベントがおありですよね。
松﨑:そうなんです。ufu.さんっていうスイーツメディアがありまして、そこが下北沢で大きいお菓子スイーツフェスティバルをやるんです。それに出させていただくことになっていまして、まだ具体的に何っていうところまで言っていいのかよくわからないですけど、参加することにはなっています。ぜひウェブでチェックすれば出てくると思います。
由結:ウェブでチェックするときは何とチェックすればよろしいですか。
松﨑:ufu.さんのサイトにいっていただいて、そこに記事が出てたりするので、そこから見ていただくのが一番いいのかなと思ってます。
由結:ufu.さんで下北沢で検索をしていただきたいと思います。そして、最後に伺いたいんですが、松﨑社長は銀座でお店構えてらっしゃいますので銀座への愛着もあるというふうにお聞きしてるんですけれども、銀座で働くビジネスパーソンの皆様や銀座が大好きっていう方もいらっしゃると思いますので、その方々に向けてのメッセージをいただけますでしょうか。
松﨑:難しいですね。銀座はすごく好きなんですけど、やはり生まれ育った場所っていうのがまず強いんです。多分皆さんにも地元があると思うんですが、まさしく地元なんですよね。なので、ちょっと共有の仕方が違うのかもしれないなと思うんですけど、やっぱ銀座ってすごくいい街だと思ってます。その理由って、あまり比較する相手を明確にするのもどうかと思いますけど、例えば港区・渋谷区あたりのいいショッピング街と銀座で比べたときに、来店数は銀座じゃないほうが多いんですが、購入される方の数は圧倒的に銀座のほうが多いって話をよく聞くんですよ。
それってなんでだろうっていうのをすごく考えるんですけど、恐らく大きな買い物をするときに買い物だけで行くのであれば、極端な話、インターネットのECサイトでいいわけですよね。買い物に行くのが目的でも、そのあとおいしい食事を食べたい。あの有名な喫茶店でお茶をしたいとかって考えたときの総合力が銀座ってすごく強いんだと思うんです。なので、いざという、今日だっていう晴れの日は銀座で過ごそうって考えてくださる方がたくさんいらっしゃるんだろうなと思っていて、我々はそこに誇りとプライドを持って守っていくようにしなければいけないっていうのはすごく感じてるんですね。
そうすると、さきほど由結さんがおっしゃってたみたいに、銀座で働く方たちにという意味でいけば、我々、チームで銀座を守るんだ、作るんだっていうことが言えると思うので、仲間として街をよくしていきましょうってコミュニケーションがとれるんじゃないかなと思うので、それをとっていきたいなというふうに思ってるところです。
由結:ありがとうございます。晴れの日を大事にする日本人ですからね。銀座は本当に大切な要素になってきますね。
それでは、また来週もお話の続きをいただきたいと思います。ありがとうございました。
松﨑:よろしくお願いします。ありがとうございました。
由結:ラジオをお聞きの皆様へ、プレゼントのお知らせです。銀座 松﨑煎餅 大江戸松﨑 格子詰合せを抽選で3名様にプレゼントします。当選は商品の発送をもってかえさせていただきます。応募締め切りは11月30日です。銀座ロイヤルサロン公式ホームページのお問い合わせフォームより、銀座 松﨑煎餅プレゼント応募とご記入の上、応募ください。ご応募お待ちしております。
銀座ロイヤルサロン2週目
銀座 松﨑煎餅の今とこれから
由結:さあ、本日の素敵なゲストをご紹介いたします。株式会社松崎商店代表取締役社長、松﨑宗平さんです。2週目ご登場いただいております。本日もよろしくお願いいたします。
松﨑:お願いいたします。
由結:さて、老舗でありベンチャー企業の銀座 松﨑煎餅の今とこれからというテーマで伺っていきたいと思っております。銀座 松﨑煎餅さんは2021年に本店を移転してらっしゃいますよね。
松﨑:そうですね。元々2016年に自分のところのビルを建て替えるにあたって5丁目に移って、そこでずっと商売をしてたんですけれども、2020年から新型コロナの流行りがありまして、やはり銀座はすごく影響が大きかったんですね。東銀座にも住んでる方いらっしゃいますけど、やはりそんなに住んでいる方が多くない街です。そこでお仕事される方もみんなリモートになってしまったので、店舗の売上がどんどん目も当てられない状態になっていって、「どうしたものだろう」という中でした。百貨店さんもしかり。やはり銀座で場所をお借りして商売をやっているので、なかなか固定費というのは下がりようがないですからどうしようかなと思って、2020年の年末ぐらいには移転を考え始めて、年明けした2021年からはもう本当にずっとそれにつきっきりで仕事をしてましたね。
由結:そうでしたか。でも本店の移転はかなり決断が必要だったんじゃないかなと思うんですが、その点はいかがでしたか。
松﨑:そういう意味では運がいいのか、要は元々あった場所から5丁目に移ったので、一度やったことって二度目ってやりやすいじゃないですか。だから、ラッキーだった部分もあるのかもしれないですね。
由結:なるほど。実際に今、外観もそうなんですけど、お煎餅屋さんと思えないような雰囲気になってると思うんですよね。こういったデザインとかそのあたりも社長が考案されたりするんですか。
松﨑:そうですね。今回一緒にお願いした設計士さんとはすごく馬が合うんです。やはり私自身がわりと突飛なことを言うので、それをうまくまとめてくれる方とよく仕事をしていたのですが、今一緒にお仕事してる方はむしろそれをさらに広げてくれるんですよ。だからすごく楽しくて、今回お店作るときにも全部お願いしますってお話をして、ベースとなる色とかアイデアとかそのへんは僕がしっかりお話をしつつ、それをいかにさらにかっこよく仕上げるかみたいなことは彼が全部やってくれて、すごく楽しかったですね。
由結:そうなんですね。そのクリエイティビティが随所にあるなと思ったんですけれども、暖簾を入りますと、中も一枚板のテーブルがあったりして、楽しくお茶ができる気がしたんです。こういったこだわりというのはどんな点がおありになるんでしょうか。
松﨑:そうですね。例えば、お煎餅を食べるシチュエーションどんなイメージがありますか。
由結:こたつでパリパリみたいな?
松﨑:そうですよね。それ鉄板だと思います。僕もそれはすごく思ったんですけど、そのシチュエーションって多分今すごく少ないんですよね。やはり核家族化してるし、おじいさんおばあさんのおうちに行っても、まずこたつがないとか。なので、おいしく食べるシチュエーションがないものを売るのって恐らく結構難しいんですよ。
楽しくお煎餅を食べるシチュエーションを作るにはどうしたらいいだろうって思うと、やはり中で食べられる場所っていうのがすごく大切で、それを考えたときに、店に入ってすぐにイートインがあって、普段は甘いものを食べていただくちょっとした簡単なイートインスペースなんですけど、夜はお酒を飲みながらスナッキーなお煎餅を食べて音楽を楽しむみたいなコミュニティの場所を作れたほうが、お煎餅食べながら飲むの楽しいじゃんとか、ちょっとしたときにそれをほかの人にも共有したい人が出てきたりとかってするかなと思ったのがあったので、店づくりではそこがベースになってますね。
由結:ライトアップされたり、雰囲気のいい音楽が流れてたりっていうことですよね。だから商品のラインアップもちょっと飲みながら食べられるようなものもかなり揃えてくださってるんですね。
松﨑:そうですね。元々2016年に世田谷に店をオープンさせたときに、今もそのお店は元気にやってるんですけど、やはり住んでらっしゃる方が生活とくっつくお煎餅ってあったほうがいいよなと思って、簡単にいうとポテトチップスみたいにパッと開けて手入れて食べられるみたいな、個放送されてない商品を作ったんですけど、それは銀座では扱ってなかったんですよ。でもそれを今回は東銀座の店では扱うようになりましたね。
由結:はい。これ、いただいたんですけど、なんか食べ出したら止まらなくなってやみつきになってしまいますね。
松﨑:そう言っていただけることが多いのでありがたいなと思ってます。
由結:そうですよね。こちらはマヨネーズ味ですかね。
松﨑:はい。マヨネーズ味ですね。
由結:よく深層心理をついてらっしゃる商品だなっていうふうに思いました。
松﨑:ありがとうございます。
商品開発と今後について
由結:どうしてもお煎餅ってなんとなく安価に手に入るようなイメージがやはりあるんですけれども、このあたりの価格帯についてはどのようにお考えになってるんでしょうか。
松﨑:そうですね。商売すればするほど、値段ってすごく難しいなと思ってるんですよ。単純な話、安けりゃ売れるんですよ。でも安くて売って薄利で商売してくのって結構限界がありますよね。そこにずっと我々日本人って気づいてなかったのか気づかないようにしてたのかわからないですけど、ずっと値段は上げないでいいものを作るって、それはすごい技術なのでめちゃくちゃすごいことをやっているんです。ただそれによって値段があげられない経済を作ってしまったんではないかっていうのはすごく感じてるんですね。さっきおっしゃっていただいた通り、煎餅って安いものが多いんですよ。
由結:はい。そういうイメージがあります。
松﨑:わかります。小麦粉のお煎餅を考えても、例えば小麦粉を1キロを商品化したときにいくらで売りますかっていうのを指針化として出すとすると、煎餅業界ってすごく値段が低いんですよ。要は小麦粉ってケーキとかラーメンにもなるじゃないですか。って考えたときに、一番かわからないですけど、低いほうに煎餅があるんです。
やっぱりそれだともちろん会社も儲からないんですけど、会社が儲からないってことはそこで働いてるスタッフにもなかなか対価が渡せなくなってしまう。なので、我々はその体制をきちんと変えることをしないといけないと思ってますし、それは自社だけの話ではなくて菓子屋全般だったりほかのものも含めて、もっと高くて当たり前のものを受け入れていかないと、なかなか経済よくなんないんじゃないかなとは思ってますね。
由結:なるほど。随所にそういったいろいろな工夫を考えながら会社を経営し、そして業界全体のことも見てらっしゃるということですよね。
松﨑:まあそんなに自分ができることは大きくないんですけども、ただなんかそうであってほしいなっていう感じですかね。だからまずは自分の会社に対してなるべくお客様が喜んでいただける範囲の適切な金額っていうのを見つけていきたいですし、より値段が高くても買いたいって思っていただけるような商品を作るっていうのが自分の仕事かなと考えてますね。
由結:そうですよね。例えばこちらのカカオニブの商品は自信作ということなんですけれども、この商品のこだわりってどういうところにありますか。
松﨑:そうですね。元々これは昔からある煎餅なんですが、小麦粉の中にピーナッツが入っていて格子状の模様が入ってるんですね。これがずっとうちでも人気で、スタッフの人気も高かった商品だったんですけど、ちょっと作るのが大変だったので、一時やめてしまってたんですね。それを復活させるときに、もう少し別の味も作りたいって思って開発したのが、今ご紹介いただいたチョコレートが入ってるものです。
2013~4年だと思うんですけど、僕が初めてカカオニブというものを知って食べたときに、めちゃくちゃおいしかったんですよね。カカオニブを使ったお菓子作りたいなってずっと思ってたんですけど、まだあまり世の中で言われてない時代だったのでどうしたもんだろうって思っていたんです。でも、いろんなご縁があって、2019年の商品開発をだいぶ前から始めていたときに、いよいよカカオニブを使った煎餅ができそうだなっていう段階まできたんですね。
ただ、カカオニブって今よく食べる場所があるので皆さんご存知だと思うんですけど、物自体はそんなに甘くもないですし、やっぱりちょっと果肉感というかフルーツ感があって酸味があるんですよね。それを一番楽しんでいただくためには、生地はプレーンな小麦粉のほうがいいと思ったんですけど、やっぱりカカオって聞いてチョコレートを思い浮かべるじゃないですか。なので、やはりチョコレート入ってたほうがいいよねっていうのは社内でもずっともんでいて、それで結局、小麦の生地の中にチョコレートを混ぜてカカオニブを入れてっていう、かなりビターな煎餅ができたんですね。
由結:とても味わい深いお煎餅だなと思います。このような商品開発、研究は今後も続いていくのでしょうか。
松﨑:そうですね。小麦粉のものもあればお米のもの、うるち米のものもいろいろありますけども、やはり付加価値をつけて楽しめるようなものっていう方向性は変わらないですかね。
由結:なるほど。松﨑煎餅さんといえば、本当に銀座を象徴する、8代続いている素晴らしいお煎餅屋さんですから、銀座に貢献しているという点はとても大きいと思います。今後の未来の展望はどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
松﨑:なかなか今ウィズコロナ、アフターコロナが見えてきてる中でまだわからない部分がたくさんあるんですけども、会社を大きくしたいというよりは、きちんと続けていって皆さんに知っていただけるようなアプローチはずっとしたいなと思いますね。
由結:なるほど。つなげていくということなんでしょうね。
松﨑:そうですね。そのつなぎ方もいろんな可能性や方法論があると思うんですけど、そこもいろいろ考えながら自社にとって何が一番いいのかっていうことを考え続けるということ。煎餅屋さんってほかにもたくさんありますけども、うちって恐らくバリエーションがやたら多い煎餅屋だと思うので、このスタイルでどこまでいけるのかっていうところもチャレンジしていきたいなとは思ってますね。
由結:こちらの商品は空也さんの餡を使っていますよね。
松﨑:そうですね。空也さんが別で、ぎんざ空也空いろさんっていうブランドをやっていらっしゃって、そちらの餡子をちょっと使わせていただいてます。実際にお店の中でも空いろの餡子は、そのまま空いろの餡子として購入できます。
由結:そうですか。様々な工夫をなされているので、本当にとても楽しみですね。また今度11月19日にはお菓子のイベント、スイーツ食いだおれFESに出展されるということなんですよね。
松﨑:一応、これまだ仮の名前らしいですよ。
由結:そうなんですね。
松﨑:Makuakeさんと一緒にやってらっしゃってて、一応仮という名前で購入権が多分あるはずです。なので、買って名前を付けることもできますよ。
由結:面白いですね。ufu.さんで検索をしていただくとこの情報は取れそうですね。
松﨑:そうですね。ユーエフユーでウフなので、そちらで調べていただければウェブのトップのほうにも食いだおれFESの情報が出てますので、ぜひチェックしてみてください。
由結:わかりました。社長がDJで参加されるというようなことも伺ったんですけれども。
松﨑:そうですね。まだ内容は細かくすり合わせしてないんですけど、弊社としては煎餅に絵をつけるワークショップをやろうと思っていて、来てくださった方、皆さん、煎餅一緒に絵をつけるっていうのがあります。あとは、我々『アンコマンないと』っていうイベントをずっとやってまして、菓子屋の仲間たちで音楽をかけながら自分たちのお菓子をふるまうっていうイベントなんですけど、それを今回19日にやる予定でいます。もしよろしければぜひ足を運んでいただけるとありがたいです。
由結:そうですね。いやー、楽しみです。ぜひ、11月19日のイベントですね。ufu.さんで検索をしていただくとヒットしますね。皆様、ご覧になってみてください。
松﨑:お願いいたします。
リスナーに向けてメッセージ
由結:それでは、最後にリスナーの方に向けて一言メッセージをいただけますと嬉しく思います。
松﨑:はい。私のお店は東銀座の歌舞伎座さんのすぐ横にあるんですけれども、うちの店だけじゃなくて、東銀座自体にも楽しいお店いっぱいありますし、そこからちょっと足をのばして、銀座のほうにもいいお店がたくさんあるので、ぜひぜひ遊びにきて、お店探しだったり好きなお店を見つけていただけたらいいなというふうに思っております。少しでも多くの銀座ファンの方ができたら幸いだなと思っております。
由結:はい。松﨑社長、素敵なメッセージありがとうございます。
さあ、最後にラジオをお聞きの皆様へプレゼントのお知らせです。銀座 松﨑煎餅 大江戸松﨑 格子詰合せを抽選で3名様にプレゼントします。当選は商品の発送をもってかえさせていただきます。応募締め切りは11月30日です。銀座ロイヤルサロン公式ホームページのお問い合わせフォームより、銀座 松﨑煎餅プレゼント応募とご記入の上ご応募ください。お待ちしております。
さあ、それでは、松﨑社長には2週にわたりまして、本当にありがとうございました。そして、来週は声診断コーナーにご登場いただきますので、よろしくお願いいたします。
松﨑:楽しみにしております。
由結:ありがとうございました。
松﨑:ありがとうございます。
銀座ロイヤルサロン3週目
声解析・声診断コーナー
由結:さあ、今週は声解析・声診断コーナーです。クォンタムヴォイスアカデミー稲井英人学長が担当するコーナー。これまでに25000人以上の臨床データのある声解析・声診断ソフト「クォンタムヴォイス®」により、ゲストの方の声の波形を読みとり、その方の個性と能力をひも解いていきます。本日のゲストは株式会社松崎商店代表取締役社長、松﨑宗平さんです。よろしくお願いいたします。
松﨑:よろしくお願いします。
由結:それでは、稲井学長、進めていただきましょう。
稲井:はい。それではよろしくお願いします。
松﨑:はい。お願いいたします。
稲井:先週、先々週と話聞かせていただいて、結構渋い声ですよね。
松﨑:そうですか?
稲井:なかなか魅力的だなと思って、実は。
松﨑:よく言われますけど、自分の声は嫌いだっていう方多いじゃないですか。それは多分にもれず私もずっと嫌で、音楽活動してると歌はあんまり歌わないんですけど、結構MCをよくやっててしゃべるんですよ。あとでそのときのライブの録音を聞いて、いつもなんか嫌な気持ちになるっていうのをくり返してたので、そういっていただけるとなんか嬉しいなと思います。
稲井:なるほど。そうなんですね。ご自身でこういうメディアもいろいろ出たと思うんですが、今日のご感想いかがですか。
松﨑:そうですね。私自身、人の前というかラジオにしてもテレビにしても、しゃべるってすごく大事なことだと思っていて、やはり頭の中を整理するすごくいい機会をいただけると思っているので、すごくありがたいですね。
信念のゴールド
稲井:なるほど。ありがとうございます。このように出てくるんですね。人のしゃべり声をドレミファソラシドに置き換えて、ド#、レ#で12音ありますよね。それがこの12色で出てくるんですね。
これが最初の「自分の声嫌いなんだよね」って言ったときの声なんですね。あと側の声がご自分で先ほど「自分の整理整頓できるんだよ」って感想を言ったときの声なんですね。なにがどう違うかといいますと、最初の声はゴールドで、僕はこうなんだよっていうもの。「声嫌いなんだよね」って言ったときは、自分はこうだという声が出てきたんですね。
だんだんこれ面白いのが、あと側で客観的にご自分のことをしゃべったときは、このヴァイオレットっていいまして、体でいったら頭頂部になるんですけども、客観的に冷静に物事を見て、自分を分析したとき、この波形が出てきたんですね。
これはコーラルレッド、赤とオレンジの間の朱色なんですが、この領域っていうのは本能の領域で、自律神経とかの領域なんですけども、ご自分でそのように体で本当にそう感じてるんだなっていうのがよくわかるんですね。
これで面白いのが深層心理、内面が見れるんです。こうやって出していきますと、ご自身の内側でものすごく出てくるのが、このゴールドの部分とオレンジですね。ゴールドっていうのは信念。内側に僕はこうだよっていうのを持ってる。あとイエローもそうなんですが、やっぱりお仕事経営する上で、これは社長としてとっても重要なところだと思うんですが、ご自分ではこういう点に対してどう思われますか。
松﨑:いや、あまり自信がある人間ではないというか…自信がないと言うと嘘でもあるんですけど、嘘でもあるっていうか自信がない部分とある部分が結構きれいに分かれているので、全体的にそうなのかなという感じです。疑問というよりは、全て信念があるんだったらすごくいいなと思うので、今の言葉を信じたい気持ちでいます。
内側に秘めたイエローとオレンジ、右脳的な感性のアクアブルー
稲井:はい。面白いのが、全て内側にこのイエローが全部見えるでしょう。ところが、表に出てこないんです。結構薄いんです。でも内面には持っているというのがこうやって出てくるんです。だから内にちゃんと秘めておられますよ。だからこのように面白くて、自分の思いとか感情がそのままこのように見えるんですよ。
あと面白いのが、アクアブルーって言いまして、これ右脳的な感性なんですね。アーティストでもいらっしゃるので、これを会社の経営のほうとか商品開発なんかでもいろんなひらめきとか右脳的な感性なんかも活かしていただけると、非常に面白いものを作られると思います。
ご自分で今後お菓子の業界もそうですが、今までの歴史とこれからの歴史の中で、新しいウェーブを起こしたいみたいなお考えはありますか。
松﨑:実はそこはあんまりなくて、アーティストとかクリエイターだと自分を思ってないんですよ。それはもうずっと変わってなくて、音楽やってるときから、すごいアーティストはいっぱいいますけど、自分はそこにはなれないと思ってるしなる気もないって思ってるんです。なので、そういったアーティストの方たちを盛り上げる、支える人間でいたいって思ってるんですね。なので、そんなに派手派手しく「アーティストです」っていうのはあってもいないと思ってますし、本当こう、ディレクター気質というか、後ろ支えをしていきたいなというふうに常に思ってます。
稲井:それはぴったりですね。このオレンジが内側にドーンと出てきましたね。それが喜びだと出てきましたね。本当にもうお話でもおっしゃってましたけど、考えて言葉を作るんじゃなくて、思ったものそのまま表現するんだっておっしゃってましたけど、まさしくそれがお役割だと思いますね。
ご自分という体の楽器を日々本当にフルに響かせて、やっぱり次の銀座、次の日本をその気がないけど無意識にそういう存在であるというのがこの声からも見てとれますね。ぜひこのコーラルレッド、本能の部分を活かされて、また商品やおいしいものを作っていただきたいと思いますね。今後もご活躍楽しみにしております。
松﨑:はい。頑張ります。ありがとうございます。
稲井:今日はありがとうございました。
由結:松﨑社長、どうもありがとうございました。
松﨑:ありがとうございました。
松﨑宗平さんのプロフィール |
(株)松崎商店代表取締役。1978 年 銀座生まれ銀座育ち。大学卒業後、グラフィックおよびWEB デザイ ンを行なう IT 企業での勤務を経て、2007 年に(株)松崎商店へ入社。2018 年より現職。1804 年に芝で創業し、1865 年に銀座へ移転した 銀座松﨑煎餅は、200 年以上続く老舗の伝統を大切にしながら、地域密着をテーマにしたコンセプトストアなど、時代の変化に合わせた新しい事業を展開。2021年夏には、本店を東銀座へ移転し、屋号をMATSUZAKI SHOTENに変更。今なおブランドの再構築と向かい合っている。 |