株式会社松屋 代表取締役 専務執行役員 古屋毅彦さん「未来に希望の火を灯す」
銀座ロイヤルサロン1週目
目次
松屋銀座のはじまりについて
由結:さあ、本日の素敵なゲストをご紹介いたします。株式会社松屋、代表取締役、専務執行役員の古屋毅彦さんです。よろしくお願いいたします。
古屋:よろしくお願いします。
由結:本日はお忙しい中お越しいただきまして、本当にありがとうございます。
古屋:こちらこそありがとうございます。
由結:本日は創業から150年、銀座の地でおよそ100年に及びます松屋銀座さんの歴史とこだわりについて、伺っていきたいと思います。まず、歴史ですが、どういった由来から始まったか教えていただけますか。
古屋:はい。元々は1869年までさかのぼるのですが、私の祖父の祖父が山梨で生まれて、当時、横浜で文明開化じゃないですけど、横浜にいろんなものと人が集まっていたっていうことで、山梨県から横浜のほうに人がいっぱい出ていっていたんですね。山梨だと甲州財閥みたいに呼んだりするんですけど、いろいろな方々が横浜に出てきました。祖父の祖父も横浜に出ていって、鶴屋呉服店という呉服店を開業しました。
由結:なるほど。最初は鶴屋だったんですね。
古屋:そうなんです。縁起がよかったので鶴屋にしたんだと思います。その近くに亀の橋っていう橋があって、亀といえば鶴というように、多分縁起を担いだんでしょうね。
由結:なるほど。元々は呉服店から始まったんですね。
古屋:そうですね。その創業者と奥さんがかなり頑張って、とにかく勤勉でよく働く人だったそうです。さらに、たくさんアイデアがあって、お客さんのためにどうやったらいいんだろうと考えたのだとか。昔は全部反物で売ってたんですけど、生地をちょうどいいサイズに切って売るというのを最初に始めたと聞いてます。
歴代古屋徳兵衛
由結:ちょうどいいサイズに切って売るというのは斬新な考え方ですよね。この呉服店はその後どのようになっていったのですか。
古屋:その後、東京・神田のほうに出ていったんです。神田に出て行ったときに松屋という呉服店があったんですが、当時うまくいかなくなったお店を頼まれてM&Aをして、松屋という屋号を残して、鶴屋と松屋、両方あるような状態に一時的になったそうです。そこから松屋という屋号を使い始めます。そのあと、いろいろご縁があって銀座に松屋でお店を開店しました。戦争など様々なことがありまして、今は銀座と浅草の2店舗になっています。
由結:松屋さんといえば、やはり「デザインの松屋」
ということで非常に有名ですが、その所以というのはどういったものだったんでしょうか。
古屋:いろいろとありますが一番大きいのは、日本を代表する日本デザインコミッティーという組織があったんですが、1955年にデザインの売り場を作るんです。
歴代古屋徳兵衛
僕は知り合いの人から聞いたんですけど、当時はデザインの黎明期で、まだ日本の中でプロダクトデザインみたいなものが認められていなかったんです。建築もそうなんですけど、もっとこういう価値を消費者にわかってもらいたいということで、当時の非常に著名なデザインの先生たち、例えば、丹下健三さんとか岡本太郎さんなどもいらっしゃったり、亀倉雄策さんというポスターなどのデザインをする方、柳宗理さんをはじめ、とても有名な方々が集まってこれをどこでやろうかというときに、松屋、つまり私の祖父のところにお話をいただいたということがあったそうです。
そこから売り場を作ったり、デザインコミッティーをサポートするという活動が始まって、それを今までずっと続けてきているので、松屋の人たちのスピリッツの中に、デザインへの思いみたいなのがやはりあるんですよね。
由結:錚々たる先生方のアイデアや想いが詰まっていて、それが「デザインの松屋」という言葉につながっているんですね。
銀座店開店 1925年5月1日
銀座のおもてなし お客様の期待に応えること
由結:『デザインとは、気遣いである』というふうに御社のホームページに載っていますが、接客、サービス、立ち振る舞い、それから陳列の仕方に至るまで、こちらを訪れると随所にそれが感じられるように思います。この点についてご意見を伺えますか。
古屋:どちらかというと、デザインと直結してるというよりは、やっぱり銀座なので、銀座のおもてなしをやらなきゃいけないっていうのが、まず先に我々としてはあると思っています。例えば、お客様からの様々なお声の中で、商品に対するご要望も当然あるんですが、一番大きいのは、銀座を楽しみにしていらっしゃって、「銀座からイメージするサービスを期待していたのにこんなサービスはありえない」というようなお声などもいただいたりすることがたくさんあるんです。つまり、お客様の一番求められてるものというのは、銀座らしいおもてなしやお客様への気遣い、お客様がどんなことを感じて期待されているかということにちゃんと応えていくというのは何よりも大事ではないかと思いますね。
202212クリスマスねぶた
由結:確かに銀座という場所は、晴れの日に衣装を整えて、気持ちも整えてお越しになるイメージですよね。
古屋:そうですね。そこはやはり大きいですかね。ホスピタリティが非常に大事ですし、銀座という街にある百貨店に求められていることとしても非常に大きいと思います。
由結:今も「ねぶた祭り」
のディスプレイがなされていますが、このような季節感や伝統を感じられるおもてなしは、皆さんお喜びなんじゃないかと思いますが、いかがですか。
古屋:そうですね。やはりいろんなクリエイターさんや伝統工芸の作家さんをはじめ、様々な技術、日本の大事なものをちゃんとサポートしていきたいっていう思いはあります。元々は百貨店って、海外、それから国内のいろんな魅力のある商品を集めてきて、それをご提案するというようなことが最初の部分だったと思うんです。その流れの中で、ねぶたの技術をどのように表現していくのか…。例えば、今ねぶたを作っている方々が、今までのトラディショナルなものだけじゃなくて、ちょっと変えていこうとされているんですよね。サンタクロースのねぶたなんてまさにそういう感じだと思うので、そういうところで一緒にやることで大きな話題を作ったりすることは、百貨店の可能性としてあるのかなと思いますね。
202212クリスマスねぶた
由結:お客様にとっては新鮮な驚きがあって、やはりここに足を運んでよかったなという気持ちになるでしょうね。
古屋:そうですね。やはり嬉しいですよね。今までの日本の誇れる技術みたいなものが、新しい形でリバイブされてくる感覚ですね。
由結:古屋さんからは、本当に銀座を愛している気持ちが伝わってくるのですが、古屋さんにとって銀座というのはどのような街なんでしょうか。
古屋:そうですね。基本的には若いころは銀座ってちょっと面倒で、子どものころにもよく親に連れられて銀座にきていましたし、松屋にも親に連れられてきていましたけど、10代のころとかは結構離れてたんです。今また働くようになって戻ってくると、やっぱり銀座って安全安心で、街のみんなで街を作っていくみたいなところもあって、とっても良い街だと思いますね。
松屋銀座ならではのものを大事に
由結:この銀座という場所ではたくさんデパートもあったりして、デパート自体も百貨店も業界再編でいろいろと激変の時代があったと思うんですけれども、その中で独自の路線を保たれていたのにはどういった理由があるんでしょうか。
古屋:僕自身はその時代には関わってないんですが、基本的には、やっぱりどの街に行っても同じお店があるっていうのも、ある意味安心感があっていいと思うんです。でも、小売というのは結構ローカルなものなので、やっぱり銀座で長くやっている我々としては、我々の独自の色、独自のアイデンティティをちゃんと残していく、それをきちんと表現していくことに存在価値があると思っています。いろいろなものをくっつけていくと、それが難しくなるんじゃないか、と。だから、独自で生き残ってくこと自体に価値があると思いますね。
由結:なるほど。松屋さんの商品のラインナップは、毎回行くたびに新しいものを取り入れていたりして素晴らしいなと思っているんですけれども、そのこだわりについて教えていただけますか。
古屋:はい。そこもやはり独自性というところにつながってくると思うんですけど、なるべくほかのお店ではお取り扱いされてないものを扱うことを心掛ける。もしどこかにあるとしても、例えば、銀座ならではの何かを加えてく。そういうところは本当に社員のみんなが思っていることなので、いい意味でこだわりを持って、新しいことやお客さんが喜んでくれることをなるべく表現していきたいと考えています。
由結:今、地下の売り場でもハイクオリティの冷凍食品売り場を併設なさっていて、銀座ならではの冷凍食品が並んでいますね。私たち消費者にとっては大変嬉しい出来事なんですが、何かきっかけがおありだったのですか。
古屋:これ自体は食品部の提案で出てきたものなんですけど、やはりコロナ禍もあっていろんな食生活も変わって、あと技術革新があって、冷凍食品っていうマーケットにチャンスがあるんじゃないかっていうところから始まっています。その中で、普通の冷凍食品をただ販売しても松屋らしくないので、いろんなところとお話をして、新しい商品を作ったり、銀座の飲食店さんと組んで、今までにないような商品開発にトライしているのは面白いところだと思います。
由結:黒地にゴールドの効いたパッケージもとても斬新で、デザインも素敵ですね。
古屋:現場のメンバーが何度もチャレンジして銀座らしい、一目みて高級というか、ハイクオリティな商品だってわかるような色を使おうというふうに決めたそうです。
由結:今はコロナ禍もありまして、おうちで過ごす時間も長くなっているので、こういったものが少し冷凍庫に入っているととても楽しみになりますし、素敵な商品なので贈答品としても使えますよね。
古屋:今、ご好評いただいているようでありがたい限りです。
由結:それから、トルコの伝統菓子、アジア初の常設店も開設されていますね。こういった目新しい商品をこれからもずっと続けていかれるのですね。
古屋:そうですね。いろんな形があるんですけれども、我々としてわりと多いのは、足で探してきて素晴らしい商品やブランドさんと出会って、入っていただくというパターンです。あとはやっぱりいろんな方からご紹介いただいたり、いろんなご縁の中で、我々とがっちり組んでいただけるようなパートナーを見つけて、そこで一緒に展開することがあると思います。このトルコのバクラヴァというお菓子のブランドに関しては、後者のほうの様々なご縁の中から出会ったという感じです。
由結:なるほど。きめ細やかに対応しているからこその厳選商品が手に取ることができるということなんですね。
古屋:そうですね。
由結:ありがとうございます。まだまだお聞きしたいところなのですが、お時間がきましたので、ぜひまた来週もご登場いただいて、続きをお聞かせいただきたいと思います。本日はありがとうございました。
古屋:どうもありがとうございます。
銀座ロイヤルサロン2週目
運動が好きだった幼少時代
由結:さあ、本日の素敵なゲストをご紹介いたします。株式会社松屋、代表取締役、専務執行役員の古屋毅彦さんです。よろしくお願いいたします。2週目ご登場いただいております。ありがとうございます。
古屋:よろしくお願いします。ありがとうございます。
由結:前回は松屋銀座さんのことについて様々な角度から伺ってきましたが、本日は古屋さんご自身のことをたくさんお聞きしたいと思っております。古屋さんは松屋銀座さんの中ではどんなご活動を普段はなさっていらっしゃるんですか。
古屋:今はどちらかというと管理部門や後方部門のほうの担当なので、いろんな経理、不動産の管理だったり、あと地元のことなどもやっているので、何でも屋ですね。あとは新規の事業の開発なども私のところでやっていたり、グループ会社などもいろいろと見ている感じですね。
由結:そうなんですね。とても幅広い業務をなさっていらっしゃるんですね。こういったご活動の中で、やはりデザインの松屋さんですから発想っていうのが重要になってくると思うんですが、この発想自体は古屋さんが発案して始めるものがおありなのですか。
古屋:そうですね。ものによりけりだとは思うんですけれども、いろいろあると思っていて、やっぱり営業の現場のことは現場の人たちの発想を大事にしたほうがいいと思います。新規事業などは私のほうでイメージがあって、それを一緒に議論してきたり、もしくは外からいただいたお話を我々なりにどういうふうに松屋らしくやっていくかというところで自分の考え方を話してくみたいなことはよくありますね。
由結:なるほど。今現在の穏やかで品格のある古屋さんになるまでにどのようなご経験をなさったのでしょうか。例えば、幼少時代はどのようにお過ごしになったんですか。
古屋:子どものころは、基本的には元気な子どもだったみたいで、運動が好きで走り回っていた感じでしたね。よく親に、特にお母さんに連れられて松屋に来て、母は多分買い物してたと思うんですが、私は一人で買い物に一緒に行くのもつまらない。そこで、一人でずっとおもちゃ売り場や屋上、ゲームセンターで遊んでたんですね。いろんな社員の方にもかわいがってもらったような記憶があります。
由結:そうなんですね。なんでも買ってもらえるおもちゃは一つだけと決められていたそうですね。そのようなときはどのようになさっていたんですか。
古屋:そのころは、おもちゃ売り場のプラモデルコーナーにこもって、ずっと買いたいものをひたすら選ぶためにずっと商品の勉強をしていました。
由結:素晴らしい教育方針だったのですね。
古屋:そうですね。その商品が好きだったんで見てたんですけどね。百貨店というのは、子どもにとってはとてもキラキラしていて楽しい場所でしたね。
由結:ちなみに、おうちではどんな感じだったんですか。
古屋:家ではどうですかね。子どものころは祖父がまだ元気でいましたので、結構厳しかったような気はしますね。
由結:どういう点で厳しかったんですか。
古屋:NHKしか見ることができない、とか。祖父は非常に厳しい人でした。父は仕事でそんなに普段はいないですからね。でも自由にやっていたように思いますね。運動もサッカーもしていたりして、楽しい記憶が多いですね。
由結:そうでしたか。学生時代はメインでやられていたスポーツは何ですか。
古屋:中学高校とずっと陸上部で、僕は中距離で800メートルをやっていました。あとは高校駅伝とか結構、そんなに僕自身はすごい選手ではなかったですけど、どうやってチームを強くするかみたいなことをずっと考えてました。
由結:陸上は一人で単独で走る側面はありますが、駅伝は次にバトンを渡すわけですから、チームプレーですものね。
古屋:そうですね。例えば駅伝って7人揃わなきゃいけないんですね。なかなか普通のセレクションのやってない高校で5キロ以上走れる人を7人揃えるって結構難しいんです。いろんな人たちを育ててかなきゃいけないので、やっぱり後輩も育ってくれないと勝てないし、自分たちもそうなんで、やっぱりどうやってみんなで同じ目標を持ってやってくかっていうのはそのころに学びました。
大学ではその高校のコーチをやってたんですけど、そこの4年間もひたすらそういう高校生の子たちに、みんな結構自分のことで精いっぱいの年頃なので、どうやって強いチームを、そういうメンバーをどうやって強くしていくかみたいなのが一番面白かったですね。
由結:そうですか。では、本当にチーム全体のことや後身のまでなさっていた学生時代ですね。
古屋:まあ今考えると適当でしたけどね(笑)。ただ、本当に彼らが成長してすごい成果を出してくれたときなどは本当に嬉しいですね。
由結:それがきっと今のお仕事にも結び付いているんだと思うのですが、今に至るまでに古屋さんに影響を与えた人物はいらっしゃいますか。
古屋:そうですね。最近亡くなられてしまいましたが、高校の部活の顧問の先生は非常に独特の方でしたけど、その方からは自分のいろんな考え方をよく肯定してもらいました。その方とは大人になってからもずっとお話しをしていたので、今考えるとその人の影響が大きいかもしれないですね。
由結:その部活というのは陸上のことですよね。
古屋:陸上部ですね。でもその先生は倫理や哲学の先生だったので、全く陸上のことはわからないんです。
由結:なるほど。では、多感な時代に何か心が揺れたりしたとき、いろいろとアドバイスくださったりしたのですね。
古屋:アドバイスというか、先生は好き勝手言ってるだけなんですけどね。でもそれが面白くって、つらいときはとりあえずおいしいものを食べて寝るしかないと言われて、そうしてました。
由結:古屋さんは、物事を素直に受け取られるんですね。
古屋:そのときは多分つらかったんで、その通りやってみたら、それはそれでよかったかなっていう感じですね。
由結:恩師の方がまるごと受け入れてくれた上でのアドバイス、それを素直に実行なさった古屋さん。素敵ですね。
古屋:有難うございます。とても良い経験でしたね。
人生の転機となったニューヨーク時代
由結:その学生時代を経て、メガバンクにご就職なさったんですよね。
古屋:そうですね。最初の就職は銀行でしたので6年ぐらい日本で働いて、そこからニューヨークに行って最初同じ銀行で2年お世話になったんです。2年ぐらいの浪人生活みたいなものを経てコロンビア大学院になんとか入れて行ったんですけど、そのニューヨークの6年間っていうのは自分にとっては非常によかったですね。
由結:どういう点が一番よかったですか。
古屋:自分としてはニューヨークに行く前と行った後で人生としては切り替わってるところがあるんです。いろんなことに対して、自分の意見をちゃんと言っていく文化なので、今まで例えば日本だと一生懸命やってることもどっちかっていうと隠しながら一生懸命やるほうが格好いいみたいな、頑張ってるっていうのをアピールするのがあんまり美徳じゃないみたいな雰囲気があると思うんです。でもそういうのをちゃんと伝えていかないと誰にも伝わらない。ニューヨークというのは多人種で文化もバラバラなので、暗黙の了解みたいなのがないんですよね。
由結:阿吽の呼吸でわかるみたいなのものがない、と。
古屋:そうですね。だからあんまりアピールしすぎるのもよくないですけど、でも自分が何者で何を思っているのかとか、自分はこう思うっていうことをちゃんと、僕自身の中にはあったんですけど、それをちゃんと言うっていうこと、そのほうがいいっていうのは、ニューヨークで僕はすごくわかった気がしますね。
由結:実際にそれをやってみる、ご自分の中からあるものをアウトプットしてみるということをされて、周りはどんなふうに変わりましたか。
古屋:まあ周りはどうなんですかね。周りはもう日本人も外国っていうかニューヨークの人も、みんなそういう人たちが友だちにも多かったですし、それぞれそれが非常にポジティブでいろんなことに対して前向きに、そういう仲間が増えたかなっていう気がします。
由結:なるほど。そういった仲間も増えて、自分自身を発表するという、そのお気持ちやテクニックも身につけて、そして、日本に帰って来て、そして、この株式会社松屋さんに入られるわけですね。このときに、それまでのご経験がどのように生かされましたか。
古屋:そうですね。銀座という場所も結構離れてたんで、久しぶりに銀座に来て、最初は銀座の良さっていうのもなかなかわからなかったんですけど、だんだんわかってきました。ニューヨークではこうだったっていうことと、日本でこうだっていうことのギャップとかもあったんですけど、そのへんもだんだんわかってきたんです。何が一番役に立ったか…やはりコミュニケーションですね。コミュニケーションはとても大事だと思っているので。
由結:なるほど。銀座は本当に密に皆さんがつながっている街だとお聞きしたことがありますが。
古屋:そうですね。皆さんそれぞれいろんな立場がありますが、「みんなで銀座という街を良くしたい」「たくさんの人にきてほしい」「銀座の良さを守りたい」というところは、一致してるんですね。ただ、それぞれの立場とか考え方が違うんで、それもやっぱりちゃんと話し合っていったり、相手をリスペクトするというところですかね。それをやらないとわかりあえないというか、ケンカになってしまうので。
今後の展開について
由結:今後、またインバウンド需要が見込まれるんじゃないかなと思うんですけれども、今後の展開へのアイデアはあるんですか。
古屋:そこの部分は今までコロナになる前にやっぱりいろんなことをやってきたので、ベースはそれで、ちゃんともう一回やるっていうことになると思っています。同時に、外国のお客様増えると日本人のお客様が減ってしまうということも過去はありましたから、どちらのお客様にも気持ちよく買い物していただけるような形を目指さなきゃいけないだろうと思っていますね。
由結:なるほど。コロナもそうでしたけれども、様々な百貨店業界も様々な危機に面した場面が多かったと思うんです。そういう中でも、例えば、なぜ対面販売にこだわるのかということも聞かれます。この点はどのようにお考えですか。
古屋:基本的にはやっぱり人間ってリアルに存在しているものなので、やっぱりそのリアルな部分っていうのはなくならないとは思っています。逆にいうと、どれだけ今お客様にとって居心地がよくなかったりスムーズじゃないと思われること、便利じゃないと思われることはどんどん減らしてかなきゃいけないと思います。
あとは人と人のコミュニケーションとか、商品を買うだけではなく、お買い物自体がエンターテイメントであり、楽しみでもあります。ですから、その買い物をして家に帰って、「今日の買い物よかったな
って思ってもらうところも含めての価格や商売だと思います。「体験を売る」というと、普通の言葉になってしまいますが、商品だけをお渡ししているってことじゃないと思うので、そこがリアルの意味かなと思います。
由結:なるほど。改めて、この百貨店、そして、松屋銀座さんに足を運ぶ理由が明確になった気がいたします。本日は本当にありがとうございます。また来週ご出演いただきまして、今度は声解析・声診断を受けていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
古屋:ありがとうございます。
銀座ロイヤルサロン3週目
声解析・声診断コーナー
由結:本日は声解析・声診断コーナーです。クォンタムヴォイスアカデミー稲井英人学長によるコーナー。これまでに25000人以上の臨床データのある声解析・声診断ソフト「クォンタムヴォイス®」により、ゲストの方の声の波形を読み取り、そして、その方の個性や能力をひも解いていきます。
それでは、本日のゲストは株式会社松屋、代表取締役、専務執行役員の古屋毅彦さんです。よろしくお願いいたします。
古屋:よろしくお願いします。
由結:それでは、稲井英人学長、どうぞよろしくお願いいたします。
稲井:はい。よろしくお願いします。今日は楽しみに参りました。声というのは楽器なので、その方がどういう響きをしているかがわかるんですね。その人の声を12色の色と波形で解析します。特に古屋さんは、上に立って人にいろいろとお話をすることが多いと思うんですが、そういったときに、ご自身の能力・才能に気づき、さらには社員の皆さんによりよく響くお声になるための、そんなヒントになれば幸いです。
早速始めたいと思います。本日、このようにお話していただいてご感想をお伺いしたいんですが、本日はいかがでしたか。
古屋:本当に会社のことはいつも考えてるんですけど、自分のことを振り返ることはわりと少ないかなと思って、改めてその部分を考えるいい機会になったと思います。
稲井:ありがとうございます。そして、やっぱりこれからの業界はいろんな意味でオンラインでも非常に厳しく言われている側面がありますが、ご自身の中で、腹でグッと決めたようなこと、こんなふうにしていくぞとかいうものはございますか。
古屋:一番思うのは、百貨店自体が成熟産業と言われて、百貨店がいろいろな意味で役割はどうなのかと言われています。しかし、業界というよりも、当社、松屋が何をやっていくかが大事だと思っています。
今の当社のミッションとして、「幸せになれる場を作っていく」というようなことを打ち出しています。さらに、「未来に希望の火を灯す」つまり、「幸せな場を創造する」ということをやりたい思っています。百貨店は、社会が豊かになっていく段階では、そこに希望がイメージできた商品や、これを身につけるときっとこうなるなっていうような、未来への思いが様々にあったと思うんですよね。
しかし、今はもう本当に世の中豊かになったので、それでも皆、今幸せということに興味があって、本当に若い世代が今そんなに満足できていないといったデータもありますね。どの世代にとっても、小さくてもいいので、百貨店にきていただくと幸せになれるといいと思うんですよね。
それをやっていくには、従業員もそうだし、働いてくれている様々な人たちが、みんな幸せとか未来に希望があるような、会社やお店にしていかなきゃいけないというふうには思います。
レッドの声―物事を形にする才能
稲井:なるほど。やはりこのように出てくるんですけども、内側にレッドとか出るんですね。赤がある方っていうのは、物事を形にしたい、地道に推し進めていくっていうような方なんですね。とくに最後に、今後どんなふうにって言ったときに出たのは、このイエローの部分ですが、これは自分の世界っていうか自信、マイワールドです。
多くの人たちを導いていったり、大きな組織を導いていこうと思ったら、自分の確固たる信念や軸みたいなものがないと、本当に周りに引っ張られてしまいます。でも、今のお声を分析しますと、このアクアブルーやグリーンですが、人と調和していくというエネルギーが今出てきてまして、だんだん、先ほどちょっと声の出し方をお話しようとしただけで、少し波形が変わってきたんですね。ある程度口の中を広げたり、ご自身の持ってる能力はこのほうが人に伝わりやすいんです。同じ響きでも全く周波数が違いますね。
古屋:口をちゃんと開けてしゃべったほうがいいって、母に昔よく言われましたね。そういうのがあるんですね。
稲井:はい。ありますね。今のお声も録らせてもらったんです。やっぱり、今度は、マゼンタピンクとヴァイオレット。これ、癒しの声なんですね。お母様のことを語った瞬間にご自分が癒されいてる。不思議ですね。
そして、内側を見ますと、レッドやコーラルレッド。やはり物事を押し進めていく、物事を形にする才能がものすごくおありです。これはもう少し本当に体を上手に響かせていくようにすると、影響力が増しますね。周りの人たちは言葉の内容よりも響きで動くんです。本当に不思議ですけど、同じことを言っていても、多くの方は聞いていないんですよね。メラビアンの法則でも大体7%しか聞いてないと言われてます。見た目とか声の響きとからしいんですね。
特にこの松屋さんのように、お客様の多くは女性の場合だったりして、働いてる方も女性が多いとなると、この声の響きをより意識されると、より物事、現実が動きやすくなりますね。とてもダンディなお声をされているので。
古屋:へえーっ、面白いですね。
稲井:そういうふうにお聞きになって、どういう感覚持ちます?
古屋:そうですね。そうなんだって思ったところもありますね。せっかく生きているので、なるべく自分の思っていることとか実現したいなという気持ちはあるので、そういうところは関係するのかなと思いますね。
稲井:そうですね。今のお声では内側の深い部分で全部出てきたでしょう。身体は楽器なので、自分の内側の本当の響きが周波数で届いていくんですね。今のご時世、多くの方が目覚めてる方が多いので、取り繕った言葉よりも、内側の本音本心でそのまま体を声を響かせていくと、そのほうが伝わります。内側が、先ほどと本当に変化してきたんで、面白いなと思いました。この赤がこれだけ出ていらっしゃるので、今後が非常に楽しみです。物事を形にしていく力は半端ではないですよ。
古屋:そう言っていただけるとプレッシャーですね(笑)。
稲井:いやいや(笑)。これからますます楽しみですね。
深い部分に青の声―冷静に物事を客観的に見る才能
古屋:ありがとうございます。ちなみに青は何ですか。
稲井:青は冷静に客観的に物事を見ていく力です。非常に内側にもありますよね。非常に真面目な方に多いです。やるなら完璧にきちっとやっていくというところですね。全体的に俯瞰して見るっていう才能も深い部分にお持ちですね。お立場的にそういうことも多いと思うんですけど、ご自身で心掛けていらっしゃることはあるんですか。
古屋:そうですね。昔はやっぱり結構慎重だって言われることが多かったんで、なんかそう言われると悔しいんで、なるべくチャレンジしようと思っています。あとはやっぱりいろんなことを冷静に考えなきゃいけないと思ってるんですけど、最後は自分の信じるところ、勘、本能的なところも割と信じているので、そこが面白いと思っています。
稲井:そうですね。本能的な部分がここなんですね。コーラルレッド、自律神経、本能的な感覚です。もう時代の移り変わりが激しいですから、目標をちゃんと決めてって言ってるうちにもう時代が変わってますから。
古屋:そうですね。変化が激しいですよね。
稲井:本能的な感覚はものすごくお持ちですね。そこを意識した瞬間にこうやって声が変わっていくんです。自分の感覚を大事にしたいって言った瞬間に。先のこと、未来のことをふっと思った瞬間にネイビーブルーっていう第三の目がここが強くなっているでしょう。
古屋:本当だ。そうですね。こういうところ?
稲井:はい。非常に強くなってきましたね。
古屋:面白いですね。
稲井:はい。人間の声って本当に思考を超えた部分でそのまま響いてるんです。
古屋:二日酔いとかだとやはり大変なことになるんですか(笑)。
稲井:もうもっと魅力な声になります(笑)。
一同:(笑)。
稲井:ユニークな内面の響きが非常にわかりやすく出てきましたね。本当に経済も全ては銀座からスタートしますから、ますますご自身の体を響かせて、ぜひご活躍いただきたいと思いますね。
古屋:ありがとうございます。
由結:古屋さん、ありがとうございました。このゆるぎないエネルギーの源というのが明らかになりましたね。
稲井:はい。いくらでもエネルギーが湧き上がってきます。
由結:古屋さん、3週にわたりまして、貴重なお話の数々、ありがとうございました。
古屋:ありがとうございました。
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