須藤本家株式会社 代表取締役 須藤源右衛門さん「酒・米・土・水・木」
銀座ロイヤルサロン1週目
目次
2021年で880年を迎える日本最古の酒蔵
由結:それでは、本日の素敵なゲストをご紹介いたします。須藤本家株式会社代表取締役、須藤源右衛門さんです。よろしくお願いいたします。
須藤:どうぞよろしくお願いします。
由結:本日は、ユウキアユミワールドアカデミー会長の稲井英人さんと共にお送りしたいと思います。
稲井:よろしくお願いします。
由結:須藤本家は2021年で880年を迎える日本最古の酒蔵。“酒・米・土・水・木”に徹底的にこだわっていらっしゃいます。55代目当主須藤社長は、先代、そして先々代からずっと受け継がれてきたことがあると思いますが、その中でも大切なことを3つ程教えていただきたいのですが、お願いいたします。
自然の摂理に沿った酒造り
須藤:そうですね。やはり一番大切なことは自然の摂理に沿って酒造りをするということですね。それからもう一つは、お客様に商品をお届けするということも非常に大切な命題な
のですが、実はその前に“神様にお供えする”という命題があります。それに従って全てが決まってくるので、非常に大切にしています。それから、あとは“四方よし”と言いまして、どこから見ていただいても全然問題ないということがやはり大切です。最近でいうところのいわゆるトレーサビリティとか、コーポレートガバナンスとか、コンプライアンスとか、そういったことが日本では歴史的に伝わっていた…ということを改めて思っています。
稲井:“どこから見ていただいても問題がない”…というのは具体的にはどんなことですか?
四方よしの酒造り
須藤:そうですね。例えば米作りにしても、実際に仕込んでみたときに、自分に都合いいからと言って、ほかの米の産地から持ってくるというのも一つです。しかし、やはり自分のところで責任持ったお米を作らないといけない。そうしたときに、じゃあどこまでトレースできるの、と。市場では一応、例えば規格では三等米以上を使用するとなっていますが、三等米以上であればいいのか、という事です。くず米が何十パーセント入っているか、私は一等米以上を使用し、整粒米(コメの形をした米)しか使わないわけです。なおかつ、一等米以上なんですけれども、実は全部米粒の形をしたものだけを集めて、使用します。普通ですと一等米でも、砕けてしまった米や未熟な米が入っている。そういうものを全部除外してしまって、100%整粒米のみで精米する、そういうところって全然お客様は普段はご存知ないし、見ることができないところですよね。
それから、その等級に関しても、通常ですと一等米使ってるということはあんまりご存知ないと思うので、じゃあ二等三等を使ってもいいんじゃないかという話あるかもしれません。では、二等三等になると結局納得できるお米じゃないというふうになってくると、規格では一応オッケーだけれども、やはり私の理念からは外れてるな、というところ。それからまたは例えば等級があっても、じゃあ本当にそれは自分の目に叶った一等米であるかと言うことになります。米の目利きができないといけない。
稲井:なるほど。目で。
須藤:そうです。だから、例えばお酒の色もすぐわからないといけないですし、じゃあこの色の照りがあった場合はどういうお酒なんだということがわからないといけないんです。お米もじゃあ一等米ならいいかっていうとそうではなくて、その年の外部環境によっても、等級は変動します。そうしたときに、じゃあ自分のところで使う一等米っていうのは、去年使った一等米と同じなのか、ということになる…。そうすると去年は一等米だったのに、今年は二等米になってしまうという可能性がある。そうするとやはり目に叶った米を使わないといけない。
稲井:そういったものを代々伝えていくためには、感覚を磨いていかないといけないのでしょうね。
代々受け継がれた経験からの知見
須藤:まあ、ある意味で目利きができるようになるっていうことなんでしょうね。そういうのは結局一番大切なことで、結局データとしては出てこない部分ですよね。結局経験からの知見っていうのがものとても重要になってくるので、経験からの知見がないと、やはりなかなかできないのです。ですから、昔でいうところのものづくりっていうのは、経験からきてるものが非常にあります。経験からっていうと、デジタル的ではないイメージがあるんですが、実はかなりデジタル的なのです。ファジーなところを数値に置き換えているわけです。こういう形ですよ、っていう…。それは計量すればこういう形なら計量できますよね。でもそれは目で計量していたんです。昔の方は。目とか色でね。
稲井:すごいですよね。
由結:はあ~なるほど。
須藤:昔の方はやっぱりすごいなと。昔の方のものづくりってどれ見てもやっぱりすごいわけです。
稲井:そうですね。
須藤:ええ。だから、今のものづくりももちろんすごいし、コンピューター制御もありますし、IoTとかいろいろあるのですが、じゃあそれが本当にいいものなのかなと。ひょっとしたら昔の方の方がもっといいものを作っていた可能性がある。
稲井:なるほど。
須藤:建築なんかもそうですよね。器もそうですし。じゃあハンドメイドだから悪いっていうのではなくて、私が携わってるグラスメーカーなんかはほとんど手ふきなわけです。そうすると、マシンメイドよりもはるかに精度の高いものを作る。酒造りも機械で作ればいいかって、じゃあコンピューターってどこに介在するのか。介在する場所が実はないんです。まず、バイオセンサーはないですし、バイオセンサーはあっても、非常に感度が悪いですし、それがじゃあ製造工程管理の中で、即座にフィードバックできるかというとできない。
稲井:すごい。こういう品質で870年に渡って続けてこられた、と。超一流ですね。数値化できないレベルの…まさに神のレベルで作ってこられたということでしょうね。
須藤社長が酒造りに目覚めたきっかけ
由結:そうですね。このように素晴らしい経験則というものもが代々受け継がれた中にあるんですね。須藤社長ご自身が酒造りに目覚めたきっかけはあったのでしょうか。
須藤:そうですね。昔は、和食を蒸留酒で飲むっていうのを、さかんにPRしていた時期があったんです。子どもながらに和食と蒸留酒って合うのかなっていう素朴な疑問がありました。だいぶその味の組成が違うんじゃないかと。そうすると、どこが合うのかなと思っていて、どう考えても合わないんじゃないか。それが広まってしまうのはちょっと困るなというのと、まあ、若かったものですから。
それからたまたま海外で日本酒の話をしてほしいって言われて行った国で、夜に入った、和食店で、すごいまずいお酒の匂いがするわけです。失礼ながら (笑)。これ飲んだら絶対二日酔いするなと思いました。ドアを開けたらもう、その瞬間にワッというすごい匂いがきたわけです。カウンター座った隣のお客様が、「いや、私、日本酒好きなんだけどね、これ飲むとね、二日酔いするんだよ」とおっしゃるんです(笑)。まあそれはごもっともで、出てきたお酒を見てやっぱりびっくりしました。これが日本酒だとして売られていたわけです。誤解されては困るなって。
稲井:そうですか~!
正確にテイスティングできるように心がけていること
由結:須藤社長はご自身で普段からお酒を正確にテイスティングできるように心がけていらっしゃることはありますか。
須藤:特にありませんが、やはり本当に近所のおじちゃん、おばちゃんが持ってきてくれた野菜を食べるとかですかね。それはやはり理に適っていて、絶対に農薬使わないんです。それからあと、地力もしっかりつけたその土壌で栽培する…。
稲井:なるほど。地力。地面の力。
須藤:ものづくりは「気」なので、やはりそういう自然なものづくりをしているものをいただく。あとは酸化しているものを食べない。油とか、油脂の部分を持ってるもの、脂質の部分はどうしても変性しやすいんです。あっという間に酸化してしまうので、その様な状態になった食べ物は食べない。
稲井:やっぱり敏感なんですね。
須藤:実は取るとすぐに口内炎になってしまうんです。
稲井:あー。そうですか。
須藤:わかっていても、やはり外では頂戴しないといけないときもあるので、わかってて頂戴するんですけど、見事に口内炎になってしまって(笑)。
稲井:なるほど(笑)。体がリトマス試験紙のように反応するんですね。
須藤:まあよくないですね(笑)。
稲井:だからこの味をキープできるんでしょうね。
自然環境の大切さ
由結:そうですね。本日の収録も、須藤本家さんからお送りさせていただいてるわけなんですけれども、この環境を見ただけでわかりますよね。自然に囲まれていて、800年以上前からある井戸…欅の木々…長い歴史を感じるとともに、自然と一体として生きてこられたんだな…と感じ入ります。須藤社長としてはそれが当たり前の環境で過ごされてきたわけですね。
須藤:やはりその自然環境ってものすごく大切だと思いますね。一度壊れてしまうともうなかなか元に戻せない。昔の人は全てが100年計画なんです。だからもう植栽するにしても100年。100年前にこの栽培したこの木が使うとかですね、そういうことなので、もっと今よりもスパンが長いですね。自然をより一層大切にしていきたい。それから、例えば昔ですと、入会地っていうところがあって、そこの水源を守るためにみんなで管理したとかですね、そういうことをごく自然にやってたんですね。その様な仕組みができていましたが、今はだんだんとなくなってきています。やはり酒造りは繊細で、敏感な仕事です。
感覚的な話ですが、実は秋から冬になるときって、一瞬で風が変わるんです。
稲井:どんなふうに変わるんですか。
須藤:もうその瞬間冬の風がくるんです。それを肌で感じるんです。
稲井:へえーっ。わかるんですね。
須藤:もうそのときにもうわかるんです。近年の酒造りは年間で仕込む蔵が多い中、弊社では寒仕込みに拘っています。代々の口伝です。例えば藍染めも同じです。和紙もやはり寒漉きと言って、冬に漉いた和紙が一番いいわけです。ですから、必ず寒漉きの和紙を使うと決め事があります。酒造りは収穫した米を冬に仕込んでそれを蔵出しする。夏越した酒はひやおろしとして秋に出す。だから決め事が全部決まっているんです。
稲井:自然のサイクルの中に全部はまってるんですね。
須藤:そうです。そしてこれがいわゆる旧暦の暦に当てはまるんです。
須藤社長が日本酒をたしなむときの心得
由結:なるほど。須藤社長が日本酒をたしなむときの心得。一般の皆様もお聞きになっていますので、ぜひ伺わせていただきたく思います。
稲井:聞きたいですね。
須藤:最近、やっとマリアージュとかってできてきたんですけども、やはり昔から日本酒はマリアージュがあって、一の膳、二の膳に合わせる…ということを行ってきていました。そのマリアージュと共に大切なことがあって、実はやはりお酒と器の素材、形状との相性が非常に重要です。
稲井:なるほど。
須藤:ですから、生のお酒はやはりグラスとの相性がいいのです。素材の相性と共に形状の相性、例えばこのタイプのお酒はふくらみがある方がいいとか、いろいろあります。お料理とマリアージュ以前に、お酒と器の素材と形状とのマリアージュが大切になってきます。
稲井:相性あるんですね。
由結:なるほど。奥深いですね。
須藤:非常に重要です。それを昔は日本の文化の中に自然にありました。
稲井:自然に入ってたんですね。
須藤:ですから、ちょっと前の作家さんの作品を見ると、それが如実にわかります。
由結:先ほどもお酒をいただかせていただいたときに、様々なグラスで味わわせていただきました。これにもこだわりがありそうですね。
須藤:そうですね。本当にさり気なく、ごく自然に皆さんが楽しんでいただくには、そういう環境を皆さんにお届けできたらいいなという―そういうことを語らずにお酒と器を楽しんでいただいています。
稲井:グラスがくるたびにワクワクしましたよね。
由結:そうですね。またここも奥深い内容ですので、別の動画で伺わせていただきたいと思っております。さあ、ということで、また来週もラジオにご登場いただけるということですので、楽しみにしております。
須藤:はい。どうもありがとうございました。
由結:ありがとうございました。
稲井:ありがとうございました。
銀座ロイヤルサロン2週目
国内外で高い評価を得るブランド
由結:さて、本日は“国内外で高い評価を得るブランド、須藤本家の日本酒”について伺いたいと思います。これまでも話題のコラボイベントを数多く手掛けていらっしゃいますよね。一つご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
須藤:はい。いろいろヨーロッパのソムリエ協会とかWSET、様々なドメーヌ、海外の大学のMBA…いろいろなところから呼んでいただきました。非常に印象に残っているのは、モナコのアルベール大公からのご依頼です。そのときはジョエル・ロブションさんと一緒にコラボさせていただいて、楽しませていただきました。
稲井:ロブションさんと。すごいですね。
由結:そのときのお客様のご様子はいかがでしたか。
須藤:非常に喜んでいただいて、日本酒の改めて真価を楽しんでいただき、とても嬉しかったです。
由結:スイスで開催されたダボス会議でも提供されたそうですね。それから2016年G7の伊勢志摩サミットでも採用。数多くの公式の場で提供されているお酒なんですけれども、海外の方の反響はいかがでしょうか。
須藤:ダボスでも大変喜んでいただいて、多くの方がそのレセプションのコーナーからなかなか立ち去らなかったそうです。これは能楽師の大倉正之助さんからお聞きしたお話なんです。それからG7では、本来はメインディッシュに合わせるということでお願いしたのですが、このお酒をぜひ乾杯用に使いたいということで、一番最初の乾杯にお使いいただきました。とてもありがたいことです。
由結:本当に素晴らしいことですね。首相官邸でも出されるお酒としても使われていらっしゃるとか。
須藤:官邸の方がお土産にお使いになるそうです。
由結:まさに日本を代表する日本酒。ちょっと話題はそれますが、お客様が自分のブランドや自分独自のものを作りたいというときは、そういった対応もしていただけるんですか。
須藤:通常はしてないんですね。PBはやってなくて、オリジナルの私どもの商品だけをリリースしていますが、例えば能楽師、大鼓の大倉先生とコラボした商品を作るとか、様々な伝統文化に貢献できればいいなと思っています。
稲井:日本ならではの文化を守るために、様々なものとコラボすることによって、より広めていくことが大事になってくるでしょうね。
須藤:そうですね。
酒蔵見学、蔵開きについて
由結:須藤本家では、ご関心のあるお客様が見学を中でもできるそうですね。
須藤:ええ。実は醸造の工程は生のお酒の特性の関係でお入りいただけませんが、ガラス越しに工程を見ていただきながら、テイスティングしていただいたり、マリアージュを楽しんでいただくということができます。
由結:ちなみに、蔵開きはいつ頃ですか。
須藤:蔵開きは3月中旬位です。最初に新酒ができたときに皆さんに楽しんでいただくということを行っています。
熟成させた日本酒の美味しさ
稲井:私は日本酒は新酒が美味しいのかと思っていて、熟成させて…というのをお聞きしてびっくりしたんですが。
須藤:やはりもちろん新酒で召し上がっていただくととてもおいしいのですが、より深みや奥行きを出すために、やはり寝かした方がいいなと。つまりどういうことかっていうと、発酵過程でできあがる品質と、熟成によってできあがる品質は、実は別なんですね。そのときに酸化させないと。色が黄色くなってしまったり、茶色くなるっていうのは酸化なので、熟成をさせることによって、醸造過程でできた味や香りに、熟成過程でできた味や香りを一緒に乗せていって昇華するような、味わいを造りたいということです。そうすると香りや味に奥行きや深みが出て、アタックもきめ細かになり、余韻も長く、より繊細になり、様々な品質の表現ができます。一般的な日本酒にとどまること無く+日本酒としての本当の真価を求深めていきたいなと思っています。日本酒市場はより奥行きがあるのですが、今はどうしてもフラットな表面だけの市場になっていますが、そうできないことを国内外のみなさんにお届けできたらと思っています。
稲井:先ほど、特殊な冷蔵により100年熟成後にも飲めるお酒をと伺ったように思いますが…すごい発想ですよね。
須藤:いえいえ。やはりワインの場合、100年熟成ですと、どうしてもそこまでなかなか持ちません。色が飛んだり、味も薄くなってしまう。これは宿命です。日本酒でなんとか100年熟成させた高品質なお酒を召し上がっていただきたいと思っています。このお話を聞いた方は全員、あと、40数年後にもう一度ここに集まっていただいて、召し上がって…そういうお約束をさせていただいてます。
稲井:そうですね(笑)。
由結:素敵ですね(笑)。須藤社長は本当に日本酒がお好きでいらっしゃって、本当にそれを楽しんで心から愛しているというのが伝わってくるのですが、このような思いに至ったのはなぜなのでしょうか。どういうきっかけがあったのでしょうか。
日本の食文化の素晴らしさ
須藤:そうですね。やはり日本の品質、おいしさは世界中の方が認めていただけるおいしさなのですが、それが意外と知られていないということです。私も海外に行くまではそんなに知っていたわけではないのですが、海外に行ってみて初めて海外の方が日本に対してものすごくリスペクトしているというのを知り、やはり日本の食文化は改めてすごいと実感しました。そこで、その中の一役を担う日本酒として何ができるのかという考えの中で、世界市場において、日本のお酒と食をもっともっと知っていただくということが最重要と考えています。そういうことを日本の方も含めて海外の方にもっともっとお伝えしたいと。日本のいろんな食文化のきめ細やかな味わいとか、素材特性とか、そういうことが意外とまだあまり知られていません。例えばロマネコンティオーナーで現会長のオーベルド・ビレーヌさんもとても驚かれたんです。
稲井:どういったところで驚かれたんですか。
須藤:やはり実は新酒なのに、熟成させたのと同じような味や香り、バランスがすでにできている…。
稲井:新酒なのに熟成と同じような味だと。なんでだと。
須藤:ワインの場合は樽で寝かせます。樽の香りや脂質、香気成分を溶出させ、ある程度のバランスを取って、リリースされる。日本酒は最初からある程度そういうものは持っています。もっと深みを出すにはもっと年月をかけないといけないのですが、日本酒は新酒の段階でもそういうものを持っています。それに彼は反応して最初にテイスティングしようとした時に、そのことを考えて、香りばかりを確認していて、中々口に含みませんでした。
稲井:飲まない?
須藤:はい。香りばっかり嗅いでる。「ビンテージは何年かなのか?」と聞いてくるので、「新酒です」と何度もお伝えしていました。やっと召し上がっていただくと、また「ビンテージは何年か」と聞いてくる。その繰り返しでした。結局DRCの2時間のアポは5時間半ずっとテイスティングでした。
由結:まあ、それほど関心を持たれたのですね。
稲井:はあーっ。なぜこんなふうになるんだと。
由結:大絶賛だったわけですね。
須藤:結局その日本のいろんな本質的な価値とか味わいとか、我々が考えている以上に海外の方は評価していただいてるということを、改めて実感しました。その感動とか、実態の姿っていうのを、やっぱり味覚として残して、お伝えしなければと思っています。
稲井:伝えていきたいですよね。
世界各国の料理との相性
由結:日本酒は世界各国の料理とも合わせられるんでしょうか。
須藤:そうですね。やはりおいしいものは国境がないので、イタリアンでも、フレンチで美味しく頂けます。それから、シンガポールですと、四大中華とワンディナーで合わせてくれというご要望もございました。四川、広東、北京などを一緒に…。
稲井:四大中華と!ご自分の直感で選ばれるんですか。
須藤:もちろんそうですね。結局その事前に食べられませんので、メニューだけいただいて、それに合わせて、考えます。
由結:なるほど。その感覚は大体合ってることが多いのですか。
須藤:仕事ですので。
デザートとの相性
由結:さすがですね。あとはデザート。甘いものもやはりいろいろなものと合わせることができるんでしょうか。
須藤:そうですね。甘いタイプの、例えばショコラとか、ケーキとかクッキーとか、あるいはチーズとか、そうしたものとも合わせやすいので、とくにフランスのアペラシィオン、イタリアのDOPのチーズですと、よりおいしくいただけますね。
稲井:なるほど。
須藤:バレンタインのときはこちらでショコラとそのワンプラスで皆さん楽しんでいただいてます。
800年以上変わらない位置にある井戸
由結:素敵ですね。なんでもこちらの井戸が古くからあるそうですが、こちらに伺ったときに一番に目にとめる方も多いと思います。こちらの井戸のお水を他の酒蔵の方で汲みに来られるケースもあるとお聞きしたんですが。
須藤:そうですね。品評会のお酒を造りたいというご要望のお蔵さんも時々いらっしゃいます。
由結:お水そのものも本当に素晴らしい。
稲井:いや本当にお水がおいしかったですね。
須藤:ありがとうございます。
由結:それでは、これからも日本酒を楽しみたいというお客様や、あるいはリスナーの方に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。
“生”の日本酒の美味しさ
須藤:はい。江戸時代には完全に生のお酒を皆さん召し上がっていらっしゃいました。今日は火入れしたお酒がほとんど。ぜひ生のお酒召し上がっていただきたいと思います。より一層おいしさが際立つと思います。“生”というシールが貼ってありますので、それを目安にしていただくと非常にいいと思います。
由結:なるほど。まだまだお話が尽きませんが、また別の動画でもお伝えしていきたいと思います。
稲井:本当にそうですね。
由結:本日は須藤本家株式会社代表取締役の須藤源右衛門さんにお話を伺いました。どうもありがとうございました。
須藤:どうもありがとうございました。
稲井:ありがとうございました。
須藤源右衛門さんのプロフィール |
業界の技術革新蔵、現在は純米大吟醸酒のみを醸造。原料米は酒蔵から半径5km以内の米に拘る。数百年来井戸の位置が変わらない伏流水を使用。輸出は1995年から。国内外で高く評価され、R.パーカーのパーカーズ・ポイントは91点。International Wine Challengeで、Gold ,Silver, Commended、Trophyを受賞。スイスで開催されたダボス会議で提供される。2016年G7伊勢志摩サミットで採用される。現在も総理官邸賓客用のお酒として採択。日本で初めて生酒をリリース、超長期貯蔵商品の開発、モナコ公国アルベール大公からのご依頼で、J.ロブションとコラボ。DRC、オーヴェルド・ヴィレーヌ氏から絶賛を頂く、主に、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、シンガポールでマリアージュ・イベントを開催。シャンパーニュから招聘され、アッサンブラージュを行う。ヨーロッパのソムリエ協会、WSET、パリHEC、アメリカ・スタンフォードMBAで講演、国税庁関東信越国税局・経済産業省関東経済局合同開催講演会に招聘講演、パリ・日本文化センターで講演。 |