五味 常明さん 五味クリニック院長 医学博士「”匂い”までマネジメントするのが仕事のできるビジネスパーソン」
五味 常明さんインタビュー動画
「運動不足と体臭は関係ありますか?」
五味 常明さんインタビュー動画
「体臭多汗Q&A」
銀座ロイヤルサロン1週目
2018年8月9日㈭ 放送
由結:さあ、それでは本日の素敵なゲストをご紹介致します。五味クリニック院長・五味常明先生です。よろしくお願い致します。
五味:よろしくお願いします。
由結:五味先生は日本テレビの”世界一受けたい授業”を始め、メディアでも大変活躍の先生でいらっしゃいます。そして体臭研究の第一人者でいらっしゃいますので、本日はこの時期に必要な体臭をどのように扱えばいいのかを教えて頂きたいと思っております。
五味:はい、わかりました。
由結:本日はリスナーを代表して色々と質問をさせて頂きたいと思っております。この番組はビジネスパーソンの方も沢山お聞きになってまして、普段営業先に出掛けて行く方も多いようです。そういう時に「自分は臭ってるんじゃないだろうか?」というふうに悩んでるという話もよくお聞きします。そんな方はどうすればいいのでしょうか?
五味:実はですね、“臭い”は見えませんよね?
由結:そうですね。
五味:見えないし、“臭い“って嗅いでると慣れてきちゃうんですよね。ですから、本当に自分が臭ってるかどうかって疑問・不安に思ってる人がすっごい多いんですよ。それで私のとこは臭い・汗、専門のクリニックですけども、「臭ってるんじゃないか?」って来る患者さんの半数以上は左程じゃない人なんですね。つまり気にし過ぎの人なんですよ。
由結:思い込みだったという事なんですね?なぜそういう思い込みが出てくるんでしょう?
五味:やはりね、最近はスメルハラスメントのように、“臭いエチケット“が非常に重要視されてる時代ですよね。昔は男の体臭は”男らしさ”ですよ。「いいじゃないか、そのくらい」って。ところが今の時代は、この臭い・体臭も自分で上手くエチケットの範囲内でコントロールできない人はやはりビジネスマンとしては失格だとそういうふうに思われる傾向があるんですね。
由結:そんな時代、ビジネスマンとしてはどのようにすればよいのでしょうか?
五味:体臭ってのは実はね、誰でもあるもんなんですよ。一種の生活臭ですからね。その誰でもある臭いはお互い様なので、それを全部消し去ろうとしたら絶対駄目なんです。自分の個性ですから、臭いってものはね、実は厳密に言うと同じ臭いの人は世界で一人もいないんですよ。自分だけの個性なんでね、それを否定するって事はですね、自分自身を否定する事になるでしょう?
由結:確かにそうですね。
五味:ですから、人に迷惑かからない範囲に自分の臭いをどう対処するか、ケアするかという事が大切なんですね。だから臭いってのはね、気にし過ぎてあまりにも無臭思考に走るのも駄目。かといって、何にも無頓着でエチケットというものを気にしないというのも駄目なんですよ。だからその両方を上手く使うこと、僕は“バランス嗅覚“って言ってるんですけどね。自分の体臭をコントロール、上手くケアできる人は優秀なビジネスマンだと思いますよ。
由結:なるほど。バランスが大事だということなんですね。先生のお話から、その人らしい臭いというものは”ある”ということですか?
五味:そうです。その人の持ってる臭いはその人しかないんですから、その人らしいってことなんですよ。だから個性なんです。だから自分の体臭をですね、個性として考えると。だから例えばワキの臭いとかですね。実は私もワキの臭い強いほうなんですよ。
由結:そうなんですか?
五味:はい。若い頃は結構気にした時もあるんですよ?ところがね、それも含めて“自分の個性である”というふうに考えると、その臭いを”受け入れる”ことができるんですね。だからまず、自分の体臭ってのを受け入れればですね、”過度に悩む必要・過度に気にする必要”は無くなってきますね。
由結:そのように伺うとなんだかホッとします。先生、それからよく「あの人からフェロモンが出ている」みたいなこと言われますけれども、これって本当にあるんでしょうか?
五味:もし本当なら私も唯一使いたいくらいですが。自分で研究したいくらいなんですよ。世界中の研究者が実は探したんです。フェロモンがあるんじゃないかって。ところが、最終的にはですね、人間にとってフェロモンみたいな物質はないという結論がもう出たんです。
由結:ないんですか!?その理由はなんでしょうか?
五味:動物、ファーブルの昆虫記なんてあるでしょう?昆虫…例えば、蛾がメスのとこにドーッと寄るって。そういう異性を惹きつけるというような効果のフェロモン、これはないんですよ。
由結:そうでしたか!意外です。
五味:なぜかと言うと、人間がですね、そういう臭いを感知する能力が無くなっちゃったんです。動物はそのフェロモンを感じる、鼻の中に鋤鼻器官っていう器官がある。そこでフェロモンの様な物質をこれで感知してるんだけど、その鋤鼻器官はもう人間にないんです。フェロモンという物質が、もし臭い物質があったとしても、それを嗅ぎ分けることできないんです。
由結:受けるほうの力が無くなってしまったということですね。
五味:はい。ただ、これね、フェロモンと言ったらどうかわからないんですが、最近またこれでわかったことはですね、若い女性特有の臭いってあるじゃないですか。
由結:若い女性の匂い…なんとなくわかります。
五味:若い女性の特有。言葉で言えばスイートな臭いっていうかね。桃のような匂いですね。
由結:甘酸っぱい匂いでしょうか。
五味:はい、そうです。その物質はわかったんです。それが”ラクトン”っていう物質なんです。若い女性は”ラクトン”が多いんですが、年を取るにつれてその”ラクトン”が段々段々少なくなっちゃうんです。
由結:なるほど。悲しいかな、なくなってしまうということなんですか?
五味:減るのかどうかもわかりませんけどもね、そういうものはあるんですね。逆にどんどんどんどんですね、加齢臭みたいなそういう臭いが増えてくるって言うことなんですよ。それで何でラクトンが無くなるかというと、ラクトンが酸化されてくるんです。年を取るということは老化ということなんですね。体が酸化されることなんです。そういう若い女性の臭い物質も年取ってくると酸化して、今度は加齢臭みたいな”ノネナール”っていいますね。そういう物質が増えてくるっていうことなんですね。
由結:科学的に証明されていると。
五味:そうなんです。だから男性でもたぶん若い男性特有な臭いってあるはずなんです。これはまだ物質的にわかってないんだけど。そのまず、女性のラクトン臭をなくさない方法っていうのがですね、そういう物質を作るもの食品にもあるんですよ。
由結:それは、何ですか?
五味:それは乳製品なんですね。ヨーグルトとか蜂蜜とか、そういうのに含まれてるんですよ。だからヨーグルトなんか朝沢山摂取すると、朝一回でも。これは僕も今ヨーグルトを毎日朝食べてるんですけども。体を酸化させないためなんです。まず一番の酸化原因はストレスです。ストレスを溜めると活性酸素っていうのができるんです。それが全てのものを酸化するんです。これは今言った女性の若々しい女性の作るラクトンも酸化されるし、もしかしてあるとしたら、男性の若々しい匂い物質も酸化されてしまうっていうことですね。例えば、臭いを気にし過ぎるとストレス溜まるでしょう?それ余計良くないんですよ。それからもう一つ。これはフェロモンじゃないんですが、臭いのイメージを作るものっていうのがあってですね。それは”行動”、”雰囲気”、”言動”ね。若々しい雰囲気ってあるじゃないですか。
由結:はい。
五味:“臭わない雰囲気“もあるんですよ。”臭ってそうな雰囲気”っていうのもあるんです。
由結:確かに、そんな気がします。
五味:それを“イメージ臭“って呼んでるんです、僕は。
だからね、中高年の僕らみたいな男性がですね、若い女性から”オヤジ臭”なんて言われることあるでしょう?
由結:はい。
五味:それはその若い女性がその中高年の男性の加齢臭、ノネナールを嗅いで”オヤジ臭”って言ってるわけじゃないんですよ。その中高年の男性が例えば駅で唾吐いたり、食後爪楊枝でシーハーしたり、いつもねずみ色の服ばっかり着てたり、見た目にも臭いってんです。
由結:なるほど。印象ですよね。その方の。
五味:はい。そうなんです、印象。だからその人の印象がその人が臭い印象があるのと、さわやかな印象で臭ってないなんかっていうことを決めると。ですから、若々しいそのスイート臭を保つにはですね、若々しい雰囲気を作らなきゃならない。
由結:そのためにはどうすればいいのでしょう?
五味:”言動”なんですよ。
由結:言動!
五味:だからフェロモンは無いかも知れませんけども、惹きつけるものというものは絶対あるはずなんですね。
由結:なるほど。そしてそれは努力して作ることができる、と。
五味:それは臭い以外のものなんです。例えば”人に優しくする”、”女性に優しくする”男性からはフェロモンが感じられそうでしょ。”思いやりのある心”、これが惹きつけるフェロモンですよ。
由結:その通りですね。
五味:だから臭い以外のものにフェロモンがあるということなんですね。
由結:とても勉強になります。先生からそのお言葉頂くと、「あっ自分の努力で何とかなるんだ」っていう気持ちになりますね。先生、それから、“頭が脂っぽいっていう方がいらっしゃるんですけれども、それに対する対策みたいなものってありますでしょうか?
五味:これは”皮脂”ですね。脂は皮脂腺から出ますね。皮脂腺が多い場所が体にいくつかあってですね。その毛の所に皮脂腺があるんで、頭にはいっぱい毛がありますんで、頭部というのは皮脂腺の分泌が盛んな場所なんですね。だから、脂っぽいことが当たり前なんですよ。
由結:元々そういうものだと。
五味:はい。それでその脂が古くなってくると、雑菌と一緒になって繁殖した雑菌が頭の臭いを作ってくるんです、それが。頭の臭いを気にする人はですね、ほとんどが洗いすぎなんです。
由結:そうなんですか!
五味:もう一日二回、朝シャンも含めて二回ぐらい洗ってる人いっぱいいますよ。そもそも日本人ってね、毎日頭洗う人多いでしょう?
由結:はい。
五味:それはまず洗いすぎなんですよ。実は洗うのはいいんだけども、ゴシゴシ洗いすぎると皮脂が流されちゃうんですよ。無くなっちゃうんですよ。体というのは不足したものを補おうとするんです。皮脂腺の分泌が盛んな場所で無くなると、皮脂を補おうとして分泌が益々盛んになるんです。
由結:はー!そういうメカニズムなんですね。
五味:そうそう。その皮脂線のあるのは毛穴の所にありまして、分泌が盛んになると毛穴は細いですから、そこに詰まっちゃうんですよ。詰まると長く留まるんで、酸化して臭くなるんですよ。だから洗いすぎが頭の臭いの原因である人多いですね。
由結:うわー、そうですか!もう目から鱗の情報が沢山ですので、リスナーの皆さんも気をつけて頂きたいと思います。そして先生、最後に一つ伺いたいのが、消臭スプレーってよくありますよね?
五味:はい。
由結:使ってる方、今の時期多いと思うんですけれども、健康に影響はないんですか?
五味:実はこれは皆さん、知らない人が多いんですが、消臭スプレー・制汗剤というのは使っていい場所というのは体の中で二箇所しかないんです。
由結:えぇ?それはどこですか?
五味:それはワキと足なんです。ワキは、汗かくとこもってくるでしょう?
由結:はい、確かに。
五味:蒸発しない場所なんです。だから体温調節に関わってない場所なんですよ。足もそうですね。足も靴履いてますから、体温調節に関わってないでしょう?そういう場所の汗は抑えてもいいんです。
由結:なるほど。
五味:消臭スプレー・制汗剤の中には、”汗腺”の汗の線の穴を塞いで汗を出なくなる作用のものが入ってるんです。
由結:はい。
五味:それを、例えば胸だとか腕、首の辺りにスプレーしたりするとどういうことになるかというと、今のこの暑い季節汗かけないんですから。熱中症の危険性があるんです。
由結:まぁ!
五味:だから今の若い人は意外と全身、広範囲にスプレーする人が多くてですね、それで昼間・炎天下、熱中症になる人も結構可能性高いんですよ。
由結:なるほど。良かれと思ってやっていたことが健康を害する結果になる…と。
五味:ですから、その消臭剤でですね、使い方ですけども、ワキはですね、いいんです。汗抑えてもいいんです。元々体温調節にあんまり関わってないですよね。それ以外にスプレーしないこと。これが大切ですね。
由結:先生、沢山のことを教えて頂き、生活に役立つことが沢山ありました。来週もご出演頂きまして、今度はテーマ”汗”ということでお話頂きたいと思っております。それでは最後にリスナーの方に向けて一言メッセージをお願いできますでしょうか?
五味:体臭というのはですね、生きている証です。個性であるんでね。これを過度に否定しないことですね。ただし、人間社会では他人に迷惑かけない範囲で色んな消臭剤上手く使って欲しいと思いますね。
由結:何こともバランスが大事ということですね。先生、貴重なお話を頂き、どうもありがとうございました。
銀座ロイヤルサロン2週目
2018年8月16日㈭ 放送
由結:さぁ、それでは今週も素敵なゲストをご紹介致します。五味クリニック院長・五味常明先生です。よろしくお願い致します。
五味:よろしくお願いします。
由結:五味先生は臭いの専門家でいらっしゃるということで前回はこのテーマ『臭い』ということで沢山お話を頂きまして学ばせて頂いたんですけれども、本日のテーマは『汗』。今の時期はちょっと歩いててもすぐに汗をかきますので、日常生活で色々と気になることがあります。リスナーを代表して伺って行きたいと思います。
五味:はい。
由結:同じ人でも汗を掻いた時に「臭いな」って思う時と、そうでもないと思うときがあると思うんですが?
五味:実はその人によっても”良い人””悪い人”あるじゃないですか?性格の差もありますよね。汗も実は”良い汗”・”悪い汗”とあるんですよ。種類があるんです。”良い汗”は臭わない汗、”悪い汗”は匂う汗なんです。
由結:異なった汗があるんですね?
五味:通常”良い汗”っていうのは実はサラサラした汗、気持ちがいい汗なんですよ。それはもう水に近い汗。だからサラサラしてるんですね。”悪い汗”ってのはベトベトした汗・ネバネバ汗。
由結:なんとなくわかりますね。
五味:濃度の濃い汗なんですよ。普通汗を掻いても実は掻きたては本当に無臭なんです。ほぼ無臭なんですよ。だからそれを放置するから皮膚の上で雑菌が繁殖して、いわゆる”汗臭くなる”んです。だからそれまでに拭いてしまったり、シャワーを浴びれば臭いは取れてしまうんですね。
由結:では早期に対処することが大事なんですね?
五味:そうです。ところがその”臭い悪い汗”というのはですね、掻きたてから臭うんです。だから臭いの成分が含まれて出てくるんですね。例えばアンモニアだとか乳酸っていうの、臭い物質が含まれて出てくるんです。
由結:それはなぜですか?
五味:汗をいっぱい掻いてる人は汗を掻く汗腺を使ってるんです。筋肉と同じ。筋肉を使えば筋力強くなるでしょう。筋肉使わなければ、筋力弱くなるでしょう?
由結:はい。
五味:汗腺も同じなんです。汗腺を使えば使うほど汗腺っていうのは機能が高まるんです。そうすると水に近いサラサラ汗を掻けるようになるんです。
由結:ということは、汗腺って鍛えられるということなんですか?
五味:鍛えられるんです。実は汗腺って汗の線ってのは人間が一番最後に作ったものなんです。どこの為に作ったかわかりますか?…”脳”なんですよ。人間は”脳”を進化させたでしょう?
由結:えぇ。
五味:だからその脳細胞が熱に一番弱いんだと。コンピューターと同じなんです。ですから、人間の体温は37度ですけどもね、それは脳の適温なんです。じゃあその37度一定にある為に高温動物なんです、人間はね。
五味:37度に平熱保つ為に汗を掻いてるんです。皮膚の上で汗が出れば、それが蒸発する時に気化熱と言って熱を周りの熱を奪って体温を下げてくれるんです。
由結:それで調整を取っているんですね。
五味:そうです。だから人間だからこそ汗は掻かなきゃいけないんですよ。ところがその汗を”臭い・汚い・臭う・掻きたくない”って掻かない人は現代人が多いです。エアコン漬け・運動不足でしょう?そうすると汗腺は使いますか?
由結:使わないと思います。
五味:使わないでしょう?機能が落ちるんです。そうすると汗腺はですね、汗の原料をどこで持ってくるかっていうと、血液なんです。
五味:血液を汲みとってそのまま出したら、臭いのアンモニアだとかいっぱい大切なミネラルとかいっぱいあるでしょう?
由結:えぇ。
五味:ね?困っちゃうんで汗腺の中に、汗腺が元に戻してるんです、血液に。
由結:えぇ?戻す?
五味:汗腺から見たら”ろ過”してるんです。血管から見たら、”再吸収”しているということ。で、残りを汗にしてる。だから完全に再吸収された残りは完全な水ですよね。だから、理想的な汗というのは100%水の汗なんですよ。でも現実にはそんなわけにはいかないんですよ。汗腺ってまだ新しいんでね、完全には戻せないんですが、ほぼ戻した汗はサラサラしてるんです。
由結:はー!なるほど!
五味:だから”汗を掻いてない人・エアコン漬け・運動不足”は汗腺機能が落ちて濃度の濃いネバネバした汗を。その汗が臭いんです。
由結:原因は、エアコン漬け、運動不足だったんですね…。
五味:ですから、夏は、本来は良い汗を掻きやすい季節なんです。ですから、現実に夏の初め、まだ暑くなった初めの頃の汗のほうが臭いんです。だから段々ひと夏を、お盆を過ぎて秋に近くなった汗というのはですね、この水に近くなってくるはずなんですよ、本来は。ところが夏中エアコン漬けの人はいつまで経っても臭い汗を掻いている…。
由結:なるべく体を動かしてエアコンは控えめに、適温を保つなど工夫が必要ですね?
五味:熱中症予防の観点から見ると特にそうですね。これはなぜかというと熱に弱い体質の人がいましてね、実はそういった体質の人は汗を掻いてないんで汗腺機能が悪いんです。それで、汗を掻く汗腺が少なくなっているんですよ。
由結:なるほど。
五味:それを使ってない。だから能動汗腺と言って、汗を掻く汗腺が増えない人がいるんです。そういう人は今からエアコンを止めちゃうと熱中症の危険性が高いんです。
由結:あー、そうですか。
五味:だからそういう人はもう使わざるを得ない。熱中症の予防の為にも使わなきゃいけないんです。だから少しずつ少しずつ汗を掻けるような生活にしてかなきゃいけないんですね。
由結:なるほど。生活の中のどこかの部分で補っていけば良いということでしょうか?
五味:そうです。少しずつ汗腺機能を高めて数を増やす。汗を掻きやすい体質に変えていくということが大切なんですね。でも、冷や汗は駄目ですよ?
由結:なぜですか?
五味:冷や汗は緊張する時の汗です。これはドッと出るでしょう?一気に出る汗って臭いんです。
由結:なぜですか?
五味:血液の線に、元の血管に戻す間もないでしょう?一気に出るんで、濃度の濃い汗掻きやすいんですよ。
由結:例えば、プレゼンなど緊張する場面でドッと汗を掻いて、それが周囲に自信のない印象与えてしまっている…という悩み持ってる方もいらっしゃるんですが、それはどういうふうにすれば?
五味:実は”精神性発汗”っていうんです、それは。”精神性発汗”を掻く人が大体性格的に全部似てるんですよ。
由結:どんな性格なんでしょう?
五味:”真面目な人。優しい人”。そういう”精神性発汗”する人って一人でいる時に汗掻いてないんですよ。
五味:人前に出ると出る。ワキ汗もそうなんですけどね。なぜ人前に出ると汗を掻くかというと周りの人を無視できないんです。つまり気遣ってるんですよ。
由結:常に相手を察しているわけですね。
五味:そう。周りの人を気遣わない人なんて”精神性発汗”そんな汗、緊張性の汗掻きませんよ。
由結:そうでしょうね!
五味:その”精神性発汗”っていうのはですね、夜寝れないときと同じなんです。寝れない時に「眠ろう、眠ろう」としたらどうなります?益々目が冴えてくる。「もういいや」開き直ったら眠くなるでしょう?同じなんです。そういう人は気遣うんで、「止めよう、止めよう」とするんです。すると益々出てきちゃうんです。でも、実はそれの止め方あるんです。
由結:教えてください、是非。
五味:それは”開き直ること”。
由結:開き直る?
五味:「自分の性格が真面目だからこういう汗が出てくるんだ」って開き直れば、「汗掻いてもいいや」と思えば、止まるんです。それからもう一つはですね、緊張してると、頭の中がね。緊張状態の時に汗がでるんですけども、物事に集中すると汗は止まるんですよ。
由結:へぇ!
五味:役者さんが袖にいる時はいっぱい汗掻いてても、舞台に本番になると汗ピタッと止まる。それは集中するからなんです。だからそのプレゼンテーションだとか、面接の時に汗ワーと出てくる人は、そこのプレゼンからその場面で、もし質問などをされたら、すーっと集中して入ってく。何かに集中すると汗は止まるんですよ。
由結:集中ですか…わかる気がします。
五味:今なんか我々集中して喋ってるでしょう?汗は全く出てないじゃないですか。
由結:はい。
五味:これ緊張して周りのこと気になってる人は汗出てくるんですよ。だからそういう意味では性格的に良い汗なんで、”自分を認めて、その汗を認めてあげる”っていうことなんですね。
由結:“認める””自己受容をせよ”ということなんですね。
五味:その汗を自分の性格がいんだからと。
由結:素敵ですね、その考え方。リスナーの皆さんも参考になったと思います。それから先生にもう一つ質問です。朝、パジャマがビショビショになるぐらい汗を掻いてしまうという女性の方の悩みなんですけれども、これはどういう意味が?
五味:実はそれ寝汗、寝汗にも”良い寝汗”と”悪い寝汗”とあるんですよ。実は”眠る”ということ、”睡眠”ってのはね人間にとって”冬眠”と同じなんです。熊が自分の体温下げて冬眠に入ってくでしょう?一日冬眠なんですよ。
由結:はい。
五味:ですから、寝る時には必ず生理的に寝汗を掻いて体温を下げて、脳の温度ですけどね。脳の温度下げて睡眠に入ってけるんです。そういう汗は掻かなきゃ駄目なんです。これは”良い汗”なんですよ。
由結:えぇ。
五味:ところがですね、睡眠の深度が深くなった時に掻く汗いいんだけども、睡眠が浅い時。それは”レム睡眠”っていうんです。その時に掻く汗は、特に”夢”を見てる時に掻く汗多いんですよ。”怖い夢”。”嫌な夢”。その時夢の中で掻いている汗なんです。それがドッと出る、さっき言ったようなネバネバしたベトベトした気持ち悪い汗なんですよ。
由結:なるほど。本人は覚えてないかもしれないですね?
五味:夢はすぐ忘れますからね。でも何らかの形で掻いて、その時に掻いた汗が朝方ビショーっと気持ち悪いんです。
由結:あーそうなんですね。では、病気ではない可能性が高いということですね?
五味:病気ではないです。ただ病気の時に掻く汗あるんですよ。それも本当は”悪い汗”なんですね。例えば昔は”結核”とか”慢性の気管支炎”だとか、”血液の病気”の時に言葉で言えば、”汗が盗まれる”っていうんです。”盗汗”って言うんです。
由結:”盗汗”!
五味:もう寝てる間中、漏れるように出るんですね。これもベタベタして気持ち悪い汗です。これはですね、病気の時の汗ですから、本当に”悪い汗”ですよね?治療が必要です。今言った朝方の汗って、これはですね、この”レム睡眠”って夢を見た時の汗なので、その心が落ち着いた状態で寝るっていうこと。ストレスを溜めないということです。
由結:これが”良い汗”かどうかっていうのは、サラサラしてるかベタベタしてるか、で見分けるんですか?
五味:”気持ちいい”か”気持ち悪い”かでもわかりますよ。”良い汗”ってのは”気持ちいい”ですからね。
由結:清々しいですものね!
五味:掻けばきもちいいですよ。だからどんどん掻こうって気持ちになるでしょう?
由結:えぇ。そうですね。
五味:”悪い汗”掻いたら”気持ち悪い”んで、益々汗を掻かなくなるんですね。益々汗腺機能が落ちて、益々臭ってくる。悪循環。
由結:なるほど。そうなんですね。先生はこの”汗”と、”臭い”についてずっと研究してらっしゃるわけなんですけれども、患者さんを通して何か気付かれたことを教えて頂きたいのですが?
五味:実は”臭い”もそうですけどね、臭いを、”自分の臭いが嫌だ”と悩んでる人は一人もいないです。自分の臭いで”人に迷惑かかってるんじゃないか”って気遣って責任感じて。先程の汗もそうでしょう?”気遣い汗”でしょう?
由結:はい、そう思います。
五味:だから真面目な人がその臭いですね。それから汗のことを気にしてるんです。ですから、不真面目になれとは言わないけど、自分が臭いをもし気にしていたら、汗を気にして悩んでたとしたら、”自分の性格がいいんだ!”と思ってください。もう”開き直る”。”認める”ということ。
五味:大切ですね。
由結:それでは先生最後に、リスナーの方に向けてメッセージをお願いできますでしょうか?
五味:もし”汗・臭い”で悩んでたらですね、それは”自分の性格がいいんだ”と。自分を認めて受容して。これが大切ですね。
由結:五味先生、二週に渡りまして素敵なお話を頂き、ありがとうございました。
運動不足と体臭は関係ありますか?(体臭多汗Q&A 33)
運動不足と体臭は関係ありますか?(体臭多汗Q&A 34)
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